籠球男子による排球への影響
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あれ、桃井半袖?珍しい」
「ポニーテールじゃん!いつもより女の子みたいだね!」
珍しいのは二番乗りなのが月島くんと山口くんだったことだと思う。
日向くんと影山くんが来てから十分足らず、ポールを立て終えてじゃあストレッチでもしようかなんて空気の中入ってきた二人は俺を見て目を丸くした。
確かに最近はバレーを少しずつするようになったっていっても汗かくほど運動したりしてなかったからジャージの上着を着てるか長袖のインナーを着てたかもしれない
だけど月島くんの言いたいことはまだしも、山口くんの言葉にはとても同意しかねる。
「そーいえばなんで今日の桃井はポニーテールなんだ?」
聞こえてたのか靴ヒモを結ぶためしゃがんでる日向くんに見上げられた。
その横で小さく影山くんがあれポニーテールっていうのかなんて零してたのを聞きつつ目を逸らす。
『…………―ちょ、と…邪魔にな―たから』
「いつもは下めに結んでるのにね!あ、でもその髪型も可愛いと思うよ!」
だからその笑顔と立てた親指をやめてほしい。
山口くんの言葉になにか返すのは余計なことを口走りそうで、目線をそらすことで回避する。
自然と流れはじめた話題に小さく息を吐きだして視線を戻した。
「お、早いな一年」
「おはよー、みんな気合はいってんべ」
がらりと程よく重たい音を立てて開いたドアから顔をのぞかせた部長さんと菅原さんに頭を下げる。
「なんだなんだ、一年勢揃いとは気合じゅーぶんだな!」
「それだけ音駒戦が楽しみなんだな」
「当たり前でしょ!絶対勝つっすよ!旭さん!」
続いて西谷さん、田中さん、東峰先輩が入ってきて先に来てた一年生四人が必然的に駆け寄って一人になる。何をしようかと目線を逸らしたところで入ってきた小柄な黒ジャージに頭を下げた。
「おはよう、桃井」
清水さんは朝早かったのか若干眠そうに目を擦ってからバインダーを抱え直す。
つられて出かけた欠伸を噛み殺してドリンクをとりに給湯室に向うことにした。
人数分のタンブラーをのせたお盆もどきを持ち上げるとずっしりとした重みが腕にかかる。
俺でも流石に重いかなと思う重量を今まで清水さんは一人で運んでたのかと思うと尊敬しかない。
昼食はみんなが家から持参してきてた弁当を食べるらしく、俺も持ってきてた弁当を開いた。
おかずで東峰先輩に絡む西谷さんと田中さんを生暖かい目で見つめる菅原さんと部長さんを遠目で眺めてればずいっと隣から何かが近づいてきて目を向ける。
「桃井の弁当うまそー!」
きらきらした目で見てくる日向くん。声が聞こえたからか黙々と食べ進めてた他の一年の目もこっちに向いた。
「弁当箱小さくない?」
「ツバッキーは小食だね!」
女子高生ほど小さい弁当箱ではないにしろ、自分の顔より大きいかもしれないみんなの弁当箱に比べたらたしかに俺のは小さい部類に入るのかもしれない。
でもだからといってすごい小食のつもりはないけど
俺が小食だとしたら、俺より食べないテツくんは霞を食べて生きてるレベルなのかな
「おかず交換しよ!」
「ツバッキー!俺も!」
屈託ない笑顔を向けられて小さく頷けば山口くんはどれがいい?と俺に弁当箱を見せて、日向くんはこれほしい!と俺のおかずを指差す。
真逆に近い行動を取る二人に影山くんと月島くんはため息を吐いた。
『…………い―よ、…山口くん、も先…選んで』
「わーい!」
「ありがとー!」
嬉々として唐揚げをつまみ上げた日向くん、どれがいいかなと視線を迷わせてから控えめに伺いを立ててから山口くんが摘んだのは卵焼きだ。
「桃井も好きなの選べよ!」
「ツバッキーどれがいい?」
差し出された箱から、それぞれ小さめのおかずを抜き取る。 日向くんからは小さなピックに刺さったうずらの卵とウインナー。山口くんからは煮物のれんこん。
お腹いっぱいになってきてたところだし正直二人が重めのものを持っていってくれたことに感謝しかない。
れんこんを齧った俺を見て二人も箸に持ってたおかずを口に運んだ。
「んん!うんめー!桃井ん家のめっちゃうまいな!」
「わ、しらす入り!ツバッキーのお母さん料理上手だね!」
大袈裟な二人の反応に首を少しかしげた。
なんだか勘違いされてる気がする。
『……―母は、作―てなぃ、よ?』
「え?」
「え」
「じゃあ親父さんがつくったのか?」
呆けた二人に蚊帳の外だった影山くんがぬっと入ってきて首を横にふる。
『………父―は、料理下手』
「なら桃井が自分で作ってるの?」
遂には月島くんも口を開いて、その言葉に頷いた。
「え、すご!自分で弁当作ってるの?!」
「桃井はしっかりしてるなー」
どこから会話を聞いてたのか知らないけど菅原さんと部長さんが目を見開いてから笑う。
なんとなく保護者みたいな生温い目で見られて少しむず痒い。
なんて返せばいいのか悩んでしまう。
息をしてどうしようか答えを探していれば話題は料理ができるかどうかなんてどんどん進んでいって、不意に清水さんが俺をみた。
「お姉さんは料理上手なの?」
純粋な好奇心だったんだろうその質問に思わず苦笑いを返す。
『……人が、食べ―れ、るものでは、ないで、す』
運動部のマネージャーだからと特に頑張って作ってたレモンのはちみつ漬けは少しは上達したかな
瞬きをした清水さんは笑う。
「酷評だね」
『………―得意と、好き…は別らし、くて』
「…そうなんだ」
『……はぃ―。………―そのてん、料理が上手な清水さ、んは凄―な…て思いま、す』
「……………桃井って、」
『…?』
息を吸って口を一度つぐむとなんでもないと首を横に振り、目を逸らした。
.