イナイレ


宇宙人は人間だったとか、なんかいつの間にか髪を下ろした風丸がぴっちぴちの見たことねーユニフォーム着てたとか。

窓から見ててもよくわからなかったそれに、雷門中サッカー部から始まって全国のやる気ある奴を集めて作ったサッカーチームは世界を救ったらしい。

いつの間にかゴボウと一之瀬は学校を去っていて、残されたのは白菜とゴーグルのみ。

何がおきてたのか全くわからないが、帰ってくるなり俺の食事改善と昼飯を詰め込んできてた最中の風丸がなんかそんなこと言ってた気がする。

「あ〜、わっかんねぇ〜」

「おい、それ前期の基礎範囲だろ…?」

「円堂今までどうやってテスト乗り越えてたんだ?」

「中学が義務教育でなければ、円堂はFFにも参加できていなかっただろうな…」

「義務教育万々歳だが、流石に学業が俺達の本業だからな…仕方あるまい」

『……………』

風丸だけならまだしも、学力のガの字もない円堂の勉強まで見させられて、ついでに転校したてのよく知らねぇ奴らまで混ざってる勉強会はただでさえ苦痛なのに、ここ毎日、放課後まで強制的に試験勉強に付き合わされてストレスが溜まってた。

ガムを食べる量が増えたし体も重い気がする。そろそろ処理しなきゃ死ぬなァとか思っていたら電話がかかってきた。

登録してないのか見覚えのない電番が並んでる。心当たりはないものの、俺の電話番号を知ってるやつは限られてるから悪いようにはならないだろう。口の端を上げて電話に出た。

『誰だァ』

「俺だ」

聞こえてきたのは色々な意味で聞き馴染みのある低い男の声で、肩透かしを食らった気分だ。

脱力感に息を吐いてベッドに寝転ぶ。

『なんだ、道也かァ』

「なんだとはなんだ。まぁいいが」

そんなに聞く気もないのなら、最初からつっかかってこなきゃいいいのにと目を閉じて耳を澄ませる。

『なんの用だァ?』

「2週間後の日曜日。お前の通ってる学校の体育館に13時に来い」

『………はぁ?』

突拍子もない言葉。こっちの都合お構いなしに告げられたそれに携帯を投げ出しそうになる。

『急に何言ってんだ?頭壊れたかァ??』

「そんなことはない」

小馬鹿にしているのにも関わらず道也は声色を変えない。

相手にされてないっつーか、本気に取っていないような、こういうところが地味に苛立つ。

「来なければお前の電子機器類は全て没収。ついでに禁欲2ヶ月の刑だ」

ぴしりと、空気が固まったような錯覚に陥って息を吐く。

音を立てる心臓に首を横に振って目を閉じた。

『俺に死ねって?』

「来ればいいだけの話だ。来なければそうなる」

言いたいことだけ言って、通話が切られた。

プープーなんて音を発する携帯から耳を離して深々と息を吐き寝返りをうつ。

『ちっ。なんなんだ彼奴』

本当に、勝手な奴だ。

思いっきり、肺から息を吐いて頭を抱えた。





「聞いてくれ来栖!」

なんだ、珍しく騒がしいな

片耳のイヤホンを外し、DSから顔を上げれば目を輝かせ頬を紅潮させた風丸の顔が目の前にあった。

なに、ちゅーしてやろうかァ?

そんなことを思ってるのも知らずに風丸ははしゃぎながらあったことを俺に伝えてくる。

そういうのは親とかに話せや。なんで俺に話すんだよ。

「俺たち日本代表候補に選ばれたんだ!」

『へー、俺たちって誰が』

「円堂に豪炎寺、染岡に―――…」

なにか話が続いているようだが、つまり要約してやると雷門サッカー部の奴らが選ばれた訳だな。

『ふーん。よかったなァ』

「絶対に代表になってみせるさ!」

『おー、がんばれぇ』

「ああ!」

相槌を返して、またゲームを始めようとしたところでゲーム機が奪われた。

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