DC 原作沿い



「パリくん。えっと…体調はどう?」

『ん?元気だよ!どうして??』

「そ、そう…」

思わず聞いてしまったそれにパリくんはいつもと変わらずに微笑む。明るいそれに本当に何も気にしてないように感じて、それから志保が視線を落としたのに気づいた。

唇を結い、笑みを繕い直して顔を上げる。

「うんん。なんでも!それじゃあ今日もたくさんお話しましょ!」

『するー!』

大きく頷いたパリくんは今日のケーキはね!と続けて紹介をしてくれて、紅茶を注ぎながら考える。

つい先日、大くんに聞いたそれは衝撃的だった。

大くんと一緒に働いていたスコッチと呼ばれるその人はスパイだったらしく、それをパリくんが片付けたらしい。

大くんは濁していたけど、片付けたとなればきっとその人はもうこの世にはいなくて、スコッチの名前はたしか、パリくんの口からも聞いたことがあるほどに面倒みが良くて仲が良い人のはずだ。

身近な人を自身の手で消してしまって、パリくんは辛くないのだろうか。

志保からも大くんからも、そういった薄暗い話はパリくんに振らないように注意されているし、そもそも私達がパリくんと共に過ごすように言いつけられた内容にも必要以上のことは詮索しないようにと念押しをされている。

だから私が問いかけできるのはさっきのが精一杯の範囲で、志保もそれ以上聞けないことがもどかしいような、知りたくないような、そんな顔をしてる。

私が言葉を重ねるより早く、そっとパリくんの前に志保が手を伸ばしてそれを置いた。

『ん?なぁに?これ?』

「栄養剤よ」

『ビタミン…?なんで??』

「疲れているときには栄養の補給が一番だから」

『俺、別に疲れてないよ?』

「体は自分が自覚している以上に疲れているものなの。あなたが疲れいると思わなくても必ず摂取なさい。なくなったらまた私のところに来るように」

『んー』

「毎日必ず市日1錠、決まった時間に摂取すること。20錠入っているから…そうね、二週間後にまた来なさい」

『んええ…?』

理解できていなそうに困惑の表情を浮かべてるパリくんに志保は譲らない。

あまりに強い視線にか諦めたらしいパリくんが肩を落とした。

『はぁい』

「…きちんと飲むのよ」

『がんばる〜』

「いい子ね」

折れたらしいパリくんに志保が満足気に口元を緩めて手を伸ばす。金色の髪をなでる志保は流れるように視線をそらして私を見るから、軽く手を握り込んで親指だけ立てれば息を吐かれた。




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