イナイレ


何時ものように音ゲーを楽しむ。

今日はアイスが大好きな兄さんが歌ってる曲にちゃんと兄さんをカスタムして踊ってもらってる。

バラード調ながらもノーツ数が多くて長押しや同時押しが多い曲は比較的難易度が高いけれど、慣れればオールパーフェクトも容易い。いつぞやと似た状況。 あと少しでコンプリート…というところで手元から兄さんが消えた。

こいつはこれをテンプレにする気らしい。

『なにすんだ…』

「授業中にやるなっていってるだろ」

ゲームをしてた体制のまま息を吐けば眉根にしわを寄せてる風丸がPSP片手に腰に手を当ててる。

風丸の向こう側にはまた騒いでるのかと言いたげに首を横に振るクラスメイトと担任がいて、前髪を握るようになでて流した。

『……………はぁ』
 
思っていることを息として口から吐き出し、机の中からノートを取り出して渡す。

『これでいいのか』

「ああ、ありがとな、助かる」

PSPとノートを交換して、受け取ったノートを開いた風丸はぱらぱらとページを送る。

陸上部からサッカー部に転向した風丸は全国制覇をかまして、それから休む間もなく絶賛サッカー関連で全国を飛び回っている。なんでも宇宙人がどーとかなんとか、どこぞの厨ニ病が騒いでるらしい。

なにはともあれ、世界を救う?とか言って全国を飛び回り、たまに帰ってきては授業に参加してる風丸に、勉強の遅れってものは流石の成績上位の風丸でも色々と取り戻すのが難しいらしい。

だから俺のノートを使って予習復習を頑張っている。

ノート貸してやるからゲームくらい好きにやらせてくれてもいいのに、見返りも求めず、俺がいい奴過ぎて涙が溢れそうだ。

「うわ、もうこんなところまで進んだのか…」

『来週の試験でそこ出る』

「まじか…」

数学のノートを見て肩を落とした風丸は、地球の命運よりも成績のほうが身近にあって重い。

この様子だとまた強制的な勉強会が開催されるかもしれないから逃げるか、適当に対策プリントだけ渡して凌がないといけない。

「おーい、風丸ーっ!」

ああ、また煩いのが来た

考えてたプリントの構成をブッ壊して飛び込んできたバンダナに息を吐く。そうすれば俺に気づいたらしくにっぱりと笑った。

「来栖もはよーっ!」

『ん』

暑苦しいのは嫌いだ。

最初から合わせてない目を、風丸から返してもらったPSPに移して視界を固定し、ゲームを再開する。

「おーい…」

「こうなったらこいつもう何も聞こえてないから放っておいとけ」

「そうなのか?」

今度こそEXTREMEオールパーフェクトだ



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