籠球男子による排球への影響
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「桃井!」
試合終わり、まだ汗も引かない状態で声をかけてきたのは東峰さん。もう町内会の方々は部員たちを茶化して叱咤して帰ったあとで部員はクールダウンをはじめてた。
得点板も片付けてやることもなく、まとめかけてたノートから顔を上げる。
「ほんと、ありがとう!」
『………………?』
勢い良く頭を下げられて首を傾げた。
俺はこの人に何をしたんだろう?
周りも東峰さんの大きな声に不思議そうな顔をしてこっちを窺ってる。顔を上げた東峰さんはあった時よりも吹っ切れた清々しい表情を見せた。
一瞬視線を落としてから俺を見る。
「桃井の話し聞いたら、その、失礼かもしれないけど…俺は本当にいい仲間に恵まれてるんだなって思ったよ」
『………………は―ぁ、そ…ですか、別、に気にしな―でください…、』
失礼なんて、別にそんなことで気分が悪くなるほどやわじゃない。もっといろいろな言葉を投げつけられたこともたくさんあるし、それこそ悪意や侮蔑を含んだものも。東峰さんは優しいな。なんて思った。
『…………これ、から…も、みんなで―頑張―ってくだ、さ…い、?』
「ああ!もちろん!」
がしがしとまではいかないけど、軽く髪を乱すような感じで頭が撫でられた。
俺の頭を撫でる人なんて、中学以来じゃないか?
ほんの少し意識が飛んで持ってたノートとボールペンが音を立てて体育館の床に転がり落ちた。
「わっ!ごめん!」
『…………―きに、しない…で、ください…』
屈んで拾おうと手を伸ばせば先に別の手が伸びて拾い上げられた。
遅れて視線を上げれば、記憶に新しい顔がノートを見てる。
『……………………―コーチ?』
出した手に何故かノートが乗せられることはない。返ってこないノートとボールペンに思わず眉をひそめてしまったのは俺の大切なものが取られたように感じるからかもしれない
「どうしたんすか?鵜飼さんっ」
ぴょこんと跳びはねてる日向くんはいつこっちに来たのか不明だ。
「鵜飼くん?」
武田先生も気づいたのか一歩近寄ってきた。
無言で何ページかめくり視線を忙しく動かしてるコーチは息を短くすった。
「これ、お前がやったのか?」
なんでこんな尋問口調なんだろう。
『…………………―はぁ、そうで、す、』
返事を聞ききるよりも早くノートとボールペンを東峰さんに押し付けると俺の肩を掴んだ。
至近距離のプリン金髪は若干怯みそうだ。
「お前、元バレー選手か」
『…………―、違い―ます、?』
「ならずっとバレーマネージャーやってたのか」
『…………………―ちが―います―。』
「じゃあどうやってここまで調べた。誰かに教えてもらったのか?」
『…………………いえ…、…どく―がく、です…』
そこまで聞いてあっけからんというか、眉間に皺を寄せたコーチは俺の肩を掴んだまま動かなくなった。
何が起きてるのかさすがの俺でも理解できない。
「え、これ」
「どうした、旭」
右側から聞こえてきた声に視線だけ向けると俺のノートはいつの間にかバレー部位の輪の中に誘拐されてた。
頑張ってまとめたものだから壊れないといいけど
「…………」
「桃井これ、一人でやったのか」
なんか二次創作上によくある嫌われテンプレの起きた後の反応みたいだ。
「この間までルールも知らなかった素人だろ…?」
「スーパーエースってなんでもできるとか…はぁ」
田中さんと月島くんの声が信じられないと言っていて首を傾げる。
いい加減ノート返してもらえないかな
「なぁ!桃井!」
「なぁなぁ!」
日向くんと西谷さんが突撃してきたのはほぼ同時で、言ったら怒るだろうけど低い背に合わせて目線を落とした。
きらきらと眩しい目が、これから何を言うのかすでに語ってる。
「桃井すげーな!俺の苦手なレシーブ位置とかいつ気づいてたんだ?!」
「俺がサービスミスするときのくせとか!俺全然自分じゃ気づかなかったんだけど!」
『………………―みて、たら、わかったんで―…』
「こっちの烏野の攻撃パターンの分析とかも?」
『……………………―はぁ、そうです、けど…』
「ちょっ、他校の分までまとめてあんの?!」
「あ、青葉城西に白鳥沢、伊達高…」
『……………それ―一部で、すみませ、ん。県内は、終わったから―家…ある、ですけど、まだ東京―分ちょうせ、いちゅで』
「……………東京分?」
「各高校、攻撃パターンに各選手の打ち分け、セッターのポジション事の配給率…」
「人間技なのか、これ…?!」
俺は人間じゃないみたいな言い方は切実に辞めてもらいたい。
これぐらいしか取り柄がないだけの話だ。
「ん?今後の成長分…―?」
『……………―あー、それ―は』
「桃井ぃ!ちょっとこのノート貸してくれ!」
コーチに耳元で叫ばれて鼓膜がおかしくなりそうだ。
くらくらする頭の中にどうぞどうぞと手で示して息を吐いた。
やっと自由になったのにノートが返ってこない。
それどころか部員全員で輪になって眺め始めてしまってやることもなく、こっそりと携帯を取り出した。
(籠球男子のノートでお祭り騒ぎ)
―とあるLINEグループ
「どうやら俺は人間じゃなかったようだ。」
「(ゲンドウポーズ)」
「ちょwww」
「急にどうしたんすスかwwwww」
「お、珍しくきーちゃんしか既読がつかない。おつかれー」
「なんかデータ収集したノートを見て、感想が俺は人間じゃないってことらしい」
「まだみんな片付け中とかなんじゃないスか?」
「あー、なるほど。」
「なにがなるほどなのかkwsk」
「なーにー、黄瀬ちん部活サボリー?」
「むっくんもお疲れ様ー」
「俺んとこは体育館の点検で休みだったんスよ!」
「ふーん。どーでもいーやー。」
「え、つばきちんって人間じゃなかったの?」
「俺は人間のはずダヨっ( `・ω・´)キリッ」
「いやー、だって桃っちとつばきっちのノートというか、情報処理能力の高さ見るとこう、コンピュータも裸足で逃げ出すレベルっスよ」
「さつきもつばきも人間離れしてんのとかいまさらだろ。」
「それよりも黄瀬が情報処理能力なんて言葉を知っていたなんてことに驚きを隠せないぜgkbr」
「大ちゃんが情報処理能力を理解して打ち込んでることにgkbr」
「最初のつばきの人間じゃなかった発言からここまで一分経っていないことに僕はgkbrだよ」
「お前ら部活の片付けはどうしたのだよ。まだ部活中のはずなのにすでに既読がつききっていることにgkbrなのだよ」
「それは緑間くん君も含まれてますよね。僕は片付けが終わって下校中です。」
「あれ?つばきくん?」
「既読一つつかくなったな」
「忙しいのかな?」
―とある部活のLINEグループ
澤村さんが鵜飼さんを招待しました。
鵜飼さんが参加しました。
鵜飼「改めて、コーチになった鵜飼だ。猫駒戦までの短い間だがよろしくな」
澤村「よろしくお願いします」
菅原「よろしくおねがいします」
………
…………
………………
…………
………
鵜飼「それはそうと、桃井いんか?」
桃井「います。」
鵜飼「さっきは肩を掴んじまって悪かった。気が動転しちまってて」
桃井「気にしないでください。慣れていますので」
桃井「こちらこそ知識も経験もないのに手を出してしまって申し訳ございません。あのノートは出来がやっぱり悪かったですね」
桃井「勉強しなおしてきます」
鵜飼「ちょ、ちょっまて、うちのはやい!!」
西谷「桃井www」
田中「ここまで一分かかってないwwww」
鵜飼「あー、なんだ、桃井のノートは良く出来てた。本当に素人が作ったなんて信じられん。明日またみせてもらってもいいか?少し話が聞きたい。」
桃井「褒めていただけるなんて感無量です。毎日持ち歩いているので構いません。他のデータも持っていったほうがいいですか?」
鵜飼「いや、とりあえず烏野の分だけで大丈夫だ。」
桃井「わかりました。」
桃井「すみません、用事で一度落ちるので返信途絶えます。失礼します。」
………
…………
………………
…………
………
澤村「……………思ったんだけど、桃井ってLINEだとよくしゃべるよな」
菅原「それな!」
―とある個チャ
相手:とーるさんだよっ!
「桃ちゃーん!お疲れ様!」
「はい、お疲れ様です。」
「おお、桃ちゃん既読早いね!」
「今ちょうど携帯をいじっていたので」
「なーんだ、及川さんの電波キャッチしたとかじゃないんだ」
「さずかにまだ人間は辞めてないので。」
「及川さんにお聞きしたいことがあったんですが、少しお時間頂いても大丈夫ですか?」
「んー?なになにー?及川さんになーんでも聞いてごらーん?」
「ありがとうございます」
「今度京都に行くことになったのでいつもお世話になっているお礼になにかお土産をと思っているんです」
「食べ物にしようと思うんですが、好みといつ渡せるか聞こうかと」
「合わないようでしたら形に残るものにしようかと思っています」
「京都行くんだー?」
「相変わらず打つの早いね!」
「はい、部活も休みですし、旧友に会おうかと思いまして」
「お世話になってるなんてまたまたー」
「及川さん甘いものがいいな!」
「桃ちゃんの都合に合わせるよ!」
「あ、でも」
「うちって月曜は毎週休みだから、月曜だったら嬉しいかも!」
「わかりました、甘いものですね」
「了承しました。こっちもちょうどテスト期間になるので。再来週の月曜でも大丈夫ですか?」
「オッケー!」
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