東リベ


聞こえてくる大きな音とざわめき。なにがと顔を上げれば迫りくる列車が見えて、すぐに声を出す。

「全員線路から離れろ!!」

疲れから声はそんなに通らなかった。それでも近くにいる人間が気づいて倒れている奴らを引き摺ってでも離していって、見えた黒色に、おい!と声を出す。

「チビ犬!そこから動け!」

ついさっきベンケイが投げたときに脳でも揺れたか。まだ意識が朦朧としているらしい乾に九井が思いきり手を引く。

「イヌピー!」

「っ、ココ!!」

どちらかが、死んでしまうと、思った。

乾の代わりに線路に踊り出てしまったた九井と、迫ってくる列車。

乾が手を伸ばすよりも早く、白色が舞い降りて持っていたそれを振り、押し出す。

「は、」
「え」

線路に変わりに降り立ったそれはふわりと笑う。

『また悪さして。危ないでしょう?黒猫ちゃん、白犬くん』

「ヒ、メ?」

押し出された勢いで乾とぶつかるように放り出され、呆然としてる九井の顔に、びしゃりと赤色が飛び散る。

「姫くん…」

からんと音を立てて落ちたのは先程それが振るっていた傘で、乾が血相を変えた。

「ひめ…姫南条!!」

「は、?姫南条って…」

明司が聞こえた名前に目を丸くして、真っ赤に染まってる九井は落ちた傘に手を拾い上げて、それから飛びっている赤色に手を伸ばす。

「ヒメ、ヒメ」

「っ、ココ!しっかりしろ!」

ぐちゃりと音がする。九井が触れてしまったそれに表情を歪めて、頭を抱える。

「ああああ!!!」

「ココ!」

泣き叫ぶ九井とそれを必死に支える乾。転がる肉片からは鉄の臭いが漂っていて、ばちんと音がして意識は途絶えた。


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