籠球男子による排球への影響
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風邪が治って部活に復帰したのはいいものの、一つ、悩みごとができてしまった。
「あ、桃井それはいいから」
「桃井俺が運ぶよ!」
「大丈夫?無理してない??」
「ツバッキー休憩しよ!」
奪われ嬉々として運ばれてく洗濯物の山やら飲み物たち。
ちょっと待ってそれ俺の仕事だし、マネージャーに休憩もなにもないでしょ
仕事を奪われてすっかり手持ち無沙汰になってしまった俺はノートを閉じて息を吐く。
風邪を引いて穴を開けてしまったのは自己管理ができてなかった俺の責任で迷惑をかけてしまったのは承知だけど、決して業務が辛くて体調を崩したわけじゃないから肩代わりしてもらったところでまた起きないかと言われるとそれは別だ。
出てきたあくびを噛み殺すと手に力が入ってペンを握る指先が白んでペンを置き携帯を取り出し、見慣れた黄緑色のアイコンをタッチする。
まだみんな部活中だから言葉を発したところで連絡は返って来ない。
わかりきっていたことだけどこればっかりはみんなに頼らず自分で解決策を見つけなきゃいけないと自覚したところで小さな溜め息が出た。
高校生活って新しいことばっかで大変。
ここには幼馴染も姉も戦友も――もいないと思ったら、ほんのちょっと孤独で死にそう。
結局前科持ちが何を言っても信用されることはなくて、山口くんや東峰先輩はともかく月島くん、影山くんにまで気を使われてしまい何もしないで一日が終わった。
あれ?このままじゃマネージャー失格になるんじゃないか?
合宿の準備がてらバックに必要品を詰めてる最中に思い至った可能性に一瞬手が止まったけど、気にせずチャックを閉める。
それはその時にでも考えればいいや
初めての相手と久々の合宿、また体調を崩したら元も子もないから早めに寝ることにして電気を消した。
体育館に準備を終えて八時集合。
そう通達が来ていたのについ癖で一番乗りしてしまった俺は五時を指す体育館の時計をジャージ姿で見上げてた。
昨日のうちにマネージャーとして用意することは全部終わってて、手持ち無沙汰だ。
暇を持て余すのもどうなのかとちょっといつものアプリを開いて談話したあとに借りてきた鍵を使って用具室を開けた。
緑と白と赤のボールが山のように入ったラックを取り出して、ポールはさすがに一人でやったら危ないかなとセットするのはやめる。
時計を見ると思った以上に時間が経ってなくて、ため息をついたところでポケットの中の携帯が揺れた。
赤の覚醒
「暇ならバスケでもしたらいいんじゃないか?」
なるほど、その手があったか
ちょうど視線を上げた先にはバレーボールと同じように籠に詰められた茶色のとても見慣れたボールがあってひとつ手に取る。
部活ではなく授業で使われるためだけに存在するボールは手入れはなってないしすり減って凹凸が少ない。
右手、左手、右手。
感覚を確かめるようにボールを移したあとに両手ではさむ。
表面を眺めるみたいにくるりと回したあとに左手だけに持ち替えて床にたたきつけた。
二回、三回、硬いボールが床にぶつかる音は広い体育館にやけに響く。
ここ最近、ジョギングや筋トレ、ストレッチ、ボールを触ること自体はしててもバスケットボールを使うのは久々で、じわじわと腹の底から何かが這い上がってくるような感じだ。
気づけば足勝手に床を蹴って走り出しててそれに呼応するように左手はボールをつく。
さすがにバッシュじゃない普通の体育館履きじゃ思ったように切り返しやステップは踏めないけど、ボールをつくたびに目が冴えて自然と口角が上り、呼吸が楽になってきてる。
日向くんや影山くんに手を引かれてやるバレーも最近では楽しさを見出してきてたけど、やっぱりコレとは違う。
ギュッときつく擦れる音を出しながらステップを踏んだあとにボールをゴールに投げ込んで、リングをくぐったのを見届けてから邪魔くさい髪を結く。
両手で束ねて耳より少し上に纏めれば心なしか気分が引き締まって、放置して転がってるボールを拾い上げた。
ガコンっと大きな音を立てて揺れたゴールに息を吐いて伝い始めてた汗を拭う。
思った以上に夢中になっていたようで、いつのまにか七時半になろうとしてる時計。暑くなって脱いだらしいジャージの上着は体育館の隅っこに転がってた。
くるくると指先でボールを回して遊びながら用具室の元あった場所に戻す。
また伝ってきた汗をシャツで拭った。
「うぉおっしゃあ!一番!」
「何言ってんだてめぇ!俺のが早かった!」
がらがらと大きな音を立て開いた扉と同じくらい大きな声を上げる一年の二人が視界に入る。
言い争おうとしてた二人も俺に気づいて固まった。
『……―おは、よ』
「ぁ、おはよ桃井!」
「…おう」
一礼して体育館に足を踏み入れた二人は俺と同じようにジャージで、影山くんはしっかりと、日向くんは腕をまくってる。
「あ!ボール出してある!桃井がだしといてくれたの?」
いつのまに入り口からカゴのところまで移動したのかは不明だけど嬉しそうに声を弾ませる日向くんに頷いてから投げ捨てたままの上着を拾いあげて、汚れてないのに癖で二、三回叩いた。
近づいてきて止まった足音に目線を下げると少し眉を寄せた影山くんが俺を見上げていて、なにか口の中で言葉を探したあとに開いた。
「汗かいてんけど具合、悪いのか」
『……―うんん、元気―だよ』
「…………」
じっと、なにか推し量っているのか俺の顔を睨みつける影山くんに首を傾げ瞬きをする。
「………―なら、いいけど、」
視線を彷徨わせはじめた影山くんは落ち着きない。
その、と言いづらそうに言葉を繋ぐ影山くんを見つめる。
「あ、あんま、…―無理すんじゃねーぞ!」
言い切ると同時に脱兎のごとくかけ出した影山くんは呼び止め間もない。そもそも呼び止める気もなかったけど動きが素早すぎて思わず目が丸くなった。
「桃井ー!一緒にポール立てよーぜ!」
『………―あ、うん』
倉庫の方から聞こえてきた明るい声に返事をして、持ったままの上着を腰に巻き息を吐いてから足を進める。
久々に触ったボールにそんな柄じゃないはずなのにテンションが無駄に上がったし、なにより気分がスッキリしてる。
幼馴染やみんなをあれだけバスケ馬鹿って心の中で呼んでたけど、俺もやっぱりバスケ馬鹿なのかもしれない
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「あ、桃井それはいいから」
「桃井俺が運ぶよ!」
「大丈夫?無理してない??」
「ツバッキー休憩しよ!」
奪われ嬉々として運ばれてく洗濯物の山やら飲み物たち。
ちょっと待ってそれ俺の仕事だし、マネージャーに休憩もなにもないでしょ
仕事を奪われてすっかり手持ち無沙汰になってしまった俺はノートを閉じて息を吐く。
風邪を引いて穴を開けてしまったのは自己管理ができてなかった俺の責任で迷惑をかけてしまったのは承知だけど、決して業務が辛くて体調を崩したわけじゃないから肩代わりしてもらったところでまた起きないかと言われるとそれは別だ。
出てきたあくびを噛み殺すと手に力が入ってペンを握る指先が白んでペンを置き携帯を取り出し、見慣れた黄緑色のアイコンをタッチする。
まだみんな部活中だから言葉を発したところで連絡は返って来ない。
わかりきっていたことだけどこればっかりはみんなに頼らず自分で解決策を見つけなきゃいけないと自覚したところで小さな溜め息が出た。
高校生活って新しいことばっかで大変。
ここには幼馴染も姉も戦友も――もいないと思ったら、ほんのちょっと孤独で死にそう。
結局前科持ちが何を言っても信用されることはなくて、山口くんや東峰先輩はともかく月島くん、影山くんにまで気を使われてしまい何もしないで一日が終わった。
あれ?このままじゃマネージャー失格になるんじゃないか?
合宿の準備がてらバックに必要品を詰めてる最中に思い至った可能性に一瞬手が止まったけど、気にせずチャックを閉める。
それはその時にでも考えればいいや
初めての相手と久々の合宿、また体調を崩したら元も子もないから早めに寝ることにして電気を消した。
体育館に準備を終えて八時集合。
そう通達が来ていたのについ癖で一番乗りしてしまった俺は五時を指す体育館の時計をジャージ姿で見上げてた。
昨日のうちにマネージャーとして用意することは全部終わってて、手持ち無沙汰だ。
暇を持て余すのもどうなのかとちょっといつものアプリを開いて談話したあとに借りてきた鍵を使って用具室を開けた。
緑と白と赤のボールが山のように入ったラックを取り出して、ポールはさすがに一人でやったら危ないかなとセットするのはやめる。
時計を見ると思った以上に時間が経ってなくて、ため息をついたところでポケットの中の携帯が揺れた。
赤の覚醒
「暇ならバスケでもしたらいいんじゃないか?」
なるほど、その手があったか
ちょうど視線を上げた先にはバレーボールと同じように籠に詰められた茶色のとても見慣れたボールがあってひとつ手に取る。
部活ではなく授業で使われるためだけに存在するボールは手入れはなってないしすり減って凹凸が少ない。
右手、左手、右手。
感覚を確かめるようにボールを移したあとに両手ではさむ。
表面を眺めるみたいにくるりと回したあとに左手だけに持ち替えて床にたたきつけた。
二回、三回、硬いボールが床にぶつかる音は広い体育館にやけに響く。
ここ最近、ジョギングや筋トレ、ストレッチ、ボールを触ること自体はしててもバスケットボールを使うのは久々で、じわじわと腹の底から何かが這い上がってくるような感じだ。
気づけば足勝手に床を蹴って走り出しててそれに呼応するように左手はボールをつく。
さすがにバッシュじゃない普通の体育館履きじゃ思ったように切り返しやステップは踏めないけど、ボールをつくたびに目が冴えて自然と口角が上り、呼吸が楽になってきてる。
日向くんや影山くんに手を引かれてやるバレーも最近では楽しさを見出してきてたけど、やっぱりコレとは違う。
ギュッときつく擦れる音を出しながらステップを踏んだあとにボールをゴールに投げ込んで、リングをくぐったのを見届けてから邪魔くさい髪を結く。
両手で束ねて耳より少し上に纏めれば心なしか気分が引き締まって、放置して転がってるボールを拾い上げた。
ガコンっと大きな音を立てて揺れたゴールに息を吐いて伝い始めてた汗を拭う。
思った以上に夢中になっていたようで、いつのまにか七時半になろうとしてる時計。暑くなって脱いだらしいジャージの上着は体育館の隅っこに転がってた。
くるくると指先でボールを回して遊びながら用具室の元あった場所に戻す。
また伝ってきた汗をシャツで拭った。
「うぉおっしゃあ!一番!」
「何言ってんだてめぇ!俺のが早かった!」
がらがらと大きな音を立て開いた扉と同じくらい大きな声を上げる一年の二人が視界に入る。
言い争おうとしてた二人も俺に気づいて固まった。
『……―おは、よ』
「ぁ、おはよ桃井!」
「…おう」
一礼して体育館に足を踏み入れた二人は俺と同じようにジャージで、影山くんはしっかりと、日向くんは腕をまくってる。
「あ!ボール出してある!桃井がだしといてくれたの?」
いつのまに入り口からカゴのところまで移動したのかは不明だけど嬉しそうに声を弾ませる日向くんに頷いてから投げ捨てたままの上着を拾いあげて、汚れてないのに癖で二、三回叩いた。
近づいてきて止まった足音に目線を下げると少し眉を寄せた影山くんが俺を見上げていて、なにか口の中で言葉を探したあとに開いた。
「汗かいてんけど具合、悪いのか」
『……―うんん、元気―だよ』
「…………」
じっと、なにか推し量っているのか俺の顔を睨みつける影山くんに首を傾げ瞬きをする。
「………―なら、いいけど、」
視線を彷徨わせはじめた影山くんは落ち着きない。
その、と言いづらそうに言葉を繋ぐ影山くんを見つめる。
「あ、あんま、…―無理すんじゃねーぞ!」
言い切ると同時に脱兎のごとくかけ出した影山くんは呼び止め間もない。そもそも呼び止める気もなかったけど動きが素早すぎて思わず目が丸くなった。
「桃井ー!一緒にポール立てよーぜ!」
『………―あ、うん』
倉庫の方から聞こえてきた明るい声に返事をして、持ったままの上着を腰に巻き息を吐いてから足を進める。
久々に触ったボールにそんな柄じゃないはずなのにテンションが無駄に上がったし、なにより気分がスッキリしてる。
幼馴染やみんなをあれだけバスケ馬鹿って心の中で呼んでたけど、俺もやっぱりバスケ馬鹿なのかもしれない
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