DC 原作沿い
今日は放置デーらしい。朝からみんな忙しそうに動いていて、誰も声をかけてくれない。室内じゃ暇だろうと外に連れ出してくれたのはキャンねぇとコルにぃで、二人は俺にお小遣いをくれて、好きなご飯食べた後に打ち上げで食べるお菓子でも買ってきなと丸のたくさんついた紙を何枚か握らせてくれた。
俺が降ろされたのは東都の真ん中のとこあたりで、休日らしく人が多い。
周りは休みを謳歌してる学生や家族がたくさんいて、昼食を取る場所を物色してうあると私服姿で定かではないけど、平日は学校に通っているであろう年齢の男女グループがファストフード店のテーブル席で楽しそうに喋ってた。
ふらふらと吸い込まれるように入ったファストフード店は外からも漂ってた油と肉の香りがして、きゅーと腹がなる。
混み合うレジ前に成形された列に並んで、ちょっとずつ進む。自分の番になって店員さんに笑いかけられたところで、何にするか決めてなかったことに気づいた。
「ご注文をお伺いします!」
『あ、えっと…』
メニューを見るけど焦っているせいかうまく認識できず、なにも思いつかない。どうしようと困っていれば大丈夫ですか?と声が聞こえて、横で注文してた人がのぞき込んだ。
「メニュー、読めますか?」
『んーん』
心配そうに聞いてくれてる男の子に首を横に振る。こういうときは外見を利用するのが早い。
ベルねぇさんに似た白っぽい髪色に日本人じゃないと勘違いしてくれた男の子はさらりと英語でメニューを説明してくれて、野菜のたくさん入ってるバーガーとナゲットを頼んだ。
『ありがと!やさしいね!』
「困ってる人がいたら手を貸すのが普通ですよ」
ちょっと自慢げに、それでいてさらっと当たり前のように微笑んだ男の子と、たぶん一緒に来ていたであろう女の子はにこりと笑う。休日に遊びに来てたであろう小さな二人を邪魔してしまったことに少し悩んで、いいことを思いつく。
俺の注文を手伝ってくれていて、オーダーが遅れた二人が注文を済ませるのと、俺の食料品が届いたのはほぼ同時で、昼食が入った袋を受け取ってそのまま横に移動する。
『ほんと、ありがと!』
「気にしないでください」
さらっと笑ってくれた男の子ににっこり笑って、お会計のトレーにさっきの精算で崩れた紙のお金を置く。男の子と女の子が虚をつかれたように目を丸くしたところで駆け出す。
「あ!ちょっ!おい!!」
『ばいばーい!』
後ろから聞こえる声に振り返ったら転ぶかもしれないから返事だけして走った。