第一部:都合の良い女
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邪神ロキによって多数のヒーロー・ヴィランが閉じ込められたディスク。それが世界中に飛び散った日、夢主は塾からの帰り際に流れ星を見た。
「平均点平均点平均点!」
目前の望みを星に託したが、すぐ我に返る。
「…いやいや、何を言ってんだ私は」
自分の力以外にいくら祈ろうと、数日後に返ってくるテストの点数は自分の力そのものを示す。たしかに願掛けは心強く感じるが、それだけ。気持ちの問題の範疇。テストを受ける前ならまだしも、終わってしまった今では一点にもならないのだ。
それに星に頼るにしても、その内容を平均点で妥協している自分に少し恥ずかしくなった。
もしロールシャッハなら。海の向こうの憧れのヒーローなら。一切の特殊能力無しに己の拳でヴィランと渡り合っている彼なら。やると決めれば例えそれがちっぽけなテストだとしても、妥協せず満点を目指し必ず手にするのだろう。
諦めそうになったとき、妥協してなあなあで済ませようとしたとき、彼の活躍を思い出して自分自身を奮い立たせてきた。
「見てて下さい!……ここ、日本だけど…」
ちなみに、彼に夢中になってからは独り言が多少増えた。静かな夜道に自分の声だけが空しく響く。
「お!」
本日二度目の流れ星。懲りない夢主は、妥協しない傲慢な願いを込める。
「満点満点満、て……!?まっ!」
目の錯覚でなければ、流れ星はこちらに向かって落ちて来ている。
先程のものより大分移動距離が短く、ゆっくり進んでいる。きっと遠くを流れている星なんだと思い込んでいたが、それは間違いで。
明るい光は夢主の頭上を越え、住宅街の向こう側で一層強い光を発し、音もなく静まった。
「平均点平均点平均点!」
目前の望みを星に託したが、すぐ我に返る。
「…いやいや、何を言ってんだ私は」
自分の力以外にいくら祈ろうと、数日後に返ってくるテストの点数は自分の力そのものを示す。たしかに願掛けは心強く感じるが、それだけ。気持ちの問題の範疇。テストを受ける前ならまだしも、終わってしまった今では一点にもならないのだ。
それに星に頼るにしても、その内容を平均点で妥協している自分に少し恥ずかしくなった。
もしロールシャッハなら。海の向こうの憧れのヒーローなら。一切の特殊能力無しに己の拳でヴィランと渡り合っている彼なら。やると決めれば例えそれがちっぽけなテストだとしても、妥協せず満点を目指し必ず手にするのだろう。
諦めそうになったとき、妥協してなあなあで済ませようとしたとき、彼の活躍を思い出して自分自身を奮い立たせてきた。
「見てて下さい!……ここ、日本だけど…」
ちなみに、彼に夢中になってからは独り言が多少増えた。静かな夜道に自分の声だけが空しく響く。
「お!」
本日二度目の流れ星。懲りない夢主は、妥協しない傲慢な願いを込める。
「満点満点満、て……!?まっ!」
目の錯覚でなければ、流れ星はこちらに向かって落ちて来ている。
先程のものより大分移動距離が短く、ゆっくり進んでいる。きっと遠くを流れている星なんだと思い込んでいたが、それは間違いで。
明るい光は夢主の頭上を越え、住宅街の向こう側で一層強い光を発し、音もなく静まった。
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