念能力者の平易生活


「シャーネ!勝手にどこかにいくんじゃない」

青雉さんじゃ当てにならないから代わりに赤犬さんに怒られるのは慣れたことだ。

約一ヶ月ぶりに本部に戻った僕にはやっぱり見張りがついて、しばらくは大人しくしてろってことだと思う。

本部の窓から見た外に数隻の船が止まった。

中から大将クラスの強さがありそうな人が四人降りてくる。

彼らは誰なんだろう

ピンクの羽、黒いコート、大きな刀、体型を誇張する洋服、水色の肌。

眺めてればそのうちの一人が僕を見た。

葉巻をくわえる口が弧を描いてふわりと姿が消える。

なんとなく窓を開ければ、砂が風に乗って現れた。

「見ねぇ顔だな」

砂が人型になってまた葉巻を吸う黒いコートが立つ。

『たぶん、僕も貴方を見たことないよ』

これも念の気配がしないから悪魔の実とかいうやつなのかな

クハハと特徴的な笑い声を上げて金属の冷たさが額に触れた。

「サー・クロコダイル…海軍のくせに七武海もしらねぇのか」

『シャーネ、少尉…だと思う』

いない間に中尉になってたら違うけど

向こう側から青雉さんとカープさんが走ってくる。

どこか怒ってるみたい?

前に立つサーを見た。

『サー、勝手に飛んできたから怒られてるんじゃないの』

「お前が勝手に俺と話してるからだろ」

笑ったサーは瞬間砂で僕を包む。

とばっちりで近くにあった観葉植物が枯れて粉になってた。

『………』

「ほう」

この世界で悪魔の実、ロギア系というやつを念で防ぐのは容易い。

砂が僕の周りに円を描いて止まった。

「シャーネくん!」

青雉さんとガープさんは顔を青くして息を吐く。

「クロコダイル!貴様会議サボる気か!」

「うるせぇな、どうせ始まるまで時間があるんだから好きにさせろよ」

「そう言ってこの間も海兵を二人殺しただろう!ドフラミンゴといいまったく!」

ガープさんはどこ行っても大変だと思う。

そのうち血管プツンて言いそう





「鰐、そいつ誰だ?」

「何を勝手なことしているんじゃ」

ピンクの羽が楽しそうに、水色の肌が呆れたように僕を見た。

鰐と呼ばれたサーは薄く笑って開いてる席に座る。

なんで僕連れて来られたんだろう

向こうで座ってたセンゴクさんは目があった瞬間に頭を抱えた。

「可愛らしいおなごじゃ。幾つかの?」

真横から声をかけられ目線を下ろす。

「わらわはボア・ハンコック」

『シャーネ。…ちょっと年齢はわかんないけど、女じゃないよ』

「男?!」

『うん。』

ぐぐっっと上半身をのけぞってなにか言い始めたけどあまり僕に関係なさそうだし聞かなくてもよさそう。

なにか僕に伸びてきてたものを弾いた。

「フッフッフッ」

ピンクのもこもこがあげてた右手をおろして笑う。

生憎見えはしなかった、それでも多分…やっぱりなにか出してたんだろうと思う。

「鶴さん!おもしれー奴がはいってんじゃねぇか!」

「シャーネはやらんよ」

海軍の古局、参謀のおつるさんが入ってきてセンゴクさんの隣りに座った。

「それよりもシャーネ、アンタなんでここにいるんだい」

『連れてこられたからだと思う』

そんなことを聞いてるんじゃないと思いっきりため息をつかれても別に僕のせいじゃないと思うんだけど。



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