Crows to you
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デフォルト:広瀬季都【ひろせ きと】烏野高校二年三組の帰宅部。嶋田マートをメインにヘルプ要員で色んなバイトをしている為、商店街に顔が広い。
最近の悩み:「バイト入れ過ぎて“友達居ないの?”ってよく聞かれるけど沢山居ますから!!」
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バレーボールはコート内の6人の選手の他、リベロという守備専門の選手を入れると7人で行うスポーツで、ボールを持ってはいけない、そして床に落としてもいけないというスポーツだ。
ブロックという相手の攻撃を妨げる行為を0として、3回ボールを弾く間に守備、攻撃準備、攻撃の流れを作る。
点を取得した方にサーブという先制攻撃の機会を与えられ、相手が点を取得し返さない限りその流れは変わらない。
1セット25点、2セット先取した方が勝ちとなる。
「あとはまぁ、細かいルールもちょこちょこあるんだが、それはゲーム見ながら教えてやるよ」
「......はぁ......」
「季都ちゃん大丈夫か?目が点になってるぞw」
「......いや......改めて聞くと随分難しい競技だなと思いまして......」
烏野と音駒がウォーミングアップをしている間に、滝さんと嶋田さんからバレーボールのルールについて説明してもらった。
ボールを持たず、3回弾くだけで攻撃に繋げないといけないとかあまりにも制限が多過ぎる。
サッカーとか野球とかはテレビでよくやるから何となく見てたりするけど、もう少し緩和されたルールだったような。
競技が全然違うのだし、当たり前といったらそうなんだけど、それでもバレーボールのルールはかなり厳しいように感じた。
「まぁ、忙しないスポーツではあるよな、やってる方も見てる方も。あちこちボールは動くし、次はどの攻撃でいくかとか、逆に向こうはどんな攻撃でくるかとか、3回のラリーの間で色々考えないといけないしな」
「時々今何回目のラリーなのかわかんなくなって、自滅しちゃったりな」
「あー、あるある」
「はぁ......」
滝さんと嶋田さんの話にため息混じりの相槌を打つと、二人はなぜかニヤニヤと笑いながらこちらを見てきた。
「キトも今度俺らのとこでやってみる?バレーボール」
「えー、嫌ですよ。やるなら子どもバレー教室くらいやさしい所でやりたいです」
「いやいや、俺もたっつぁんも優しく教えるぜ?」
「とか言って嶋田さん、ジャンプなんちゃらサーブとか打つんでしょ?全然できない私を嘲笑うんでしょ?」
「ちょっと待って季都ちゃんの頭の中の俺ってどんだけ性格悪いの?」
苦笑いを浮かべる嶋田さんに滝さんと笑ってたら、アリーナの方からホイッスルが鳴り響いた。
どうやらいよいよ烏野対音駒の試合が始まるらしい。
ネット越しに整列する2校を上から見ながら、一体誰が試合に出るんだろうと少しそわそわしてしまう。
元気のいい挨拶の後、一度ベンチへ戻った両者だったが、少ししてから選ばれし6人がコートの中へ入る。
坊主頭ですぐわかる田中君に、先程見かけた背の高い長髪の人と、同じくらい背の高い金髪眼鏡の人。西谷君はコートの外にいるってことはスタメンではないのかと思ったけど、どうやらリベロという役職は一番最初のプレーに参加出来ないらしい。
短髪黒髪の真面目そうな人と、サラサラ黒髪の...あれ?あの人確か、前に自販機で会ったな?
以前ぐんぐんヨーグルを差し上げた人が、まさかバレー部だったとは。
なんだか勝手に不思議な縁を感じてしまい、滝さんと嶋田さんにバレない程度に小さく笑った。
そっかそっか、それなら私が飲むよりずっとよかった。乳酸飲料、冥利に尽きるという奴だろう。
そんな間抜けなことを考えながら、見えた光景に思わず目を丸くした。
「......え、あの子が出るの?」
最後にコートに入ってきたのは、橙の髪色の背丈の低い男の子だった。
背丈の低いといってもきっと私よりは大きいんだろうが、それでもベンチには彼よりもっと大きい人が沢山いる。
驚きのあまりつい口に出してしまった私に、滝さんと嶋田さんは同時にふきだした。
「ははっ、だよなぁ?普通そう思うよなぁ?」
「いやぁ、あまりにいい反応過ぎて笑うわw季都ちゃん連れてきてたっつぁん大正解」
「え、え?どういうことです?」
話の流れがいまいちわからず戸惑う私に、二人はニヤリと意地悪そうに笑う。
「ま、百聞は一見に如かずって言うしな?」
「後はその目でご覧あれ、ってな」
「?」
私が首を傾げたのと、試合開始のホイッスルが鳴ったのは殆ど同時だった。
どうやら先制攻撃を仕掛けるのは音駒のようで、先程目が合ってしまったプリン頭の男子がボールを持っている。
何となく引け目を感じてそわそわしている私を他所に、男の子は淡々とサーブを打つ。
「おっ、コーナーギリギリ!?」
「威力はないけどいいコース!」
嶋田さんと滝さんが盛り上がる。
今のがいいサーブだったのかなんて私には全くわからないが、二人の反応を見るとおそらくそうなんだろう。
そのサーブは烏野の長身長髪の人が拾い、ちゃんとボールを上げたのになぜか「スマンちょい短い!」と謝った。
何が短いんだろうと首をかしげた矢先、「旭さん1ヶ月もサボるからっ」という西谷君の大きな声にぎょっとする。
あんなに怖そうな人に喝を入れるなんて私にはできない。
「影山カバー!」
その間にも烏野の選手は忙しなく動き回り、サラサラ黒髪の彼がすぐにボールの下へ入った。
その、瞬間。
ボールはいつの間にか相手のコートへ入っていた。
サラサラ黒髪の彼の手ではなく、先程見た小さい橙色の髪の男の子が本当にいつの間にか攻撃を決めていたのだ。
おそらくコンマ何秒という恐ろしく速い時間の中で、彼らはトスしてスパイクを打つという芸当をやってのけた。
「えっ......えっ!?今の、今のなに!?どういうこと!?」
瞬く間に行われた行為に驚き過ぎて思わず敬語も忘れて両隣りにいる二人に聞くと、二人はまた同時に笑いだした。
「めっちゃいい反応するな~!」
「それが見たかった!」
「いや、いやいや笑い事じゃなくて!何なんですかアレ!?私の知ってるバレーボールと全然違うんですけど!?」
ケラケラと笑う二人に説明を求めるも、それを聞く暇なくサーブ権は烏野に移る。
どうやら次のサーブは田中君が打つようだ。
「行ぐぞラァ!!」
威勢のいい声と共に打ち込まれた力強いサーブを、音駒の黒髪短髪の男子は事も無げに綺麗に上げる。
腕、痛くないのかな?と少し心配してしまうと、今度は音駒のモヒカン男子が力強いスパイクを打ち込んだ。
こちらもすごい衝撃音がしたが、西谷君がこれまた綺麗に上げる。
ボールは再びサラサラ黒髪の男子へ行き、かと思ったらすでに橙色の髪の男の子がネットを飛び越すくらいまで飛んでいた。
先程の高速攻撃かと思ってたまらず身を乗り出すと、ボールは先程西谷君に怒られていた長身長髪の人へ向かい、そのまま地鳴りのような重低音を響かせたスパイクを打つ。
あまりの迫力にビクリと肩を竦ませた。
「......お......大人が、混ざってる......?」
どう見ても自分と同じ高校生には見えず、怖気付きながら首を傾げる私に、二人はまた可笑しそうに笑うのだった。
これがウワサの変人速攻!
(なんかよくわかんないけど、なんか凄いのだけはわかる!)