番外編15:都合の悪い強盗
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
タイミング良く、並んでいる客はあと1人というところまで減っていた。これなら差ほど待たずにエドも会計を済ますことができるだろう。
「お待たせいたしました~、どうぞー……?」
声をかけられた最後尾の男性は、商品を1つも持たずにポケットに両手を突っ込んだまま、店員の目の前に立った。
「あの、お客様?何になさいますか?」
「……」
きっとこの客はレジ横に陳列されている揚げ物や中華まんを買い求めるのだろうと判断し、店員は注文を促すも男性はだんまりを決め込む。
その異様な雰囲気は夢主とエドの足を止めていた。
「おい……出せ」
「はい、何を」
「金出しやがれ、レジん中全部だ!」
「ひぃっ!?」
やっと外に出された手には、財布ではなくナイフが握られてる。その凶器は夢主達の位置からは見えないが、今がどういう状況なのかは2人ともすぐに理解した。
「ごっ強盗だぁ…!」
男から十分距離をとっているが、突然のことでエドも店員と同じく震え上がった。
「エド、ディー・スマッシュだ」
「ん?」
汗だらけになった小さな手を緑色のディスクに伸ばすが、刃物を持った男がハルクの声に反応してこちらへ振り向いた。
「今、野郎の声がしたか?」
「う、う、あわわ…!」
犯人と目が合ったエドは恐怖ですっかり凍り付いてしまう。
「待って。ここは私が出す」
夢主はエドの盾になるように一歩前へ出た。
「何だ?お嬢ちゃんもお駄賃出してくれるのか?」
「ええ。最近の子供が持ち歩いている額にびっくりしないでくださいね」
溝が黒く染まった青いディスクを専用のリストバンドから外し、慣れた手つきで床に叩きつける。
「ロールシャッハさん!!ディー・スマッシュ!」
光と共に姿を現したロールシャッハは、エドが脇に抱えている雑誌を片手で取り上げ、強盗の方を見た。
「気をつけてくださいね、ロール、シャ…?」
彼は何も言わずにただ歩いていく。
「!……や、やんのか!?」
「まさか、あの雑誌を武器に?」
「そ、そんな…せっかく見つけたのに…」
しかしロールシャッハはやらなかった。警戒して数歩下がった強盗には目もくれず、レジの台にその雑誌をぺたりと置いた。
「いくらだ?」
「は、はぁ…っ!?」
店員は恐怖と混乱で身動きがとれないでいる。驚きの声を上げるのがやっとだ。
「…っざけんな!!」
無視されたことに逆上した強盗が切りかかる。が、ロールシャッハはその腕を容易く掴んでひねり後ろ手にさせ、流れるようにレジ台へ押さえつけてしまった。
「こんなことでいちいち呼び出すな。良い歳したガキが2人揃って買い物も満足にこなせないとは。で、いくらだ?」
「ぐあぁあっ!」
どこかに力を込められたのか、可哀想な男は痛みでうめき声を上げた。店員はまだ固まっている。
「呼び出すなって…刃物持った強盗が居るんだもん、助けてもらわなきゃ買い物なんてできないよ。ねぇ、夢主?」
彼女は彼女でエドの話を一切耳に入れず、両手を顎の前で組み合わせパートナーのヒーローをうっとりと眺めていた。
「鮮やかです、ロールシャッハさんっ」
「フン」
当たり前のことをしたまでだ、とでも得意げに続けそうなくらいロールシャッハの相槌は弾んでいた。賞賛されること自体は満更でもないのだろう。
「えぇー…」
「…相変わらずだな」
ドン引くエドの頭に座るハルクも少々うんざり気味で、突っ込む気力すら無いようだ。
「お待たせいたしました~、どうぞー……?」
声をかけられた最後尾の男性は、商品を1つも持たずにポケットに両手を突っ込んだまま、店員の目の前に立った。
「あの、お客様?何になさいますか?」
「……」
きっとこの客はレジ横に陳列されている揚げ物や中華まんを買い求めるのだろうと判断し、店員は注文を促すも男性はだんまりを決め込む。
その異様な雰囲気は夢主とエドの足を止めていた。
「おい……出せ」
「はい、何を」
「金出しやがれ、レジん中全部だ!」
「ひぃっ!?」
やっと外に出された手には、財布ではなくナイフが握られてる。その凶器は夢主達の位置からは見えないが、今がどういう状況なのかは2人ともすぐに理解した。
「ごっ強盗だぁ…!」
男から十分距離をとっているが、突然のことでエドも店員と同じく震え上がった。
「エド、ディー・スマッシュだ」
「ん?」
汗だらけになった小さな手を緑色のディスクに伸ばすが、刃物を持った男がハルクの声に反応してこちらへ振り向いた。
「今、野郎の声がしたか?」
「う、う、あわわ…!」
犯人と目が合ったエドは恐怖ですっかり凍り付いてしまう。
「待って。ここは私が出す」
夢主はエドの盾になるように一歩前へ出た。
「何だ?お嬢ちゃんもお駄賃出してくれるのか?」
「ええ。最近の子供が持ち歩いている額にびっくりしないでくださいね」
溝が黒く染まった青いディスクを専用のリストバンドから外し、慣れた手つきで床に叩きつける。
「ロールシャッハさん!!ディー・スマッシュ!」
光と共に姿を現したロールシャッハは、エドが脇に抱えている雑誌を片手で取り上げ、強盗の方を見た。
「気をつけてくださいね、ロール、シャ…?」
彼は何も言わずにただ歩いていく。
「!……や、やんのか!?」
「まさか、あの雑誌を武器に?」
「そ、そんな…せっかく見つけたのに…」
しかしロールシャッハはやらなかった。警戒して数歩下がった強盗には目もくれず、レジの台にその雑誌をぺたりと置いた。
「いくらだ?」
「は、はぁ…っ!?」
店員は恐怖と混乱で身動きがとれないでいる。驚きの声を上げるのがやっとだ。
「…っざけんな!!」
無視されたことに逆上した強盗が切りかかる。が、ロールシャッハはその腕を容易く掴んでひねり後ろ手にさせ、流れるようにレジ台へ押さえつけてしまった。
「こんなことでいちいち呼び出すな。良い歳したガキが2人揃って買い物も満足にこなせないとは。で、いくらだ?」
「ぐあぁあっ!」
どこかに力を込められたのか、可哀想な男は痛みでうめき声を上げた。店員はまだ固まっている。
「呼び出すなって…刃物持った強盗が居るんだもん、助けてもらわなきゃ買い物なんてできないよ。ねぇ、夢主?」
彼女は彼女でエドの話を一切耳に入れず、両手を顎の前で組み合わせパートナーのヒーローをうっとりと眺めていた。
「鮮やかです、ロールシャッハさんっ」
「フン」
当たり前のことをしたまでだ、とでも得意げに続けそうなくらいロールシャッハの相槌は弾んでいた。賞賛されること自体は満更でもないのだろう。
「えぇー…」
「…相変わらずだな」
ドン引くエドの頭に座るハルクも少々うんざり気味で、突っ込む気力すら無いようだ。