籠球男子による排球への影響
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バレー部マネージャー業に届けを出してから1日経った。ようは昨日入ったばかりな訳だけど、先輩マネージャーさんはとてもいい人だしうまくやっていけそう
それに部員さん達もいい人そうだった
昨日の部活終わり際には珍しい物を見れたし。あそこまで感情で突っ走っていったり予想通りに動く人たちを久々に見た気がする。
珍しい物といっても俺の知り合いにはそういう人は沢山いるから笑ったり面白がったりなんてできないけどさ
『………』
「あ!」
「あ?」
少し用があって、今日は入部そうそう遅刻していくことになった。
今は20分経ってるし多分だけど皆部活を始めてる。体育館に向かう途中、少し開けた人気のない場所でオレンジの頭と黒の頭を見つけた。
「でかっ!」
『……そん、なこと…ない、と思う…』
開口一番にそれはないだろうと首を横に振った。
でかいでかい言うけど、俺の身長なんて皆と並ぶと小さいくらいだし。でも確かにこの学校で会った人の中じゃ俺のほうが大きいのかもしれない。
『………』
「なんか用かよ」
黒い頭のほうは目付きが悪くて、誰かを彷彿させるきがしたけど気のせいだと思う。
『……バレー…部でしょ?……なんで、ここいるの?』
オレンジくんはうっと言葉を詰まらせて隣をちらちら見て口を開いた。
「入部届け拒否られたってか…」
そんなことあるんだ
バツが悪そうと言うか居心地が悪そうに言われて驚いた。
初めて聞いたかもしれない。入部届け拒否なんてこの二人はなにしたんだろ。
勝ちにはこの二人がいたほうがいいと思うのに、って――くんが聞いたら首を傾げるんじゃないかな
『………大変、だね。……なに…か、手伝えることあっ、たら―…手伝う、から』
人が頑張ってるところを見るのは楽しいし
「んぉー!うんうん!そんときはよろしく!」
オレンジの子はやっぱりとても元気で俺をきらきらした目で見上げてきた。
今までにいないタイプだったから少し戸惑う。
「別に手伝えることなんてねーだろ」
黒の子はきっと俺を睨みながら冷たく見上げてすぐ目を逸らした。
つんつんしてるかんじがやっぱり誰かを彷彿させたけど、気のせい気のせい気のせい。
「あ!じゃあ一緒にバレーしよーぜ!一年だろ?ポジションは?!」
がつがつ来るな
今まで出会ってきた中に背が小さいけど強い人はいた。けどそれは静かに重みのある言葉を吐く人だったりとか、秘めた想いをぶれず持ち続ける人だったりといずれも大人しいとか厳かな感じで、
「なぁ!なぁ!」
とりあえず、こんな感じじゃ絶対なかった。
『…………―えっと、俺―バレー…したことなく、て』
「はぁ?」
俺の言葉に聞き返してきたのは何故かオレンジの子じゃなくてもう一人のほうだった。
今の今まで関係無い体だったのにいきなりどうしたんだろうか
「お前バレーしたことあんだろが!」
『……、そう…なの?』
「俺に聞かれてもわかんない」
首を横に振るオレンジくん。
別に最初から答えはでないかなって思ってたから黒くんを見た。黒くんって呼ぶとなんか間違えそうだからいい加減影山くんって呼ぼう
でも今度は“影”が被ってるかも
「お前去年の大会出てただろ!?」
『………出て…た、の?』
「知らないよ?」
「なめてんのか…っ」
これを俗に人は漫才という。
よく俺は誰かと喋ると会話が噛み合わないとか怒られるけど、バレーの試合なんて出た覚えがないんだからこれは例外だろ。
『―俺、バレ……したことない、…と思う』
「はぁぁ?」
そんなきつく睨まれても
無意識に強ばって寄った眉間の皺は多分、風で靡いた自前の髪のお陰で二人に気づかれたりはしてないと思う。
「お前“帝光中”のバレー部だろ、去年全国の準優勝だけ出てきた」
おかしい、母校の名前はあってるけどいつから俺はバレー部だったんだ
「光仙に0ー1からほぼ無失点で2ー1逆転勝ちした!」
『…………光仙…?』
はて、いつぞやかにどこかでたしかに聞いたような気がしなくもない響きだ。
バレー、光仙、準優勝、2ー1、去年、
記憶力は悪くない方のはずなのに思い出せない。
と、いうことはだ
これは絶対と言い切っていい
『………多分…その、とき…頭―寝てた…』
「………は?」
あ、影山くん間抜け面
『……俺、バレー部…じゃな、いし…それ、いつ…の話?』
「バレー部じゃない?あんな簡単に光仙のブロック撃ち抜くスパイク打ってたくせに?」
おかしい、会話が噛み合わないっていうか話を聞いてもらえてない
あれ?でも少し覚えがあるような気がする
『ブロック…?』
ああ、あれかな
赤と白と緑の上がってきたボールを右手のひらで叩いた覚えがある。
――くんのパスとか―ちゃんのシュートを止めたときみたいに痛かった。
ボールは目の前にいた人達の手を弾き飛ばして向こうの床に落ちてた。 ……と思う。
『……バレー…したこと、…あるか、も』
「だからあるっつってんだろ!?」
そんなに騒がないでもらいたいな
耳が痛くなりそう
「お前帝光のエースだろ!?」
『………違う…よ、俺…あの試合、スケ…ット、で…バレ、部じゃない』
「スケット?」
なにか癪にさわったのか影山くんの眉間に寄っていた皺が更に深く濃く。
隣のオレンジ…もういいや、日向くんがなぁなぁと小学生みたいに服をひいてきた。顔立ちだけじゃなく言動も幼い。
「よくわかんないけどエースだったんだろ?俺もエース目指してるから」
負けない!ってにこりっていうかにかりと言われて首をかしげる。
『……そう…頑張って…ね、俺、部員じゃ…ないか…ら応援…してる』
「「はぁぁぁ?!」」
俺、なんかこの子たち苦手かもしれない
『……こん…にちは』
「お、桃井おはよ、おっせーぞ?」
影山くんと日向くんを言い負…お話しして、漸く体育館に来れた。菅原さんが俺を見て笑う。周りを見渡して、用のある人物がいないことに首をかしげた。
『…すみま、せん…あれ…?清、水さん…は?』
近くにいた菅原さんが苦笑いをする。
「ああ、清水は用事があって遅れるって…」
「ああーっっ潔子さーんんっ!」
なるほど、ああ、だから田中さんむっとしてんだ
「お、来たな」
目の前に部長さんが笑顔で現れた。
毎回思うけど部長さんの笑顔も誰かを思い出させるからあんまし好きくない
「月島、山口、“桃井”。顔合わせしておいてね。初対面でしょ」
部長さんに連れてこられたのは背の高いクリーム色の頭をした子と、全てにおいて平均的そうな子の前。
『…………あの…、…』
「でかっ!ツッキーと同じくらい?!」
「山口うるさい」
なんだ、この漫才
開きかけてた口を閉じて二人を見つめる。
「ごめんツッキー」
同じ中学、なのかな…?
仲が良いことは良きことで
「一年四組、月島蛍」
「同じく四組の山口忠!」
『……一、組…桃井―つばき…です』
頭を軽く下げれば下ろしたままの髪が流れて顔にかかって邪魔になった。
顔にかかる髪を耳にかける。
「桃井?」
月島くんが俺の名前を少し驚いたみたいに復唱してきたから頷く。
山口くんも目を丸くしてた。
「出身中帝光?」
もう一度頷く。
何を確認したいの
眠くて降りてくる瞼を擦って、目を開けると山口くんが口を開こうとしてるところだった。
「桃井って、帝光のスーパーエースじゃないの」
………スーパーエースってなんだ
続いて月島くんから一言
「ははっ、王様にスーパーエース。烏野豊作すぎるでしょ今年」
生憎俺はバレーをしたことが(覚えてる限り)ないので月島くんのいうスーパーエースとやらも王様とやらもわからない。
けど、静まり返った体育館内から察するに、ようは
「まじかよ!つばきって帝光の桃井!?」
「田中知ってるのか?」
「ほら、去年の―……」
田中さんと菅原さんの話は要約すると
俺は帝光中バレー部で、去年の全国大会準優勝のみに出てきたスーパーエースで、ブロックが高い光仙をもろともせずスパイクを貫通させ、2セットをほぼ無失点で奪い取った偉業を持つ。らしい
「お前が桃井だったのか!」
「そこまで知ってるならなんで今まで知らなかったんだよ」
「え、こいつの名前つばきだと思ってたし」
ちゃんと自己紹介したはずなんだけど
『…………桃井―、つばきです、』
「律儀だね」
月島くんがはっと笑った。
この月島くんの笑顔もなにかあれを連想させる。
やっぱりどこにでもこの手の笑顔をする人はいるみたいだ。
「あの帝光の桃井か…凄いな。スーパーエースだったんならその身長も納得」
「凄いな、桃井」
『………そ―…みたい…です、ね』
なんで他人事風なんだたて菅原さんが笑う。
だって覚えてないし
「あ?でもじゃなんでマネやってんの?スーパーエースだべ?」
『………あ…え、…バレー…したこ、と…そのいっ―かいだけ…で、』
―――ルールも、ポジションも知らない
ぴしりと空気が凍りついた。
部長さんと月島くんの笑顔も固まってる。
別に俺は悪いこともなにも言ってないのに何故
凍った空気を動かしたのは現れた清水さんだった。
田中さんのテンションが30%上がってた。
「あ、遅くてごめんね。じゃあこっちで仕事教えるね」
呼ばれるまま後について歩く。
清水さんもかなりの勢いで空気を読まない気がした。
ドリンクを作る場所とか洗濯機の場所とか、基本的なことを教えていってもらう。
「ここに置いてあるモップで掃除するんだけど…」
『……あれ…?こ、れ…』
清水さんの指した陳列したモップの隣には半分に柄が折れたモップが置いてあった。
「、それは…」
清水さんが軽く言葉を詰まらせた。
『……これ…大切…なんで―す、ね。』
倒れてたモップの片割れを立て掛け直す。
清水さんは言いづらそうだし聞きたいわけじゃないし、次はなんですかと指示を待つ。
「……うん。次はこっち」
頷いた清水さんは少しだけ笑ってた。
(本人が覚えていない事実により騒然)
―とあるLINEグループ
「ねぇ」
「どうしたのー?」
「やぁ」
「こんにちは」
「よぉ」
「ちわっス」
「どうしたのだよ」
「なに~?」
「聞きたいことがあるんだけど」
「俺って去年バレーしたっけ?」
「したぞ」
「したよ」
「しました」
「したな」
「したねー」
「したっス」
「したよー」
「それなんでだったか誰か覚えてない?」
「うちの学校のバレー部エースが前日に熱だした」
「本人は準優勝だからと押し隠し会場へと向かったんス」
「その実、熱は39℃。案の定、彼は道で倒れました」
「それに偶然通りかかったお前が受け止めてみせたのだよ」
「つってもそいつはその準優勝に文字通り命がけだった」
「熱くるしーのに圧されて会場に連れていったんだけどー」
「当然そんな病人を試合に出すわけいかないでしょ?そこでつばきに白羽の矢がたったんだよ。」
「覚えてないの?」
「全然覚えてない」
「寝てたと思う」
「……だろうね」
.
それに部員さん達もいい人そうだった
昨日の部活終わり際には珍しい物を見れたし。あそこまで感情で突っ走っていったり予想通りに動く人たちを久々に見た気がする。
珍しい物といっても俺の知り合いにはそういう人は沢山いるから笑ったり面白がったりなんてできないけどさ
『………』
「あ!」
「あ?」
少し用があって、今日は入部そうそう遅刻していくことになった。
今は20分経ってるし多分だけど皆部活を始めてる。体育館に向かう途中、少し開けた人気のない場所でオレンジの頭と黒の頭を見つけた。
「でかっ!」
『……そん、なこと…ない、と思う…』
開口一番にそれはないだろうと首を横に振った。
でかいでかい言うけど、俺の身長なんて皆と並ぶと小さいくらいだし。でも確かにこの学校で会った人の中じゃ俺のほうが大きいのかもしれない。
『………』
「なんか用かよ」
黒い頭のほうは目付きが悪くて、誰かを彷彿させるきがしたけど気のせいだと思う。
『……バレー…部でしょ?……なんで、ここいるの?』
オレンジくんはうっと言葉を詰まらせて隣をちらちら見て口を開いた。
「入部届け拒否られたってか…」
そんなことあるんだ
バツが悪そうと言うか居心地が悪そうに言われて驚いた。
初めて聞いたかもしれない。入部届け拒否なんてこの二人はなにしたんだろ。
勝ちにはこの二人がいたほうがいいと思うのに、って――くんが聞いたら首を傾げるんじゃないかな
『………大変、だね。……なに…か、手伝えることあっ、たら―…手伝う、から』
人が頑張ってるところを見るのは楽しいし
「んぉー!うんうん!そんときはよろしく!」
オレンジの子はやっぱりとても元気で俺をきらきらした目で見上げてきた。
今までにいないタイプだったから少し戸惑う。
「別に手伝えることなんてねーだろ」
黒の子はきっと俺を睨みながら冷たく見上げてすぐ目を逸らした。
つんつんしてるかんじがやっぱり誰かを彷彿させたけど、気のせい気のせい気のせい。
「あ!じゃあ一緒にバレーしよーぜ!一年だろ?ポジションは?!」
がつがつ来るな
今まで出会ってきた中に背が小さいけど強い人はいた。けどそれは静かに重みのある言葉を吐く人だったりとか、秘めた想いをぶれず持ち続ける人だったりといずれも大人しいとか厳かな感じで、
「なぁ!なぁ!」
とりあえず、こんな感じじゃ絶対なかった。
『…………―えっと、俺―バレー…したことなく、て』
「はぁ?」
俺の言葉に聞き返してきたのは何故かオレンジの子じゃなくてもう一人のほうだった。
今の今まで関係無い体だったのにいきなりどうしたんだろうか
「お前バレーしたことあんだろが!」
『……、そう…なの?』
「俺に聞かれてもわかんない」
首を横に振るオレンジくん。
別に最初から答えはでないかなって思ってたから黒くんを見た。黒くんって呼ぶとなんか間違えそうだからいい加減影山くんって呼ぼう
でも今度は“影”が被ってるかも
「お前去年の大会出てただろ!?」
『………出て…た、の?』
「知らないよ?」
「なめてんのか…っ」
これを俗に人は漫才という。
よく俺は誰かと喋ると会話が噛み合わないとか怒られるけど、バレーの試合なんて出た覚えがないんだからこれは例外だろ。
『―俺、バレ……したことない、…と思う』
「はぁぁ?」
そんなきつく睨まれても
無意識に強ばって寄った眉間の皺は多分、風で靡いた自前の髪のお陰で二人に気づかれたりはしてないと思う。
「お前“帝光中”のバレー部だろ、去年全国の準優勝だけ出てきた」
おかしい、母校の名前はあってるけどいつから俺はバレー部だったんだ
「光仙に0ー1からほぼ無失点で2ー1逆転勝ちした!」
『…………光仙…?』
はて、いつぞやかにどこかでたしかに聞いたような気がしなくもない響きだ。
バレー、光仙、準優勝、2ー1、去年、
記憶力は悪くない方のはずなのに思い出せない。
と、いうことはだ
これは絶対と言い切っていい
『………多分…その、とき…頭―寝てた…』
「………は?」
あ、影山くん間抜け面
『……俺、バレー部…じゃな、いし…それ、いつ…の話?』
「バレー部じゃない?あんな簡単に光仙のブロック撃ち抜くスパイク打ってたくせに?」
おかしい、会話が噛み合わないっていうか話を聞いてもらえてない
あれ?でも少し覚えがあるような気がする
『ブロック…?』
ああ、あれかな
赤と白と緑の上がってきたボールを右手のひらで叩いた覚えがある。
――くんのパスとか―ちゃんのシュートを止めたときみたいに痛かった。
ボールは目の前にいた人達の手を弾き飛ばして向こうの床に落ちてた。 ……と思う。
『……バレー…したこと、…あるか、も』
「だからあるっつってんだろ!?」
そんなに騒がないでもらいたいな
耳が痛くなりそう
「お前帝光のエースだろ!?」
『………違う…よ、俺…あの試合、スケ…ット、で…バレ、部じゃない』
「スケット?」
なにか癪にさわったのか影山くんの眉間に寄っていた皺が更に深く濃く。
隣のオレンジ…もういいや、日向くんがなぁなぁと小学生みたいに服をひいてきた。顔立ちだけじゃなく言動も幼い。
「よくわかんないけどエースだったんだろ?俺もエース目指してるから」
負けない!ってにこりっていうかにかりと言われて首をかしげる。
『……そう…頑張って…ね、俺、部員じゃ…ないか…ら応援…してる』
「「はぁぁぁ?!」」
俺、なんかこの子たち苦手かもしれない
『……こん…にちは』
「お、桃井おはよ、おっせーぞ?」
影山くんと日向くんを言い負…お話しして、漸く体育館に来れた。菅原さんが俺を見て笑う。周りを見渡して、用のある人物がいないことに首をかしげた。
『…すみま、せん…あれ…?清、水さん…は?』
近くにいた菅原さんが苦笑いをする。
「ああ、清水は用事があって遅れるって…」
「ああーっっ潔子さーんんっ!」
なるほど、ああ、だから田中さんむっとしてんだ
「お、来たな」
目の前に部長さんが笑顔で現れた。
毎回思うけど部長さんの笑顔も誰かを思い出させるからあんまし好きくない
「月島、山口、“桃井”。顔合わせしておいてね。初対面でしょ」
部長さんに連れてこられたのは背の高いクリーム色の頭をした子と、全てにおいて平均的そうな子の前。
『…………あの…、…』
「でかっ!ツッキーと同じくらい?!」
「山口うるさい」
なんだ、この漫才
開きかけてた口を閉じて二人を見つめる。
「ごめんツッキー」
同じ中学、なのかな…?
仲が良いことは良きことで
「一年四組、月島蛍」
「同じく四組の山口忠!」
『……一、組…桃井―つばき…です』
頭を軽く下げれば下ろしたままの髪が流れて顔にかかって邪魔になった。
顔にかかる髪を耳にかける。
「桃井?」
月島くんが俺の名前を少し驚いたみたいに復唱してきたから頷く。
山口くんも目を丸くしてた。
「出身中帝光?」
もう一度頷く。
何を確認したいの
眠くて降りてくる瞼を擦って、目を開けると山口くんが口を開こうとしてるところだった。
「桃井って、帝光のスーパーエースじゃないの」
………スーパーエースってなんだ
続いて月島くんから一言
「ははっ、王様にスーパーエース。烏野豊作すぎるでしょ今年」
生憎俺はバレーをしたことが(覚えてる限り)ないので月島くんのいうスーパーエースとやらも王様とやらもわからない。
けど、静まり返った体育館内から察するに、ようは
「まじかよ!つばきって帝光の桃井!?」
「田中知ってるのか?」
「ほら、去年の―……」
田中さんと菅原さんの話は要約すると
俺は帝光中バレー部で、去年の全国大会準優勝のみに出てきたスーパーエースで、ブロックが高い光仙をもろともせずスパイクを貫通させ、2セットをほぼ無失点で奪い取った偉業を持つ。らしい
「お前が桃井だったのか!」
「そこまで知ってるならなんで今まで知らなかったんだよ」
「え、こいつの名前つばきだと思ってたし」
ちゃんと自己紹介したはずなんだけど
『…………桃井―、つばきです、』
「律儀だね」
月島くんがはっと笑った。
この月島くんの笑顔もなにかあれを連想させる。
やっぱりどこにでもこの手の笑顔をする人はいるみたいだ。
「あの帝光の桃井か…凄いな。スーパーエースだったんならその身長も納得」
「凄いな、桃井」
『………そ―…みたい…です、ね』
なんで他人事風なんだたて菅原さんが笑う。
だって覚えてないし
「あ?でもじゃなんでマネやってんの?スーパーエースだべ?」
『………あ…え、…バレー…したこ、と…そのいっ―かいだけ…で、』
―――ルールも、ポジションも知らない
ぴしりと空気が凍りついた。
部長さんと月島くんの笑顔も固まってる。
別に俺は悪いこともなにも言ってないのに何故
凍った空気を動かしたのは現れた清水さんだった。
田中さんのテンションが30%上がってた。
「あ、遅くてごめんね。じゃあこっちで仕事教えるね」
呼ばれるまま後について歩く。
清水さんもかなりの勢いで空気を読まない気がした。
ドリンクを作る場所とか洗濯機の場所とか、基本的なことを教えていってもらう。
「ここに置いてあるモップで掃除するんだけど…」
『……あれ…?こ、れ…』
清水さんの指した陳列したモップの隣には半分に柄が折れたモップが置いてあった。
「、それは…」
清水さんが軽く言葉を詰まらせた。
『……これ…大切…なんで―す、ね。』
倒れてたモップの片割れを立て掛け直す。
清水さんは言いづらそうだし聞きたいわけじゃないし、次はなんですかと指示を待つ。
「……うん。次はこっち」
頷いた清水さんは少しだけ笑ってた。
(本人が覚えていない事実により騒然)
―とあるLINEグループ
「ねぇ」
「どうしたのー?」
「やぁ」
「こんにちは」
「よぉ」
「ちわっス」
「どうしたのだよ」
「なに~?」
「聞きたいことがあるんだけど」
「俺って去年バレーしたっけ?」
「したぞ」
「したよ」
「しました」
「したな」
「したねー」
「したっス」
「したよー」
「それなんでだったか誰か覚えてない?」
「うちの学校のバレー部エースが前日に熱だした」
「本人は準優勝だからと押し隠し会場へと向かったんス」
「その実、熱は39℃。案の定、彼は道で倒れました」
「それに偶然通りかかったお前が受け止めてみせたのだよ」
「つってもそいつはその準優勝に文字通り命がけだった」
「熱くるしーのに圧されて会場に連れていったんだけどー」
「当然そんな病人を試合に出すわけいかないでしょ?そこでつばきに白羽の矢がたったんだよ。」
「覚えてないの?」
「全然覚えてない」
「寝てたと思う」
「……だろうね」
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