番外編14:都合の良いパーカー
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ビーチにはすっかり平和が戻り、夢主は初対面だと思い込んでいるヒーローから怪我の手当を受けていた。
「もー、せっかくのお出かけだったのにぃー」
「まあ、そう言うなジェシカ。無傷…って訳にはいかなかったが、結果、仲間を守り切ることができたんだ」
怪我をしていないメンバーも夢主達の居るレジャーシートの側、海の家のデッキに集まって休憩していた。
「そうだよ、助かっただけ良かったじゃん。サンキュー、スパイダーマン!」
「お安い御用だよ」
アキラに明るい返事をしたスパイダーマンは、声量を落とし少し改まったように正面の夢主へ話しかける。
「…にしてもキミ、大分体張ったね」
「はい?」
「見てたよ。度胸あると言うか大胆と言うか…」
大胆。確かに、普段しないようなことを実行するにはかなりの勇気がいった。決めた相手でもない男性との積極的な触れ合いは、夢主にとって人生初の出来事だ。
ちなみに性にうるさいパートナーがあの場に居れば、また別の覚悟が必要だっただろう。
「あれは…まあその、あれしか方法が思いつかなかっただけですし」
今目の前に居る彼にも一部始終を目撃されていたかと思うと恥ずかしくてたまらなくなり、顔を逸らしながら彼女は答えた。
また、これ以上思い返そうとするとあの得も言われぬ感覚が戻ってきてしまいそうな気がしてならない。夢主は必死に頭を空っぽにしようと目を伏せながら、この話題がさっさと終了することを切に願った。
「女の子なんだから、体は大事にしなきゃダメだよ?」
「はい…」
「特に日常生活で不便でしょ?手の平なんか怪我したら」
「……手?」
考えてもいなかった単語が飛び出し、思考が容易く停止する。消毒の手は止まらない。
「ああ、しかも指の方はこんなに深く……ちょっと動かすだけでも痛まない?」
「そ、そうですね!気を付けますね…!」
言われていた内容を勘違いしていたことに気付き、夢主は熱を帯びていく顔を隠したくなった。濃い影を落としてくれているパラソルと、これを準備してくれたであろう青年に心から感謝した。
「ところでさー……この怪我治ったら僕にも直伝してくれない?もし機会があったら使ってみたいんだ」
ピーター・パーカーは口の端を吊り上げ、下から覗き混むように相手を見つめた。が、マスクを被っている男の目線など本人以外はわからない。
「直伝…?何をですか?」
「何って…」
夢主は自分の手を凝視しているように見えるスパイダーマンから異様な雰囲気を感じ取った。
「異性の惑わし方」
そう言いながら彼は応急処置の済んだ彼女の手を裏返し、その甲を包んで実に優しく撫で上げた。
「さっきの、なかなか色っぽかったよ。どこで覚えるの?そんなテク」
しなやかな一連の動作に見とれたせいもあり、夢主は逃げることを忘れ固まってしまった。
「夢主、テクとは何だ。俺の居ない間に何があった」
既にこちらから教えることは無いのではないだろうかと疑問に思うよりも、彼の肩越しに目が合っているヒーロー様への弁解の文言を考える方がまず先だろう。
「もー、せっかくのお出かけだったのにぃー」
「まあ、そう言うなジェシカ。無傷…って訳にはいかなかったが、結果、仲間を守り切ることができたんだ」
怪我をしていないメンバーも夢主達の居るレジャーシートの側、海の家のデッキに集まって休憩していた。
「そうだよ、助かっただけ良かったじゃん。サンキュー、スパイダーマン!」
「お安い御用だよ」
アキラに明るい返事をしたスパイダーマンは、声量を落とし少し改まったように正面の夢主へ話しかける。
「…にしてもキミ、大分体張ったね」
「はい?」
「見てたよ。度胸あると言うか大胆と言うか…」
大胆。確かに、普段しないようなことを実行するにはかなりの勇気がいった。決めた相手でもない男性との積極的な触れ合いは、夢主にとって人生初の出来事だ。
ちなみに性にうるさいパートナーがあの場に居れば、また別の覚悟が必要だっただろう。
「あれは…まあその、あれしか方法が思いつかなかっただけですし」
今目の前に居る彼にも一部始終を目撃されていたかと思うと恥ずかしくてたまらなくなり、顔を逸らしながら彼女は答えた。
また、これ以上思い返そうとするとあの得も言われぬ感覚が戻ってきてしまいそうな気がしてならない。夢主は必死に頭を空っぽにしようと目を伏せながら、この話題がさっさと終了することを切に願った。
「女の子なんだから、体は大事にしなきゃダメだよ?」
「はい…」
「特に日常生活で不便でしょ?手の平なんか怪我したら」
「……手?」
考えてもいなかった単語が飛び出し、思考が容易く停止する。消毒の手は止まらない。
「ああ、しかも指の方はこんなに深く……ちょっと動かすだけでも痛まない?」
「そ、そうですね!気を付けますね…!」
言われていた内容を勘違いしていたことに気付き、夢主は熱を帯びていく顔を隠したくなった。濃い影を落としてくれているパラソルと、これを準備してくれたであろう青年に心から感謝した。
「ところでさー……この怪我治ったら僕にも直伝してくれない?もし機会があったら使ってみたいんだ」
ピーター・パーカーは口の端を吊り上げ、下から覗き混むように相手を見つめた。が、マスクを被っている男の目線など本人以外はわからない。
「直伝…?何をですか?」
「何って…」
夢主は自分の手を凝視しているように見えるスパイダーマンから異様な雰囲気を感じ取った。
「異性の惑わし方」
そう言いながら彼は応急処置の済んだ彼女の手を裏返し、その甲を包んで実に優しく撫で上げた。
「さっきの、なかなか色っぽかったよ。どこで覚えるの?そんなテク」
しなやかな一連の動作に見とれたせいもあり、夢主は逃げることを忘れ固まってしまった。
「夢主、テクとは何だ。俺の居ない間に何があった」
既にこちらから教えることは無いのではないだろうかと疑問に思うよりも、彼の肩越しに目が合っているヒーロー様への弁解の文言を考える方がまず先だろう。