籠球男子による排球への影響
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―とある個チャ
湯豆腐の使者さん
「敦、少し頼みがあるんだけどいいかな?」
進撃のなまはげさん
「んー?どうしたの赤ちーん」
「もーもいっ!」
前に見えたピンク色に更にちゃりを漕ぐスピード上げて近づき後ろから声をかければ朝ごはんを食べながら携帯を触ってた桃井が振り返った。
隣に並んだところで自転車を降りて並ぶ。桃井の朝ごはんは行き道のコンビニで買ってるみたいで日替わりだ。
「今日はパンか!…て、ほんとよくそれだけで足りるな!」
相変わらず小食だなと笑って見せると桃井はいつもどおり首をほんの少し傾げたあとに食べかけのパンを袋に戻した。
普段ならそのパン一つくらいは小食っぽいけど食べきって朝練出てるのに、珍しい。
「あれ?もう食べねーの?」
『…………―』
「うっす」
何を返そうかとしたっぽい桃井の言葉より早く聞こえてきた声に振り返る。
横に立った影山がずずっとパック牛乳を音を立ててすすっててうるさい。
三人で歩いて体育館につくともう鍵当番の西谷さんがボールを触ってて俺達もすぐ混ざった。
「打ちたい!打ちたい!」
「おい日向!速攻よりも先にお前はレシーブやれ!」
一人飛び出した日向の後ろ姿に叫べばわかってるよ!と返事だけはよく返ってくる。
どうせ言う事聞かねーで西谷さんとやるんだろうな
思いっきりため息をついてカゴからボールを一個とって感覚を確かめるのに一度床に叩きつけてからよしっと掴み顔を上げた。
丁度体育館に入ってきたジャージ姿の桃井を見つける。
「桃井!」
離れてるしそんなでもないとは言えどボールの跳ねる音がしてるからそこそこでかい声で呼びかけたはずなのに桃井は聞こえてなかったのか反応を返さないで用具室に入っていった。
「?」
「影山ー!トス上げてくれええ!!」
違和感を覚えた瞬間に日向の声が頭の中を一掃してって反射的に振り返りながらボールを打ち付ければ取りきれずに顔面で受け取ってた。
「だからレシーブやれってんだボケ!」
「……あ、桃井」
来週末から始まる合宿に向けて部員だけじゃなくてマネージャーも準備に忙しい。
合宿は親の同意書とかが必要で、私は毎日帰るから違うけど他は皆いるものだからしっかり提出してほしいとコーチがLINEで通達を昨日した。
必ず見たら一言でも返事することが決まってる部活のグループ。その中で一人昨日返事どころか既読もつかなかった桃井。
きっと期限は守ってくれるだろうけど心配で、声をかけた。
「…桃井?」
聞こえてなかったのかもう一回名前を呼ぶとドリンクを作ってた手が止まった。
『…………………………ぁ―すみませ―ど、しまし…た?』
「合宿の同意書のことなんだけど…昨日返事なかったみたいだから気になって」
『…………………へん…じ―?』
私もあまり動く方ではないけど、桃井も大概に表情筋が働かない。
今も少しだけ眉が動いたような気がするだけ。
「あれ?LINE、気づかなかったの?」
『…………………はぃ――す…みませ…ん。』
既読も早く、返事も毎回してる桃井にしては珍しい。
「何かあった?」
ゆっくりと首を振られて、ただ携帯に触ってなかっただけなのかななんて完結して出来上がったドリンクを二人で運んだ。
―とある個チャ
相手:進撃のなまはげさん
「話ししたいから、時間出来たらいつでも連絡してきてー?」
朝起きた時点で少しくらっとして立ち上がったばかりのベッドに逆戻りした。
自分の右手をおでこに当てても熱はなさそうで、最近の疲れが今更一気に来たのかななんて思ってもう一回立ち上がる。
連絡気づかなかったり、授業中の記憶なかったりちょっとぼへーとし過ぎかもしれない
合宿まであと一週間を切ってるのに弛んでるのかな
朝練開始の一時間前に家を出ててれてれ歩きながらコンビニで買ったパニーニを齧った。
「………最近ちょっと疲れた顔してないか?」
「そうっすか?俺めっちゃ元気ですよ!」
「あー。うん、ノヤはいつでも元気だよな。そうじゃなくて…」
首を傾げたノヤになんでもないと誤魔化してからまた視線を戻す。
ノートを持ってコーチとなにか話してる桃井はすっかりうちのブレーンだ。
朝は部員と同じ時間に来てマネージャー業の傍ら影山や日向のウォームアップを手伝ってたまにそこへノヤも混ざって騒いで、授業の後には部活でコーチと作戦会議したり、月島と山口の相手したり、またマネージャー業して、その上、家帰ってからはデータまとめたりしてるらしい
俺が桃井と出会ってまだそれほど経ってないから確証は持てないけど、日に日に眠そうな目になってるし、呼び止められてることに気づかないことも増えて、返事するまでの間が長くなってる気がする。
特にここ三日はそれが顕著だけど仕事はいつも通りなんのミスもないし頭も回転してるみたいだからみんな気づいてないというか、あまり気に止まってないみたいだ。
「あ、桃井」
コーチから解放されてノートに何か書き込もうとしてたっぽい桃井に声をかけるとゆっくり顔が上がる。
見た目はいつもと変わらないような、けど違うような
「な、なんか辛そうだけど、大丈夫?」
不思議そうに首を傾げられて拍子にさらさら落ちてった髪に目を取られる。
慌てて最近疲れた顔してるみたいだったからと付け足せばまた首を傾げられて肩を落とした。
「変なこと言っちゃってごめん、えと、」
やっぱり俺の目って節穴みたいだ。
土曜でどこも大会が近いのか午後から別の部活が使うとかで部活自体は早めに一応終わって、一時間弱の個人練に切り替わってたけど体育館にはもちろん全員残ってる。
清水は家の用事で正規の時間に帰っちゃったけど桃井はノート片手に残ろうとしてて、たまたま何か動画でも撮ろうとしたのか触ってたスマホがいきなり振動したことで小さく言葉を漏らした。
大地が気づいて気にせず出ていいよと笑えば頭を下げてから邪魔にならないように体育館の隅にしゃがみこんで耳にあてる。
影山のサーブが日向の顔面に入った音に視線を逸らした。
「うあああ、真っ赤になってる」
「影山ちっとは手加減してやれー?」
「そーだそーだ!」
「取れねぇお前が悪いんだろ、ボケ!」
「まーまー!よし、俺がまずはローリングサンダーファーストを教えてやろう!」
喧嘩を始めようとした二人の間に入ったノヤのおかげでその場はおさまって大地と旭が息を吐いた。
『………………え、ぁ―待っ、…て』
不意に聞こえてきた声に顔を上げると桃井が困ったような表情を見せてて驚く。
電話越しに誰と話してるのかはわからないけど、ぅー、あーと言葉を濁してる桃井はどこか新鮮だ。
『…………―っくん、い、まなん―て?』
なにか困ったことでもあったのか、心配症な旭や山口、日向がちょっとずつ近寄って声をかけようかそわそわしてる。
『…………え―と、そ………たしか―に、あき、たは隣…けど―近く、ない…し…――宮城、も…秋田も……ひろぃ―から…うん…?』
隣の県名が会話に出て首を傾げたのは聞き耳立ててた全員。
桃井は俺達に気づいてないのか会話を続けて、少し黙ったあとに首を傾げた。
『………くる…?いま―いんた…ハイ、で―しょ?』
がらがらっと体育館の扉が開いた音に大地も俺もハッとして顔を向ける。
次の部活の生徒が来たのかと思えばそこにはコンビニの袋を片手に携帯を耳に当ててる気だるげな顔をした巨人がいた。
「そうだよー、インターハイ予選中。でも、俺出てないし赤ちんからお使い頼まれちゃったからさー」
言い切ってスマホを雑にポケットにしまった巨人さんは眠そうな目で体育館の中を見渡したあとに何かを見つけたらしくにこぉっとゆるく笑った。
「つばきちんおはよー」
『…む―っくん、?』
ぱちぱちと瞬きをした桃井に巨人さんはあららー、これは赤ちんとさっちんの言ってたことが当たりかーと零す。
「でかっ!」
「何メートル?!」
日向や西谷の声はそう無視して緩い動きでこっちを見てたまたま一番近かった俺と目があった。
「俺、つばきちんに用があるんだけど入ってもいー?」
「え、??」
言葉からして次の部活の人じゃないし、完璧な部外者っぽい。
たまたま隣りにいたコーチを見るとコーチは巨人さんに目を合わせた。
「わりぃーけど、偵察の可能性もあるから部外者は禁止だ」
「ええー?なにそれメンドー」
うげっと顔を顰めた彼は大きな体で息を吸って肩を落とし、そのまましゃがみこんだ。
「俺バレーに興味ないのにー…じゃあつばきちんちょっと貸してー」
「貸すっていってもな…て、バレー選手じゃねぇのかよ!」
「はー?なんで俺がバレー?つかどうでもいいけど早くつばきちん貸してよ」
「だから貸すっつっても本人の承諾なくなしに貸せねぇよ!大体人は貸し借りできない!」
「あー、もー、めんどーい」
ぼりぼり頭を掻いて不機嫌な顔つきになっていく巨人さんは大きい子供みたいな態度でコーチが怒るよりもあっ気取られて呆れてる。
「つばきちんの承諾があればいいんでしょー?じゃ、つばきちん、こっち来て」
矛先が自分に向いたことにか、一度立ち上がってコーチを見た桃井に頭を掻いたコーチがゴーサインを出せばのろのろと出入り口に近づいて巨人さんにならってしゃがみこむ。
巨人さんと向きあってた俺達に背を向けたことで桃井の綺麗な髪しか見えなくなった。
『むっく、ん…ど―してここい、の?』
「だからお使い。赤ちんが気づいてついでにさっちんも連絡してきたからー―…つーか、」
巨人さんの大きな手が桃井の頭をがしりと思いっきり掴んだ。
「も、桃井!」
悲鳴を上げたのは旭で部員全員が驚いてどよめく。
「あのさー、ほんとつばきちん馬鹿でしょ」
心底苛立ちげに吐かれた言葉に心なしか桃井の肩がすくめられた。
「なにこの隈、最後にちゃんと寝たのいつ?体重も減ったでしょご飯食べてんの?てか、熱あんだけどなんで部活出てるわけ?ほんとバカ、そんなにひねり潰されたいの?」
子供を怒る親みたいに諭すというよりも、子供同士の喧嘩してるような乱雑な目つきと語調で桃井を睨んだ巨人さんは怒りが隠れることなく見えてた。
「え、桃井、熱あんの?」
「見りゃあわかるじゃん」
田中の言葉をバッサリ切った巨人さんは頭を鷲掴んでる手を持ち上げて桃井の顔を覗き込みながら目を合わせた。
「言うことあるでしょ」
『……………俺―熱、なぃ…と思っ、た―だけど…』
「俺が触って熱いからあんに決まってんじゃん」
『…………………まだ―ぶか、つ―』
「こっちは赤ちんとさっちんから回収命令出されてんの。その上灰ちんも心配してっからメンドーだけどここまで来てあげたんだから、他に言うことあんでしょー」
『…………………――。』
桃井が何かぼそりと言った言葉に巨人さんは少しだけ眉間の皺を薄くして掴んでた手を離す。
「じゃあ、赤ちんの言うことは?」
『ぜったーぃ…。』
笑った巨人さんはふらついた桃井を押さえてから背を向けて背負い立ち上がった。
190超えてる桃井を軽々おんぶした巨人さんはやっぱでかい。
「つーか、頼んの遅すぎなんだけどほんとに手遅れになったらどーする気だったんだか」
はー、メンドーとぼやいた巨人さんが顔を上げてコーチをまっすぐ眠たそうな目で見据える。
「つばきちん連れて帰るけど構わないよねー?邪魔するならひねり潰すけど?」
「いやいやいや構うわ!邪魔じゃなくてとりあえずそいつの荷物まとめねーと!」
コーチと把握してたのか山口くんが桃井の荷物をまとめてる間に抑えきれなかったのか日向が巨人さんに突撃して見上げてた。
日向が並ぶと巨人さんのでかさがまじ規格外で笑えない
「なーなー!」
「うわ、ちっさ」
「小せえっつーな!」
「どーでもいーし、何か用?」
「あ、俺日向!桃井の友達!」
「ふーん」
「なんで桃井の具合悪いのわかったんだ?」
「はぁ?何言ってんのあんなぼけっとしてたじゃん」
どこらへんがぼけっとしてたのか日向だけじゃなくて俺もわからない。
気づかないわけ無いじゃんと日向を見下ろしてた巨人さんはあー、首こると顔を前に戻した。
「別に気づいてたのは俺だけじゃないし、つーか俺も直接会うまで半信半疑だったし」
「じゃあなんで来たんだ?」
「それ、アンタに言う必要ないよね」
目線一つ合わせないで返された言葉に日向は納得行かないような顔をして、なにか言おうとしてたけど後ろに立った影山に言葉を遮られた。
「お前偉そうだけど桃井の友達かなんか?」
「うっざ。なんなのもー。友達じゃなかったら悪いわけ?アンタのほうがエラソー」
「あぁ?」
ばちりと火花がちったように見えたのは俺だけの錯覚じゃなかったのか旭も駆け寄って間に入った。
「悪くはないけど、一人で大丈夫?ほら、桃井背高いし家まで送るの大変だべ?」
「別につばきちん運ぶのくらい慣れてるし一人のが気楽」
「でも、心配だから」
「一人でいいっつってんの。つばきちん寝ねんしいい加減静かにしないとひねり潰すから」
桃井と友達ってことは年下でおまけに一年生なんだろうけど、上から睨まれて思わず足が竦んだ。
「巨人さん!これツバッキーの荷物!持てそ!?」
ぱたぱたと慌ただしく駆けてきた山口の肩には毎日桃井が持ってる肩掛けかばんがかかっててそれを屈んだ巨人さんの首にかけてやってた。
「…巨人さんってなにそれ」
「君来てから自己紹介してなくて名前みんな知らないんだからそうなって当然デショ」
同じように荷物まとめを手伝ってたのか姿を見てなかった月島が息を吐けば巨人さんはあくびをして桃井を背負い直した。
「んー、そうだったかもー…。俺、紫原。あ、つばきちんの荷物ありがとねー」
右足のつま先を地面に叩いて背を向けた巨人さん改め紫原…くんは二歩ほど体育館から遠ざかったところでそうだったーと振り返った。
「つばきちんとは同じ中学で元チームメイトで今は親友。今日はもう寝かせるし、良くなるまで学校にはこさせる気ないから連絡してこないでね」
そのままてれてれ歩き始めた紫原くんを背中で眠ってるらしい桃井含めて見送った。
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