DC 紺青の拳




何か、鳴ってる

手探りで音を止めようと体を動かすけど布しか掴まない。

しかたなしに身体を起こして、あくびしなから見渡せば夕日が差し込むだけで薄暗い部屋の中でこうこうと光る四角い画面を見つける。

Callの文字が浮かび上がるそれに手を伸ばして、クリックした。

「、あ」

『あ、』

画面に映るのはあの日見たときとあまり変わらないリシの顔で、左端に映る自分は大変間の抜けた顔をしてた。

リシがぎゅっと眉根を寄せて、唇を結ってから開く。

「っよかった、また会えた」

どうにも嬉しそうで泣くのを堪えてる表情に溜まってた罪悪感が溢れ、目をそらした。

『………あの、その…。ごめん、リシ』

「なにが?」

『連絡、しなくて』

「……いいよ。君は、また俺と話してくれるんだろ?」

緩んだ口元はそう信じて疑っていないらしい。

言葉が出てこなくて頷けばリシは笑って、目尻から涙を零し口を開く。

「俺、君と会えなかった間にいろんなことがあったんだ。君のことも聞きたい。だから、たくさん話をしようよ」

『……うん』

なんでか俺まで鼻がツンとしたから目頭を押さえて、笑う。

あのねとリシが一生懸命話す言葉に一つずつ丁寧に頷いて一言一句聞き逃さないよう耳を傾ける。リシと俺の話はこちらの太陽が落ちて代わりに月が昇って、月が沈み日が昇るまで続いた。 

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