イナイレ


来て一日目、地理も何も把握できてないのに異国の地を夕方からふらつくのは得策じゃねぇだろうと、せいに連絡を入れながら部屋でおとなしくゲームをすることにした。

「諧音、後で話がある」

話しかけてきた道也に覚えてたらと返して部屋に引きこもったのは三時間前で、すっかりお決まりと化している、呼びに来た隣の部屋の不動と食堂に入る。

ゲームの区切りの関係で下りるのが遅くなったから、てっきり最後かと思えばまだ円堂が来てなかった。

「珍しいこともあんだな…」

向かいに座った不動が零す。

周りは全員、海外にいることの興奮が冷めてないのか空港から出たときと同じ勢いで喋っててとても上機嫌だ。

『あのサッカー馬鹿のせいでこっちの予定が狂うってのォ』

まだ来ないならと持ってきてた携帯にイヤホンを挿して耳につける。ゲームでもするかと思えば携帯が鳴った。

どうせ周りもうるさいし、気にせず出て口を開く。

『なんだァ』

「かいとん!かいとん!今らいおここっととう?」

『俺がいんのはライオコット島だが?』

「あはは!また間違えちゃったぜ!じゃ、そろそろ会えるね!俺っち早くかいとん充電したい!てか充電切れだよもうっ!」

『やっぱお前もこっち来てんだな。二年ぶりじゃねぇのォ?』

「うんうん!一昨日ついたばかり!あ、でもゲーセンある場所は把握済だよん!今から出てこれない?!」

『はァ?今?無理』

「んんー、じゃ二時間後に日本エリアのゲートは??」

『おっけーだァ』

「今日は寝かせてもらえなさそうなんだぜ!」

あははっと笑いはじめ、向こうで誰かが怒る声が聞こえて通話が切れた。通話終了の文字が表示された画面を見て息を吐く。

二時間後なら飯食って支度してからでも間に合うだろう。

視界の端に木野と円堂が映り、イヤホンを外す。

向かいの不動がこっちを見てきてた。

『なに?』

「…出かけんのか?」

『そーだけどォ?』

「……ふーん」

『…?』

空港でもそうだったけど、なにか言いたげな目をしてるくせにそれ以上特に何を聞いてくるでも話すでもない。

『お前…、』

「いただきまーす!!」

かけられた号令に、不動が目を逸らしてしまったから、配られてた食事に手を伸ばした。


×


私服に着替え、イヤホンと携帯、財布、ガムを持って寮を出た。

出て少しして道也に連絡してねーなと思いだしたが、もう少ししてからメールでも入れておくことにする。

日本エリアを歩き、境目のゲートに着けば向こうから走ってくる錦糸みたいな金髪が目に入った。

「かいとんおひさぁぁぁ!!」

飛びついてきたそれを受け止めて見おろす。

記憶よりも少しだけ大人びて、肌は日に焼けてた。

すーはーと顔を押し付けて深呼吸をしたと思うと勢い良く顔を上げる。

「はぁーっ、かいとんだぁ!!また天使に生きて会えたとか、俺っちもう死ねるぅっ!!」

『会ってすぐ死ぬ気かァ?』

「まっさかぁ〜!たーくさん遊ばなきゃ!っと、ささっ!こっちこっち!!」

ひとしきり騒いで、そのまま腕を組まれて歩き始める。

こいつが進んだのはさっき俺が出てきたのとは別のエリアに向かう道だった。

「この先にあるゲーセン結構大きくて、俺っちは知ってるのも知らないのもあったよ!」

『へー。つか、お前今どこなんだァ?』

「いたりあっ!ちゃおちゃおっ!」

『Buona sera』

「さすがかいとん!」

楽しそうに笑って、そうだ!と目を輝かせた。

「かいとん、せいたんもここにいるってほんと?」

『いんけど、会ってねぇの?』

「ない!久々に騒ぎたい!」

『あー、ちっと待て………五日後の午後から明日の朝まで平気だと。一緒に行くかァ?』

「行動早いね!さすがかいとん!」

せいたんで遊ぶの楽しみー!なんて上機嫌に零すようたに五日後のせいの反応を予想して笑う。

腕を組み歩く俺達と反対側から歩いてきた人影。そう狭い道幅でもないけれどぶつからないようにかもっと体を寄せて、向かいから進んできていた足が止まった。

「あれ?ヨータ?」

妙にカタカナで発音される隣のやつの名前に、ようたが俺から視線を逸らした。

「ん?あ、フィディオ!ちゃおちゃお」

「Ciao」

知り合いなのか、ニコニコ笑って会話する様子に、ずっと揺れてる携帯を取り出す。たまってる道也からの連絡に息を吐いて、今日は帰らないとメールを送った。

ぼーっと辺りを見渡す。各エリア、各チームのサポーターファンが混在しているこの島で、公用語は英語と日本語らしい。じゃなきゃ風丸や鬼道のような人間ならまだしも、円堂みたいな人間は言葉も通じなくて苦労しただろう。

日本が拠点のせいの家がスポンサーとして大口の寄付をしているのも関係してるのかもしれない。

未だに仲が良さそうに話してる二人の視線がこちらに向いたから携帯をしまった。

「そちらはヨータの友達?」

「んん、友達じゃないよ!かいとん!俺の大事な人っ!」

カイトン?と首を傾げたそいつは聞き馴染みがない響きなのか、うまく発音できてない。

「かいとんはかいとん!」

「そ、そうなの?えと、フィディオ・アルディナ。イタリアでキャプテンしてるんだ。よろしくね、カイ、トン?」

差し出された手に仕方なく手を伸ばした。

このままかいとんとかいうふざけたアダ名で覚えられたら馬鹿二号が増える。

『よろしく。俺は「ぎゃぁぁぁぁ!かいとん、かいとん!虫ぃぃ!!むしいやぁぁぁ」

人外かと突っ込みたくなるような力で抱きつかれ、息がつまった。締め上げられながら広げた視界の端に時期外れなセミが飛んでるのが見える。

フィディオは目を丸くしてから、ふふっと笑う。

「彼の虫嫌いか…」

『お前まだダメなのかよ』

「まだもなにもずっといや!!かいとん早くいこおおお!!」

引かれた腕にうるせえと頭をはたいて、フィディオを見た。

『ようたが世話になってるみてぇだな。うるせぇだろうが、これからもよろしく』

「よろしくフィディオおお、そんなことよりかいとんはやくあっちいこ!!むしいやぁぁぁんん!!!」

『うるせぇっつーのォ』

息を吐いて歩き出す。後ろでフィディオが一度声をかけようとして、首を傾げてから歩き始めた。


×


「フィディオはね、悪いやつじゃないけど優しすぎるんだよねー」

それから、チームメイトも。

俺に舌を這わせながら楽しそうに言う。目を細めて擦り寄った。

「そろそろ足元掬われそう、あの子たち」

俺っち的見解だけどねと閉めて、鼻先を合わせる。

日焼けしてない背中をなぞれば上擦った声で笑った。

「俺っちはどーなっても構わないけど…、そうしたら、かいとんは俺っちを助けた代わりにあの子食べちゃいそうだよね」

『あー、まぁ、顔は嫌いじゃなかったなァ』

まっすぐな目といい真面目でめんどくなさそう性格は好ましい。

笑って、拗ねたぞぅっといいながら首筋に吸い付かれた。

「俺っちと一緒にいるのに他の子狙うなんてひどいよ〜!」

『この状況で他の奴の話するお前のがひでぇだろ』

「あははっ!お互い様かぁ!!」

ようたが俺の背に腕を回して、頬をすり寄せた。

「久しぶりだから優しくして?」

『あー、検討?』



×



異国について早々、ユニフォームに着替えさせられて集められたその場所で開会式が行われる。

大きなグラウンド。すでに興奮から沸き起こっている歓声が響いてる。

帰るなり勝手に道也が貼ってきた首筋の絆創膏を上から掻いて、首を回した。

司会の声と合わせて起こる歓声。大方最初に入場するっていう最優勝候補のブラジルのものだ。

「全員、そろっているな」

「はい!…よし!いくぞ!」

円堂の声が響き、全員が返事をする。

しっかりと振り上げられた旗、光に向かって一歩ずつ足を進めていく。

隣は誰もおらず一人ゆったりと歩く。

観客の目と声、光が次々と集まってきた。懐かしく感じる喧騒は韓国戦で湧き上がったものと比べ物にならないくらいうるさくて、頭の中に響く。

これは、もう俺たちにじゃなく、イナジャパに、そして代表選手たちに向けたものなんだろう。

アメリカには懐かしい顔が二つ。イタリア先頭、フィディオのすぐ後ろにようたがいて俺を見て目を輝かせた後に笑う。

俯瞰で見渡すフィールド、それなら観客席、本部室。


どこか既視感のあるそいつが、口角を上げた。





俺が今大会の関係者、要人があつまるパーティーに誘われてたのは偶然だった。

開会式のあとにそのまま行われるそこで、ユニフォームから正装に着替えて、渡されていた参加証明書のピンを胸につけて入場したのは三十分ほど前のこと。

「あれ?来栖?」

そこにいた、見覚えのある茶髪に会ったのも偶然で、隣には日本人離れした顔立ちの二人を連れていて、俺を見つけたのは一之瀬だった。

「カズヤ知り合い?」

後ろで不思議そうにする片割れの眼鏡が一歩詰めてきた。

「あ…うん。日本にいた時とてもお世話になったんだよ」

『世話した覚えなんてねぇよ』

「へー!ミーはディラン、こっちはマイク!カズヤと一緒にアメリカ代表だ、よろしく!」

「よろしく」

『…よろしく』

差し出された手を無視するわけにもいかず、二人と短く握手を交わす。

「じゃあカズヤ、先行ってるぞ」

「ああ、悪いな」

二人と別れた一之瀬は俺の目の前に残り、そのまま向かい合ってにこにこと笑ってる。

『なんで残ってんだ』

「やっと来栖と話せそうだからだよ」

『はぁ?』

「雷門ではあんだけ逃げ回られたけど、ここだったら逃げられないだろ?」

『…まぁ、わざわざこんなところで鬼ごっこする気にはなれねぇなァ』

「やっぱり故意に避けてたんだ?あの時は傷ついたんだぞ?」

『用がねぇのに話したくなかっただけ』

「こっちは用しかなかったんだけど??」

わざと目を逸らしてやれば深々と息を吐いて、右手を差し出された。

「改めて、一之瀬一哉だ。よろしく」

『…来栖諧音』

手を取ってすぐ離せば片眉が上がった。

「来栖?俺と仲良くする気ある?」

『カケラもねぇ』

「まったく、せっかく憧れの選手に会えたのに逃げられるし仲良くしてくれないし俺は悲しいよ」

『なにが憧れだ。社交辞令も行き過ぎんと失礼だぞ』

「100%本心なのになんでそう捻くれた受け取り方するのかな…?風丸からも聞いてたけど、一体どこにあの純真さを置いてきたの?」

『んなもん最初から持ち合わせてねぇよ。てめぇの記憶補正だろ』

「ふーん。…まぁ、そういうことにしておいてあげるよ」

やれやれとわざとらしく肩を竦めて首を左右に振った一之瀬は笑顔を浮かべ直して俺を見た。

「円堂…イナズマジャパンのメンバーは一緒じゃないんだ?」

『日本代表はこのパーティーの存在自体知らねぇよ。イナズマジャパンとして来てんのは監督だけだァ』

「あれ?来栖は?」

『俺はこっち』

胸元のピンを見せれば割り当てられているその色に目を瞬かれた。

「え、来賓?」

『の同伴者』

「ええ…?このパーティーの来賓の同伴者って…社会的地位…ええ…?どこの会社の同伴なんだ?」

『守秘義務』

「嘘つけ」

昔に会ったことがあるとはいえ、随分と雰囲気が変わってる俺に一之瀬は慣れたように会話を続ける。

「円堂たちに会えなくて残念」

近づいてきたボーイから飲み物を二つ受け取ると、片方を俺に差し出すから仕方なくもらう。透明のそれに、立食形式は同じような飲み物と食べ物が多いなとグラスに口をつけた。

「来栖が日本代表なんて驚いた」

『あー…俺もこんなとこに居るなんて驚いてる』

「また来栖のプレーが見れるんだね」

『出る気なんてないっつーのォ』

じゃあそういうことにしておくよと笑った一之瀬に、ずっと離れていた連れの二人が声をかける。その二人と話してた人間を見て一之瀬は目を丸くした。

「あれは…、もっと話したかったけど、もう行くよ。また機会があったら話したいから逃げないでね」

『検討』

「はぁ。…それならこれだけは。…土門のこと、本当にありがとう」

『…さっさといけ』

「ああ。じゃあそっちも楽しんで」

早足で俺から離れた一之瀬は二人に歓迎され、それから青い目のやつと話し始める。矛先が向かないようにその場所から離れる。

土門とか、懐かしい名前を聞いた。

今日はいないらしいあのヒョロいやつを思い出しながら壁際に寄り、飲み物に口をつける。

室内には百を超える人が各々会話をし交流をはかってた。

ちらほら見える同い年くらいのやつは選手、もしくは要人の子息といったところだろう。

『………彼奴…?』

会話を交わす大人、そのうちのひとつ、長い金髪を耳上で束ね流してる背の高い男が目についた。

見覚えがないはずなのに既視感を覚えるのは、

「わっ」

『あ?』

忍び寄って後ろから声をかけてきた奴に驚くわけもなく、苛ついて返せばきょとんとしてた。

「あ、あれ?」

『誰だ』

「ま、間違え、…………ご、ごめんなさい!!」

小学生、虎と同じか下くらいのガキは顔を青くして頭を下げる。

俺がいじめてるみたいに見える言動に息を吐く。

「ほ、ほんとにごめんなさい!知り合いに似てたから間違えちゃって、ごめんなさい!」

『謝んな、うぜぇ。気にしてねぇよ』

ぺこぺこ頭を下げられ、空になったグラスをテーブルに置く。

視界を広げても俺に似てる奴なんて見当たらず、迷子かとも思ったがこの会場にいる奴がそんなのありえないかとまた息を吐いた。

『お前連れは?』

「ぼ、僕、チームメイト二人と来てて」

オロオロされても困る。

『特徴は』

「えと、一人はお兄さんにそっくりで、もう一人はあの、地黒で髪がこうぼわって」

くっそへたくそな説明に息を吐いて、広げた視界で会場を見渡していく。一人、高めの背で色黒な男が誰かを探すようにあたりを見て焦ってたのを見つけた。

『あっちにいる、あれ、お前の事探してんじゃねぇのォ?』

「え?え?」

背が低いそいつは見えないのか跳ね始め、どう足掻いても自力では見えないだろうから両脇の下に手を入れて持ち上げた。

「わっ、たかい…!あ!ロニージョ!!」

『連れが見つかってよかったなァ』

子供は下ろせばくるりと俺に向き合ってにこりと笑う。

「ロニージョ見つかった!ありがとう!」

『別にィ』

「あ、お兄さん名前は!」

『お前が試合出てりゃそのうちわかんだろ。せっかく見つけたんだからさっさといけ』

理解したのか納得いってるのかは定かじゃないが、ばいばいと手を振りさっきの奴に飛びついたガキを見送って息を吐く。

「諧音のこども好きは変わらないな」

舌打ちをしてから、拾い直した空のグラスを押し付けてやれば、悪人面を隠すことなくネクタイに手をやり緩める。

『後ろからみてねぇでなんとかしろよ』

「何故だ?俺様が行くともっと騒ぎが大きくなるぞ?」

当たり前のことを伝えるように言い放つせいに息を吐く。

「行くぞ」

声がかけられて歩き出す。奥へ奥へと進む。VIPルームに続く道を歩いていればなぁと問いかけられる。

「挨拶はすんだか?」

『大体。お前こそ、連れ回されてたな』

「パイプを作っておくことに損はないだろ?」

『はぁ、大変なこったァ』

「諧音にだけは言われたくない」

見張りのスーツが立つ扉の先、防音なのか外の喧騒が聞こえないその部屋は一面が窓で夜景が広がってる。

「息が詰まる」

スーツの皺も髪型が乱れるのも気にせずソファに体を投げ出した。

『馬鹿じゃねぇのォ』

今着ているのは借り物の服だから、上着を脱いでテーブルに投げ捨てる。

視線を向ければ髪をかき混ぜたのか、前髪が落ちたそいつは隣を叩く。

「諧音、来いよ」

『アホか?ソファに二人で寝転がるなんてごめんだわ』

隣の部屋を開ければ予想したとおりベッドがメイキングされてた。

靴を脱いで、スプリングのきいたマットに布団も捲らず体を寝転ばせる。勢いによって留めもしてない前髪が顔にかかった。

「諧音」

右側が沈みこんで、前髪が退けられる。

「諧音、目開けろ」

『なんでだァ』

「顔が見たい以外に理由があるのか?」

『目、疲れてんだっつーの』

「なら仕方ねぇ」

まぶたを撫でられ、頬に感触。

香水の元が近くて、強く届く。

「諧音、無茶をするな」

『俺に何言ってんだ』

「注意、忠告、ってところ」

『お前こそ無理すんじゃねぇ』

目を瞑ったまま手を伸ばせばすぐ近くに頭があって、引き寄せればなんの苦労もなしに胸の上に落ちてきた。







「諧音、お前…」

『んな怒んなって』

朝になって、私服で合宿所に戻る。報告のために寄った部屋の中にいた道也は寝起きなことを差し引いても目が死んでいて頭を押さえながら息を吐いた。

「はぁ、本当にお前は…来賓で出席しているし、勝手にどこか行くし、大丈夫だったから良かったようなものの…」

『なんとかなったんだから今更気にすんじゃねぇよ』

知り合いのいない空間に一人で置いていかれたのがよっぽど堪えたらしい。

正装して顔を合わせたときに目を白黒させている姿は面白かったし、ピンの色を見て白目を剥きかけていたのも写真をとっておけなかったのを悔いるくらいには愉快だった。

『収穫はあったのかァ?』

「……各国の代表、コーチ、監督の顔合わせは出来た」

『ふーん、お疲れさん』

「お前はどうだった」

『あー、アメリカの選手とは一応顔は合わせた』

「一之瀬と会ったんだな」

『まぁ、一応』

「土門のこと、ありがとうと伝えてくれと言われたが聞いたのか?」

『聞いた聞いた。なんのことだか』

道也は息を短く吐いて口角を上げた。

「迷子の案内もご苦労だったな」

『うぜぇ』

そうかと肩を揺らした道也は、ああ、と思いだしたように白い封筒を差し出してくる。

表にはなにもなく、裏返せばナイツオブクイーンの文字。

「2日連続はさすがに堪える。頼んだぞ」

『海外着いて早々に監督業務放棄してんじゃねぇぞ』

睨んだ俺に扉がノックされる。

入ってきた冬花は目を瞬いていて、そしてその後ろには届いたばかりなのか業者によって運ばれてる大量のダンボールが見える。これからの流れを察して頭を押さえた。




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