DC 原作沿い


「結局四人で行ったんだろ?楽しめたか?」

『ん!楽しかったー!』

仕事を終え、迎えに来てくれたアイくんと喫茶店に入って最近あったことを話す。

つい数日前、コルにぃとキャンねぇ、カルにぃくんとの予定がかぶってしまった日にアイくんの助言通り三人で遊びに行った。偶然にもカルにぃくんのおすすめフルーツワッフルと、コルにぃが選別しておいてくれた科学館は同じ県にあって、はしごして終日楽しく過ごした。

『今度はアイくんも一緒に行こうね!』

「あー、機会があったらなぁ」

そう言ってアイくんが遊びに参加したことは殆ど無い。アイくんいわく、俺単体ならまだしも、キャンねぇとコルにぃ、カルにぃくんとはテンションが合う気がしないらしい。

『前行った遊園地楽しかったよね』

「最後爆発したやつな」

『いい思い出だよねー』

「いい思い出か?」

『爆弾撃ち抜いたアイくんかっこよかったよ!』

「おー、そうかそうか」

アイくんが人目を引いてくれなければあそこからの脱出は流石に難しかっただろう。二人で帰って早々に騒ぎに巻き込まれたことにジンくんには怒られてしまったけど、遊園地のアトラクションも楽しかったしいい思い出だ。

わしゃわしゃと頭を撫でてくれたアイくんに口元を緩めて目を瞑る。アイくんの大きな手は撫でられてるとほっとする。

『―――、』

「パリジャン」

『んー?』

呼ばれたから目を開けた。微妙な顔をしてるアイくんにどうしたの?と首を傾げればなんでか苦虫を噛みつぶしたみたいな顔をされて、なんでもないと目を逸らされた。

『アイくん変なのー』

「変じゃねぇわ。おら、さっさと食え」

『ういー』

フォークが渡されたから受け取って、食べかけのロールケーキを放り込む。ふんわりとしたスポンジとくどすぎないクリーム。新鮮なフルーツの酸味と甘味を味わって飲み込んで、向かい側のアイくんは視線を落として眉根を寄せ難しい顔をしてる。

さっきまでは普通に話してたはずなのに急にどうしたのか。仕事の嫌なことでも思い出したのかもしれない。

アイくんの皿に乗ったロールケーキを掬って、口元に差し出す。

『アイくん!はい!あーん!』

「なにやってんだ??」

『食べたら次行こ!俺ね、今度は一緒にしょっぱいの食べたい!』

「……ならさっき通ってきたとこにあった肉まんでも買ってくか」

『うん!』

差し出してたケーキを口に入れて飲み込んだアイくんにフォークを置く。アイくんはすっかり元の表情に戻ってたから一安心して立ち上がった。

『あとあっちにあった人形焼!いろんな味あったから半分こしよー!』

「おー、いーぞ」

色々食べたいけどあんまり食べれない俺だけど、アイくんはいつだって半分こしてくれるからたくさん楽しめる。

二度おいしくて楽しい食べ歩きに、早く行こうと服を引けばアイくんは仕方ねぇななんて笑ってくれた。



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