DC 原作沿い


俺の居ない間に仲間入りしたのはカルバドスくんと、それからキールちゃんという女の子らしい。

噂には聞いていたけどカルバドスくんにはあれ以来、キールちゃんには一度も会ったことはなくて、そのうち挨拶ができたらいいなーくらいに思ってた。

「あ、あなた…」

『?』

会議室から出てきた女の子は俺を見て驚いた顔をする。見覚えがないその子に首を傾げれば同じく会議室から出てきたキューちゃんが俺を目視するなり眉根を寄せた。

「パリジャン」

『キューちゃんお疲れ様ー。お仕事?』

「なんだっていいでしょ」

視線を逸らされてしまって、やっぱり俺はあんまり好かれてないらしい。キューちゃんの俺嫌いは今に始まったことじゃないから置いておいて、ねぇとキューちゃんに問いかけた。

『初めましてだと思うから、キューちゃん間とりもって?』

「はぁ…。なんで私が…」

不服そうなキューちゃんだけど、取り持ってくれる気らしく隣の女の子に視線を向ける。女の子は少し緊張した面持ちで背筋を伸ばした。

「コードネームはキールよ。貴方も知ってると思うけど数少ない外に顔を出しているタイプのメンバー」

『はじめまして、キールちゃん。俺、パリジャン。よろしくねー』

「初めまして、…お願いします」

手を出せば恐る恐る伸びた手が俺の手を取って短く握手を交わす。手が離れたところで首を傾げた。

『キールちゃんは外では何してる人なの?』

「貴方テレビとか見ないの?」

『ん。暇なときは寝てるから』

俺の部屋にテレビがないことはほとんどの人が知ってるけど、そういえばキューちゃんは俺の部屋に来たとこがなかったかもしれない。

キューちゃんが、ほんと世間知らずハッピー野郎と溢してからキールちゃんを見据えた。

「水無玲奈。アナウンサーとしてテレビに出てるわ」

『アナウンサー…!』

俺はあんまり滑舌が良くないし、難しい言葉も得意じゃないから目を輝かせる。

『キーちゃんすごいね!早口言葉できる??』

「え、ええ、一応は…」

『すごい!すごい!聞かせて聞かせて!』

目を丸くしたキーちゃんにキューちゃんが大きく息を吐いて、後ろに感じた気配がテンションの上がってる俺の頭に手を置いて抑えた。

「何騒いでんだー」

『アイくん!あのね!キーちゃんアナウンサーなんだって!知ってた!?』

「知ってんぞ」

『すごいよね!かっこいい!!』

「おー」

乗っけられてた手が髪を乱すように勢い良く左右に動かされて頭が撫でられる。

アイくんが固まってるキーちゃんにわりぃなと謝った。

「こいつ変なとこミーハーでよ。今度早口言葉でも言ってやってくれ」

「え、ええ…」

『今だめなの??』

「てめぇは仕事だろ」

『あ、そうだったー』

とても残念で肩を落とす。ぽすぽすと頭が撫でられて手が離れた。

「ほら、行くぞ」

『はーい』

先に歩き始めたアイくんに置いてかれないように俺も動こうとして、それから今まで話しかけてた二人を見る。

『キーちゃん今度絶対きかせてねー!』

「機会があったら…?」

『じゃあ俺の任務終わったら会いに行くね!お茶しよ!』

「機会があったら…」

『機会は作るんだよ!キューちゃんも参加できる??』

「いや」

『キューちゃんいつもそれー』

「パリジャーン、置いてっちまうぞー」

『やだー!アイくん待ってー!』

おとなしいキーちゃんとばっさりフッてくるキューちゃんはお願いすれば来てくれるだろう。

『それじゃあ連絡するね!ばいばーい!』

少し離れたところで足を止めて待ってくれていたアイくんの元へ走って向かう。追いついたところでアイくんはおせーぞと俺の背中を叩いて、笑いながら一緒に車に乗り込んだ。


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