第三部:都合の悪い男女
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「……」
ディスクから出たてのロールシャッハはまず振り返り、何を言うでもなく夢主と向かい合う。
「……」
「……」
彼のマスクの模様は、左右対称を維持しながら顔の表面をゆっくりとうごめいている。黒い部分は動いた分だけ消えていき、動いた分だけ表れる。ネット上にある、数少ない動画で見た通りだ。勿論、生で見るのは初めて。
「よしよし。データを見る限り、ディー・スマッシュできる時間に制限は無さそうだな」
象鼻の付いたマスクの男は、実物よりもモニターに注目している。
「へぇ、あいつがロールシャッハか」
「本人を生で見るのは、俺も初めてだ」
「そんなことより貴男方、何か変な臭いしませんか?」
それもその筈、青いディスクが叩きつけられた場所を中心に、掃除が行き届いていない公衆便所さながらの悪臭が広がっていた。鼻を覆っていないマスクの男達よりも、部屋の中ほど、夢主に一番近い位置に居るマニーノ・ジョルダーニが先にこの臭いに気が付いた。
「……」
「え、と…」
彼の頭のかすかな傾け方から、夢主の手首足首に繋がれた鎖、腕の注射痕、背後のゴツい椅子に目を向けられたとわかる。本当のところ、どこを見ているかは分からないが。
「……」
「あの、私…今……」
唯一の味方になり得る人物へ何から伝えようか迷っている間に、ベネチアンマスクを付けたロゼッタ・ライリーが実験室に入ってきて目を見開かせた。
「え?ちょっと!!何してるのよ!そのヒーローは…!」
「何だ?何か不都合でも?」
「そいつのディスク回収に、わざわざ3人で行かせていた理由がわからないの!?」
近くに突っ立っているオオクマ・ジュウベエとジョエル・マーフィーの影にやや隠れながら続ける。が、白衣の男は機械操作の片手間に、質問を質問で返す。
「危険だとでも言いたいのか?特殊能力も無い、只のマスクをしたヒーローに何が出来る?こちらは大の男が4人も揃っているのだぞ?」
「だよなー、ハルクじゃあるまいし。今もおとなしく突っ立ってんじゃねえか」
「大の男がって……あんた達ヴィランはどうしたのよ!?」
「予定通り、外の警備にあてているが」
「第一、ここは我々のアジトの中心地ですよ。しかも海の上。下手に動く筈が無い」
全面マスクの男はそう言い、肩すくみをかます。
彼女の焦りがいまいち伝わらない中、象鼻マスクは灰色の未使用ディスクを手にし、ロールシャッハに近付いてしまった。
「さて、次はスペシャル・バイオコードの性能確認だ。早速だがロールシャッハ、うぉおあぁー!?」
ヒーローはティム・ギリアムの服を掴み、彼を先程まで稼働していたレバー付きの装置の方へ軽々と放り投げた。そして、隣に鎮座していた電気椅子をすぐさま土台ごと持ち上げ、入り口に向かって投げつける。
「げ!?」
「キャーッ!!」
ロゼッタ含め後から来ていた3人は間一髪で避けた。が、唯一の退路は歪み、更にゴツい椅子に塞がれてしまった。
「な、なんだ…今の…」
「こいつ…!」
ようやく4人は自らの危機意識がいかに低いかを自覚した。
「早速だが貴様等、全員叩き潰す」
ディスクから出たてのロールシャッハはまず振り返り、何を言うでもなく夢主と向かい合う。
「……」
「……」
彼のマスクの模様は、左右対称を維持しながら顔の表面をゆっくりとうごめいている。黒い部分は動いた分だけ消えていき、動いた分だけ表れる。ネット上にある、数少ない動画で見た通りだ。勿論、生で見るのは初めて。
「よしよし。データを見る限り、ディー・スマッシュできる時間に制限は無さそうだな」
象鼻の付いたマスクの男は、実物よりもモニターに注目している。
「へぇ、あいつがロールシャッハか」
「本人を生で見るのは、俺も初めてだ」
「そんなことより貴男方、何か変な臭いしませんか?」
それもその筈、青いディスクが叩きつけられた場所を中心に、掃除が行き届いていない公衆便所さながらの悪臭が広がっていた。鼻を覆っていないマスクの男達よりも、部屋の中ほど、夢主に一番近い位置に居るマニーノ・ジョルダーニが先にこの臭いに気が付いた。
「……」
「え、と…」
彼の頭のかすかな傾け方から、夢主の手首足首に繋がれた鎖、腕の注射痕、背後のゴツい椅子に目を向けられたとわかる。本当のところ、どこを見ているかは分からないが。
「……」
「あの、私…今……」
唯一の味方になり得る人物へ何から伝えようか迷っている間に、ベネチアンマスクを付けたロゼッタ・ライリーが実験室に入ってきて目を見開かせた。
「え?ちょっと!!何してるのよ!そのヒーローは…!」
「何だ?何か不都合でも?」
「そいつのディスク回収に、わざわざ3人で行かせていた理由がわからないの!?」
近くに突っ立っているオオクマ・ジュウベエとジョエル・マーフィーの影にやや隠れながら続ける。が、白衣の男は機械操作の片手間に、質問を質問で返す。
「危険だとでも言いたいのか?特殊能力も無い、只のマスクをしたヒーローに何が出来る?こちらは大の男が4人も揃っているのだぞ?」
「だよなー、ハルクじゃあるまいし。今もおとなしく突っ立ってんじゃねえか」
「大の男がって……あんた達ヴィランはどうしたのよ!?」
「予定通り、外の警備にあてているが」
「第一、ここは我々のアジトの中心地ですよ。しかも海の上。下手に動く筈が無い」
全面マスクの男はそう言い、肩すくみをかます。
彼女の焦りがいまいち伝わらない中、象鼻マスクは灰色の未使用ディスクを手にし、ロールシャッハに近付いてしまった。
「さて、次はスペシャル・バイオコードの性能確認だ。早速だがロールシャッハ、うぉおあぁー!?」
ヒーローはティム・ギリアムの服を掴み、彼を先程まで稼働していたレバー付きの装置の方へ軽々と放り投げた。そして、隣に鎮座していた電気椅子をすぐさま土台ごと持ち上げ、入り口に向かって投げつける。
「げ!?」
「キャーッ!!」
ロゼッタ含め後から来ていた3人は間一髪で避けた。が、唯一の退路は歪み、更にゴツい椅子に塞がれてしまった。
「な、なんだ…今の…」
「こいつ…!」
ようやく4人は自らの危機意識がいかに低いかを自覚した。
「早速だが貴様等、全員叩き潰す」