DC 原作沿い


喧騒から離れるように市街地を抜け、近くのデパートでお菓子を買った。連絡が来た集合場所に向かう。

見えた二人の姿にほっとして、かぶったままのフードをおろして近づくとキャンねぇとコルにぃが俺を見据えるなり目を丸くした。

「ちょっとアンタ!どうしたのそれ!」

「怪我、いたくないか」

『怪我?』

「ここ」

コルにぃに突かれたのは頬で、触れられるとチリっとひりつくような痛みがはしる。キャンねぇがほら!と鏡を見せてくれて、頬には赤色の線がついており、大方爆破に巻き込まれたときに破片か何かで切ってしまったんだろう。

『おぼえてなーい』

「まったく…ほら、貼っときな」

「俺、貼る」

『ありがとー!』

キャンねぇがウエストポーチから取り出した細長いものを受け取って包装を剥く。中から現れたピンクと赤と白のチェック柄の絆創膏をコルにぃはためらいなく俺の頬に貼った。

『かわいいね』

「でしょ?」

ふふんと笑ったキャンねぇにもう一回ありがとうと言って、貼ってくれたコルにぃにもありがとうを伝える。

それから右手に持っていた袋を持ち上げた。

『いっぱい買ってきたよ。一緒に食べよー』

「おお!えらいえらい!ちゃぁんと買ってきたんだねぇ!」

「いいこ、いいこ」

先にはキャンねえががしがしと俺の頭を撫で回して、次にコルにぃがぽんぽんと頭を撫でる。対象的な手つきに口元を緩めた。

二人は俺の頭を撫でるなり満足したのか、肩にかけてた鞄を持ち直すとコルにぃは運転席へ、キャンねぇが助手席に乗る。

『みんな待たなくていいの?』

「平気」

「仕事遅いのが悪いんだから放っときな!」

エンジンがかけられて車が動き出した。

今日の仕事はみんなでやっていたけど、狙撃部隊と暗躍部隊と実行部隊で行く場所が違かったらしい。普段はもっとみんなの仕事が終わる時間は近い。

『今日は大きい仕事だったんだね』

「なんか重要人物だったらしいよ」

「政治関係者」

「関係者ってオッサンばっかでおんなじような顔してるから興味なーい」

『わかるー』

「仕事の話、終わり。暇だし遊び行こう」

「お!いいねぇ!どこいく?」

「決まってる。場所、クイズ」

「射撃場?」

キャンねぇの言葉にコルにぃは少し首を横に振る。

『遊園地!』

「ダーツ?」

『水族館!』

「ビリヤード」

『動物園!』

「まさかバー??」

「全部違う」

コルにぃのクイズが難しいからかキャンねぇは諦めたらしく楽しくなかったら許さないよ!と笑って助手席であくびをこぼす。

俺もこれ以上場所が思いつかないから解答をやめて、痒くなってきた目元を擦った。

『コルにぃがどこに連れて行ってくれるか楽しみー』

「期待しとけ」

ちょっと笑ったコルにぃはつくのに時間がかかると溢して、キャンねぇがタオルを渡してくれる。眠たそうな俺に気づいてたんだろう。

「ついたら起こしてあげるから安心しな」

俺が覚えている中で、ずっと昔から眠気が唐突に襲ってくることがある。そんなときは眠らないと途中で倒れてしまうくらい意識が飛んでしまうから、いつからかコルにぃの車には布団代わりのタオルが用意されるようになった。

大きめのタオルケットを受け取って椅子を倒し、横になる。すぐに落ちてきたまぶたに頑張って口を開いた。

『おや…すみ…』

「おやすみ」

「おやすみー」

返される挨拶が心地よくて、タオルケットを握りしめて目を閉じた。


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