番外編17:都合の良いシェフ
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(フェミニストマニーノver.)
天才シェフ様が楽屋で休憩中、一人の番組スタッフが扉をノックした。
「どうぞ」
「失礼します。マニーノさん、サインお願いできますでしょうか?うちの娘が貴方のファンなもので…」
「良いですよ。ただ、他の方には秘密ですからね?」
彼は口に人差し指を当て、ウインクなんかしてみせた。自分のファン、しかもそれが女性とあれば断る理由などどこにも無い。
「ありがとうございます!娘の名前はですね──」
マニーノは受け取った色紙の前で新品のペンのキャップを外した。しかし、それとほぼ同時に彼のポケットから大きな呼び出し音が鳴り始める。キャップは再び閉められた。
「失礼」
彼は手に取った端末の画面を確認すると、その顔は笑顔のまま固まった。
「いえいえ。私は席を外しましょうか?」
「……そうですね。すぐ済ませるので、部屋の外で待っていていただけますか?」
穏やかにお願いされたスタッフは、そそくさと楽屋から出て静かにドアを閉めた。
途端に彼の眉間に皺が寄る。
「何ですか。私は仕事で忙しいと前もって……一食くらい抜いても大丈夫でしょう……え!?女の子を…?」
マニーノは電話の向こうから聞こえた“小娘”という単語に強い反応を示した。
『そうだ、日本人のな。ロールシャッハのディスクをさっさと受け渡せば良いものを、丁度良いから私の実験体第一号にしてやったのだ』
「……」
『ん?どうした?』
「いえ、何でも。後で座標を送ってください。至急向かいます」
『頼んだぞシェフ様』
「その代わり、きちんと説明してもらいますよ」
彼の口調と、電話先には伝わらなかったが目つきも大分厳しいものになっていた。
それから程なくして、マニーノ・ジョルダーニの楽屋の戸が内側から開かれた。外で待っていたスタッフがご機嫌な様子で振り向く。
「ありがとうございます!」
「お待たせ致しました。では急用ができましたので、私はこれで失礼します」
「え!?マニーノさん、まだ収録が…!」
番組の主役は最低限の荷物をまとめ、一目散にテレビ局を出て行ってしまった。余程急いでいたのか、楽屋内は全く片付けられていない状態だ。
「急用って…台本までそのままじゃないですか……ん?」
ふと目に留まった物は、手の平サイズの何か。それら全てが、白いテーブルの上では良く映える紫色に染まっている。
天才シェフ様が楽屋で休憩中、一人の番組スタッフが扉をノックした。
「どうぞ」
「失礼します。マニーノさん、サインお願いできますでしょうか?うちの娘が貴方のファンなもので…」
「良いですよ。ただ、他の方には秘密ですからね?」
彼は口に人差し指を当て、ウインクなんかしてみせた。自分のファン、しかもそれが女性とあれば断る理由などどこにも無い。
「ありがとうございます!娘の名前はですね──」
マニーノは受け取った色紙の前で新品のペンのキャップを外した。しかし、それとほぼ同時に彼のポケットから大きな呼び出し音が鳴り始める。キャップは再び閉められた。
「失礼」
彼は手に取った端末の画面を確認すると、その顔は笑顔のまま固まった。
「いえいえ。私は席を外しましょうか?」
「……そうですね。すぐ済ませるので、部屋の外で待っていていただけますか?」
穏やかにお願いされたスタッフは、そそくさと楽屋から出て静かにドアを閉めた。
途端に彼の眉間に皺が寄る。
「何ですか。私は仕事で忙しいと前もって……一食くらい抜いても大丈夫でしょう……え!?女の子を…?」
マニーノは電話の向こうから聞こえた“小娘”という単語に強い反応を示した。
『そうだ、日本人のな。ロールシャッハのディスクをさっさと受け渡せば良いものを、丁度良いから私の実験体第一号にしてやったのだ』
「……」
『ん?どうした?』
「いえ、何でも。後で座標を送ってください。至急向かいます」
『頼んだぞシェフ様』
「その代わり、きちんと説明してもらいますよ」
彼の口調と、電話先には伝わらなかったが目つきも大分厳しいものになっていた。
それから程なくして、マニーノ・ジョルダーニの楽屋の戸が内側から開かれた。外で待っていたスタッフがご機嫌な様子で振り向く。
「ありがとうございます!」
「お待たせ致しました。では急用ができましたので、私はこれで失礼します」
「え!?マニーノさん、まだ収録が…!」
番組の主役は最低限の荷物をまとめ、一目散にテレビ局を出て行ってしまった。余程急いでいたのか、楽屋内は全く片付けられていない状態だ。
「急用って…台本までそのままじゃないですか……ん?」
ふと目に留まった物は、手の平サイズの何か。それら全てが、白いテーブルの上では良く映える紫色に染まっている。