夢主とジェシカもビーチバレーに加わり、３対３のミニゲームでしばらく遊んでいた。最初は和気あいあいとプレイしていたが、だんだん熱が入ってきて今や本気で競り合う試合と化している。それぞれの肩に乗っているヒーロー、特にアイアンマンの応援にも気合いが込められる。

「よし、この勢いでもう一点行くぞ！」
「任せて！そ～れっ！」

ジェシカの放った鋭いサーブはアカツキ兄弟の頭上を通り過ぎ、ネットスレスレで相手コートに入る。

「来たぞ、クリス！」
「言われなくても…！」

クリスが辛うじて拾ったボールは、緩やかな弧を描きながら後方へ飛んでいく。

「ナイスサーブよ、ジェシカ」
「まあね～」

気が早くもジェシカは鼻を高くしているが、ワスプも自分のことのように誇らしげだ。

「そっち行ったぞ！」
「はいっ！」

夢主がトスし、なんとかネット際に居るクリスへボールを返す。

しかしその直後、バンザイのまま後ずさるエドとボールしか見ていなかった夢主はお互いに気が付かないままぶつかってしまった。

「あっ！？」
「うわぁっ！？」

バランスを崩した夢主と共にエドは彼女の膝を割って尻餅を付いた。一方で、クリスがスマッシュしたボールは相手コートの端の砂を勢い良くえぐっていった。

「ごっ、ごめんなさい…！」

エドは今にも泣きだしそうな声で夢主に謝る。２人とも砂まみれだ。

「ううん。エドくんは怪我無い？眼鏡も……エドくん…？」

彼は夢主の肩越しに誰かと目が合ってしまい、すっかり硬直していた。