番外編14:都合の良いパーカー
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太陽の光が真上から降り注ぐ中、ジェシカは海で浮き輪に体を預け、アキラ達はピーターが張ったネットを使ってビーチバレーを楽しんでいる。
一方夢主はというと、レジャーシートを敷いてくつろいでいるペッパーの隣で小さく体育座りしていた。先程の意気込みは何処へやら、パラソルが作る影の中で完全にうなだれている。
「それ着てたら暑くない?まあ、ロールシャッハに比べたらかなり薄着だけど」
トレンチコートを頑として脱がないヒーローは着替え終えた夢主の姿を見るや否や、どこかへ歩いていってしまった。帰りの時間までに戻ってきてくれれば良いのだが。
「バンソウコウ…注射の痕、隠したいので…」
「そう……まだ消えてなかったのね」
その辺りの袖を夢主はぎゅっと握り締めた。
「……あの…こんなこと、言って良いのか…」
「何?構わず言ってみて」
ペッパーはそっと促すように優しく微笑みかけた。
「……時々、すっごく怖くなるんです。意味分かんないものが、今も自分の体の中にあって……それのせいでもし…普通の人と違ってきちゃったら、どうしようって」
「違うって…?」
かつて実験体だった夢主は、口ごもりながらも自分のペースで続ける。
「たとえば…た、体力とか、体の造りとか……寿命、とか」
シングルバイオコードと名付けられたそれは、インストールの事情こそアキラ達のリミテッドバイオコードと違うものの、まだまだ未知な部分が多い。特殊なバイオコードが彼等に与える影響は一体どんなものなのか。それはペッパーにもわからない。
「これから私、どうなっちゃうんだろうって…」
「……」
極小さな声で話していたため、波の音と笑い声が耳に入ってきた。やけに遠く感じる波打ち際では、5人の子供達がそれぞれ楽しそうに遊んでいる。
「ジェシカちゃん達だって不安定なバイオコードを持っているのに、あんなに明るくて前向きで……なのに、私は…」
模範的にも見える仲間達に目を向けていられなくなり、膝小僧に顔を埋める。
「だめですよね、こんなんじゃ…」
黙って話を聞いていたペッパーは一旦目を閉じてから正面を向いた。
「混ざって来れば?」
何のことかと顔を上げた夢主の視線を誘導するように、彼女はアキラ達を指した。
「今貴女がすべきことは日陰で膝を抱えることじゃなくて、あの子達と一緒に目一杯遊んで不安なんか吹き飛ばしてくることよ」
「ペッパーさん…」
「せっかく海に来たんだし、ね?」
「……はい!」
明るく返事をした夢主はすくっと立ち上がり、波打ち際の方へ駆け出していく。ペッパーはその後ろ姿を見守りながら、自分にしか聞こえない声で呟いた。
「今できるのは、励ますことくらいね…」
すると夢主は急に立ち止まってこちらへ振り返った。
「ありがとうございます!」
夢主はにっこりと笑ってお辞儀をした後、今度こそ仲間の子供達の元へ走って行った。すっかり元気を取り戻した単純な子供に、少しだけ目を見開いていたペッパーからも自然と笑みがこぼれる。
一方夢主はというと、レジャーシートを敷いてくつろいでいるペッパーの隣で小さく体育座りしていた。先程の意気込みは何処へやら、パラソルが作る影の中で完全にうなだれている。
「それ着てたら暑くない?まあ、ロールシャッハに比べたらかなり薄着だけど」
トレンチコートを頑として脱がないヒーローは着替え終えた夢主の姿を見るや否や、どこかへ歩いていってしまった。帰りの時間までに戻ってきてくれれば良いのだが。
「バンソウコウ…注射の痕、隠したいので…」
「そう……まだ消えてなかったのね」
その辺りの袖を夢主はぎゅっと握り締めた。
「……あの…こんなこと、言って良いのか…」
「何?構わず言ってみて」
ペッパーはそっと促すように優しく微笑みかけた。
「……時々、すっごく怖くなるんです。意味分かんないものが、今も自分の体の中にあって……それのせいでもし…普通の人と違ってきちゃったら、どうしようって」
「違うって…?」
かつて実験体だった夢主は、口ごもりながらも自分のペースで続ける。
「たとえば…た、体力とか、体の造りとか……寿命、とか」
シングルバイオコードと名付けられたそれは、インストールの事情こそアキラ達のリミテッドバイオコードと違うものの、まだまだ未知な部分が多い。特殊なバイオコードが彼等に与える影響は一体どんなものなのか。それはペッパーにもわからない。
「これから私、どうなっちゃうんだろうって…」
「……」
極小さな声で話していたため、波の音と笑い声が耳に入ってきた。やけに遠く感じる波打ち際では、5人の子供達がそれぞれ楽しそうに遊んでいる。
「ジェシカちゃん達だって不安定なバイオコードを持っているのに、あんなに明るくて前向きで……なのに、私は…」
模範的にも見える仲間達に目を向けていられなくなり、膝小僧に顔を埋める。
「だめですよね、こんなんじゃ…」
黙って話を聞いていたペッパーは一旦目を閉じてから正面を向いた。
「混ざって来れば?」
何のことかと顔を上げた夢主の視線を誘導するように、彼女はアキラ達を指した。
「今貴女がすべきことは日陰で膝を抱えることじゃなくて、あの子達と一緒に目一杯遊んで不安なんか吹き飛ばしてくることよ」
「ペッパーさん…」
「せっかく海に来たんだし、ね?」
「……はい!」
明るく返事をした夢主はすくっと立ち上がり、波打ち際の方へ駆け出していく。ペッパーはその後ろ姿を見守りながら、自分にしか聞こえない声で呟いた。
「今できるのは、励ますことくらいね…」
すると夢主は急に立ち止まってこちらへ振り返った。
「ありがとうございます!」
夢主はにっこりと笑ってお辞儀をした後、今度こそ仲間の子供達の元へ走って行った。すっかり元気を取り戻した単純な子供に、少しだけ目を見開いていたペッパーからも自然と笑みがこぼれる。