ヒロアカ 第一部


「さぁ!昼休憩も終わって遂に最終種目!!一対一のガチバトルだ!!」

呼び出されて集められた十六人の選手。グラウンドに集まった選手にもちろん出久も勝己もいて、人使はどこか緊張してるのか手を握って息を吐いてる。

「いよいよだ」

『成果が発揮できるといいな』

昨年はスポーツチャンバラだったなんて生徒たちが言葉を溢して、今年はどうなるのかと期待に目を輝かせて司会の担任の言葉を待つ。

担任は黄色い正方形の箱を持って笑った。

「それじゃあ組み合わせ決めのくじ引き始めちゃうよ!早速一位から…」

「あの、すみません。俺、棄権します」

担任の言葉を遮り、一人の生徒が手を上げる。尾白くんは浮かない表情で周りが驚きに声を上げ、俯き気味に話を続けた。

「騎馬戦の記憶、終盤ギリギリまでぼんやりとしかないんだ。……たぶん、奴の個性のせいで」

出久の視線が隣の人使に向きそうになって、尾白くんの言葉が視線を戻す。

涙を堪えるように棄権をしたいと訴え、B組のもう一人騎馬を組んでいた庄田くんも同じように棄権を希望する。

主審だという担任の采配を仰ぐため全員が前を見た。

「そういう青臭い話は…好み!庄田!尾白の棄権を認めます!!」

にっこりと楽しそうに担任が宣言したことにより、色々あって鉄哲チームから二人が繰り上がる。

ごたごたによりくじは主審によってさっさと引かれて組み合わせが決まった。

「アンタだよな、緑谷出久って。……一回戦、よろしく」

「ぁ、」

「緑谷」

声をかけに行った人使に尾白くんが警戒したように出久の口をふさぐ。これ以上は余計警戒されると見てか人使はさっさと控室に向かった。

一人取り残され、トーナメント表を見上げる。相手の名前は芦戸とあって、騎馬戦のときに勝己と組んでいた女の子だろう。

「アタシの対戦相手緑谷出留だって!緑谷と同じ名字とか運命感じるよね!」

「一年C組普通科の生徒か…」

快活に笑う彼女と同じように近くにいた女の子がほんまやねと頷く。尾白くんといた出久が勢い良く体の向きを変え、目を見開いた。

「芦戸さん、今なんて?」

「え?対戦相手の話?てか今緑谷すんごい角度で振り向かなかった??」

「デクくん…?」

驚く周りを他所に、慌てたように支線を彷徨わせる出久。手を上げてみれば視線はすぐに定まり、一直線に勢いよく走ってくるから腕を広げて受け止めた。

「兄ちゃん!」

『おー、元気だな〜。三回戦進出おめでとー』

「兄ちゃんこそ!ごめんね、僕全然気がつかなくて…テンパっちゃって、もっと周りみないと駄目だね」

『俺が隅にいただけだから気にすんな。母さんも、怪我だけには気をつけて、頑張れって』

「母さんに連絡忘れてた!!」

『母さんも怒ってないから大丈夫だよ』

慌て過ぎて目を回してる出久に苦笑いを浮かべ髪を撫でる。周りは驚いているし、勝己からは圧を感じ、轟くんからは突き刺すような視線を向けてきてるからとりあえず手を振ってみる。

もう一度出久の髪を撫でてから離れた。

『ほら、オリエンテーションも始まるし、尾白くんと話があるんじゃないの?』

「そうだった!兄ちゃんまた後でね!」

『ばいばーい』

どう考えても出久に聞きたいことがあったであろう周りに気づいていないのか、まっすぐ指した方向の尾白くんの元にかけていく。

ほとんどが走る出久に目を取られたから方向転換をして、先程人使が消えていった出口に向かった。

ちょうど聞こえたオリエンテーション開始のアナウンスに物言いたげな視線も外れたようで、一度振り返ればじっと俺を見ていた勝己と目があったから小さく手を振る。眉根を寄せるなり息を吐いて、あちらも出口に向かい始めたから控室に足を進めた。

オリエンテーションは借り物競争や大玉転がしが行われるらしい。三回戦出場者は任意参加だそうで、人の少ない二階の観覧席に腰掛けて下を眺める。

ふわりと空気が揺れて隣に現れた彼は腰を下ろした。

『こんなとこに来て大丈夫なの?』

「すぐ帰る」

今日はあからさまな不審者ルックではなく、キャップを深く被ってパーカーにカーゴパンツなんて青年らしい格好をしてる。

ヒーローたちが競技を見るのに夢中になってるのをいいことに観覧席に現れるなんて大胆すぎる行為。誰にも気づかれてないのかざわめきの一つも起きない。

『今日は何しに?』

「テレビに全然映らねぇから直接見に来ただけだ」

次世代のヒーローを眺めにきたのか、それとも観覧席の現役ヒーローの品定めに来たのか、わざわざ表に出てくるとは相当気になってる相手がいるんだろう。

一緒に探すため少し居住まいを正して下を見る。

『カメラの位置とかあるもんね。目当ては誰よ。知ってる人なら探すよ?』

「お前」

『ん?』

「だから、お前を見に来たんだよ」

聞き間違いかと顔を向けたところでばちりと音でもなりそうなくらいがっつりと目が合う。頬杖ついてどこか呆れ顔の弔が息を吐いた。

「どの競技もぱっとしない順位だったし、上位と全然絡まねぇからテレビに映りやしねぇ」

『あー、なんかごめん』

「まったくだ。わざわざ足を運ぶはめになった。無駄労力だぞ、わかってんのか」

『次からは対一だからたぶん映ると思うし許してよ』

他の生徒はクラス査定やヒーロースカウトのためにとにかく目立とうとしている反面、その意志がない上に望んで隅にいた俺がテレビカメラに捉えられることはなかっただろう。

三回戦は専用ステージで行われる対一の模擬戦らしいし、ここまで映っていなかったけれど流石に注目されるはずだ。

『てか、全国放送で本名と顔出るのって結構嫌だよね』

「録画してあるから後で見にこい」

『そんなガチ勢だったの?』

「んな訳ねぇだろ」

深く息を吐いたと思えばポケットから携帯を取り出してじっと見つめる。帰還の指示でもうけたのか、舌打ちを溢したと思えば不服そうに俺を見据えた。

「活躍しろよ」

『それどういう目線??』

応援されているのか微妙な言い方に首を傾げれば腰を上げてひらひらと手を振る。現れた黒い靄に吸い込まれるように弔は消えて、謎だけが残った。

「さぁ!オリエンテーションもすべて終了!十分後から三回戦第一試合を開始するわよ!」

担任の声に仕方なく俺も腰を上げて、オリエンテーションに参加していたらしい生徒たちが応援のために観覧席に来たのと入れ替わるように通路に降りる。

喧しさすら覚える観覧席から離れていき、控室の方まで歩けば静かになった。

足音を響かせながら歩いて、控室から出てきた人使が俺を見て足を止める。

「行ってくる」

『応援してる』

手を振れば頷かれてそのまま横を抜けていく。

人使が出てきた控室に入って、近くのベンチに腰を下ろす。見上げた先にはテレビがあって会場を映しているから試合を見ることは可能だろう。

第一試合は出久と人使なんていう応援しづらいカードだ。

クラスアップを狙ってる人使には是非とも上位に食い込んでほしいけど、出久が悲しむところは見たくない。

人使の個性は初見殺しに近い。けれど逆に言えば知ってさえいれば回避は可能で、きっと出久は尾白くんから個性の概要は聞いているから早々引っかかることもない。

そうすると純粋な力の勝負になるけど、鍛え始めたばかりの人使とパワー系個性を潜在させてる出久とじゃ勝負の結果は見えてる。

始まった第一試合。耳を貸さず返事をしないように努める出久に、笑みを浮かべた表情で人使が何か言う。その瞬間に出久が応えて動きが止まった。

「そのまま振り返って、場外に向かって歩いていけ」

個性がかかったらしく言うことを聞いて歩く出久に、このまま場外になってしまうのかと目を細めたところで、骨が砕ける音がした。

個性の暴発とも取れるような小爆発を自身で起こした出久の指は痛そうに腫れ上がってる。

痛みで洗脳を解いた出久に、最終的に二人は取っ組み合いとなり、人使が場外へと投げ出された。

第一試合は出久の勝ちながらも、普通科として三回戦まで登りつめて強い個性を見せつけた人使を観客やクラスメイトが暖かく迎え入れる。声援や素晴らしい個性だと褒める内容に、人使は一瞬俯いてから笑って退場した。

試合は次々と進み、控室から出てステージに向かう。

「騎馬戦でも活躍!何でも溶かす酸性ガール!一年A組芦戸未奈vsどっから出てきた!?実力未知数!二人目の普通科ファイナル進出者一年C組緑谷出留!!」

実況らしく他の生徒と同様に肩書きがつけられて紹介された。

観客の喧しすぎる歓声を右から左へ流しながらステージに上がる。

「緑谷にお兄さんいたなんて初めて知ったよ!よろしくね!」

『こちらこそ』

対戦相手の芦戸さんはにっこりと笑っていて、少し距離を取って間に立つ審判の担任が俺達を交互に一度ずつ見たあとに息を吸う。

「熱い戦いを心から楽しみにしているわ!レディー……ファイト!」

掛け声と同時に右手を大振りして酸を放った芦戸さんに後方へ飛ぶことで回避する。じゅわりと煙を出しながら床を溶かす酸は、肌に触れたらとんでもないことになりそうだ。

「先制攻撃は芦戸!緑谷ギリギリ回避するが芦戸の攻撃が止まらない!!逃げてるだけじゃ勝てないぞ!緑谷!!」

左、右と手を振り酸を巻いていく。後ろ、左、右と避けていく俺に実況の声が騒がしい。

目をそらさないよう足元を確認しつつ逃げ回り、酸の出すスピードと出てくる量をはかる。

「さぁ!解説のイレイザー!お前はこの勝負どう見てる!?」

「芦戸の個性による強気な攻めの姿勢は敵牽制にもなる定石の使い方だ。強力な酸は触れる可能性をできるだけ低くするのが正しい」

明るすぎる声と眠たいのかと疑いそうなほどぼそぼそ落ち着いた声が交互に聞こえる。

周りの観客たちも同じ意見なのか声援は相手側に集まり、芦戸さんがにっと笑った。

「おぉう!芦戸の猛攻になすすべ無く緑谷が負けちまうのか!?」

「………それはどうだろうな」

酸は出せる量もスピードも一定の法則があるのだろう。タンクのような物に溜めた状態から圧を使って押し出す、ポンプの原理かなと当たりをつけていたのはハズレではなかったらしい。

出し続けた酸に、ストックが追いつかなくなったのか飛距離も発射量も目に見えて減っており、勝利を確信したことで気の緩みが発生してる。

『痛かったらごめんね』

「へ、」

即座に前に踏み込み腕を突き出せば慌てたように後ろに引いて、歪んだ地面に足を取られて大きく体制をくずした。

「おおおっと!!緑谷急に攻撃に転じた!!芦戸、体制を崩す!って、今変な転び方しなかったか?」

「足元をよく見ろ。床が溶けてるだろ」

「こいつはもしかして芦戸の個性か!」

後ろに仰け反るように転ぼうとしている芦戸さんの右手首を掴み、右足を彼女の足にかけて思いっきり蹴り飛ばす。反転するように動いた身体が床に落ちたところで持っていた右手首を引き、うつ伏せにして関節を決めた。

「〜っ、…参った…っ!」

「芦戸さん降伏!緑谷くん二回戦進出!」

宣言にすぐに手を離して離れる。

「華麗な攻守反転に制圧され芦戸が降伏!緑谷がトーナメント突破だ!!」

「関節が決められた上に、右手のひらは芦戸自身の背中、左手のひらは芦戸の腹の下に敷かれていて個性での反撃も不可。狙っていたとしてもあれ程の精度で制圧するなんて生徒の域を超えてるな」

「ミッドナイト!今年の普通科優秀すぎるぜ!!」

普通科の勝ち抜けがそんなに珍しいのかざわめく会場を無視して手を伸ばす。床に転がしてしまった芦戸さんは意図を正しく把握して手を取ると起き上がった。

『手荒な真似してごめんね』

「いいよいいよ!アタシこそ勝った!って油断しちゃったし!ていうか足場がぐちゃぐちゃで驚いたよ!もしかして最初私に個性使わせてたのこのため?!」

『まぁそんなところ』

「く〜!自分で自分の首絞めたとか悔し〜!!」

「ほらほら!反省は後よ!次が詰まっちゃうから二人とも退場してね!」

根から明るい性格なのか素直に悔しがる姿に思わず笑みを零して、担任の指示に従いステージを降りてさっさと廊下を歩く。

次の対戦相手は次の試合で決まる。相手を知るためにも見ておくべきか観覧席に向かう道に足を進めようと方向転換した。

「兄ちゃん!」

聞こえた声に即顔を上げる。向かいから走ってくるのは笑顔の出久で、かなりの勢いだったのにぴたっと目の前で止まった。

「おめでとう!!いよいよ二回戦だね!!」

『出久こそおめでとう。いいこいいこ。頑張ってるなぁ〜』

頭を撫でてから手を繋いで歩き始める。出久のことだから他の子の試合を観戦したいだろうと思って生徒用の観覧席に向かうことにした。

「兄ちゃんすっごくかっこよかったよ!芦戸さんって身体の体幹はもちろんバネが強いし、体術も成績良いのに兄ちゃん勝っちゃうんだもん!しかも芦戸さんの個性を逆手にとって足場を崩すなんて兄ちゃん視野が広いよね!」

『想像以上に酸が強かったから利用させてもらったんだ』

観覧席にたどり着いたものの、手を離す様子のない出久にあまり他の生徒の近くに行くと会話が切れてしまうかと少し離れた位置に腰掛ける。

「上から見てて思ったんだけど、急に動きを変えたでしょ?もしかして最初から芦戸さんの個性切れを待ってたの?」

『流石にそこまでは最初っからは考えてないよ。足場を崩すことを優先してたら個性の勢いが衰えたからもしかしてと思って途中で作戦は変えたけどね』

「もし個性切れを起こさなかったらどうする気だったの?」

『腕一本差し出して怯んだ瞬間に場外か制圧かな』

「怪我する気だったの!?」

『いやいや、このグローブのことだからね?怪我はするつもりないよ??』

「あ、なるほど。でも確かに、僕たちは身を切るような行動に出られたら怯んじゃうもんね。ヒーローは大抵すぐに止めに入るけど、こういう対人戦の場合はどうするのが正解なんだろう」

真剣に悩み始めた出久をおいて、次の試合が始まる。開始の合図から一分もせずに終了した試合に感嘆の声をこぼす。

俺の次の対戦となった彼が退場するのを目で追う。

実況の通りならば、創造という個性を持つ女子に手も足も出させないうちに場外にして進出した常闇くんとやらが次の俺の相手だ。

芦戸さんのような個性にわかりやすい弱点がなさそうな相手に息を吐く。名前はなんといったか忘れたけど、黒い分身のようなものを自在に操り攻守ともに優れた彼に俺が勝つ道筋はそんなに浮かばない。

そもそも勝己との約束である十位以内というのはすでに達成しているし、次は即降伏宣言をしてもいいかもしれない。

「出留」

上から聞こえた声に顔を上げて、更に上を見る。どこからでも観戦しやすいように階段のようになっている観覧席で、数段上から声をかけてきたのは勝己らしく、とてつもなく眉根が寄ってた。

「妥協の十位以内は許さねぇからな!」

『わかったよ』

一体どこで察したのか、不機嫌な勝己に笑顔を返せばため息をつかれる。

ポケットに手を突っ込んだ状態で歩き始めた勝己にそういえばと思いだして、騒がしい周りにかき消されないよう声を張った。

『勝己、いってらっしゃーい』

「あ!次の次はかっちゃんと麗日さんの試合か!!」

思考の海から帰ってきたのか目を瞬く出久はきょろきょろと周りを見て、お目当ての人間はいなかったのか、諦めて勝己にだけ俺と同じくいってらっしゃいと声をかける。即座に不機嫌そうな顔で振り向いたものの、手を振ればまた前を向いて廊下へと消えていった。

麗日さんと言えば出久と騎馬を組んでいたあの女の子のことだろう。出久の話では触れたものを無重力にするといっていたし、中近距離に強い勝己との相性は中々悪い。

「かっちゃん手加減なんて一切しないだろうし、麗日さんも諦めないだろうからすごく心配だよ…」

青ざめながら息を吐く。

ステージでは切島くんと鉄哲くんの硬化同士の戦いが繰り広げられていて、地面がだいぶ荒れてる。

『一位目指してる勝己が手を抜くなんてありえないからね』

「二人とも大怪我だけはしないでほしいな…」

優しい出久らしい言葉に手を伸ばして頭を撫でる。

心配している出久を眺めているうちに切島くんと鉄哲くんの戦いは引き分けで終わり、補修されたステージに麗日さんと勝己が上がった。

「心臓が止まりそう…」

『どっちが勝っても出久には複雑かもね』

担任の合図にすぐさま動いたのは麗日さんで、手を伸ばして勝己に触れようとしたところで爆破される。すぐさま退いて更に近寄り、爆破されを繰り返す二人の戦闘に目を瞬いた。

『えらく気合のある子だね』

「麗日さん、体育祭に懸けてるのか、最近麗らかじゃないことが多いから…」

退く際に勝己が爆破したことで破壊され欠けたステージの一部に触れていく。勝己が迎撃するたびにどんどんと増えていく宙の欠片。妙に低い位置から接近を繰り返すのも上に視線が行かないようにするためだろう。

ぼろぼろになっていく麗日さんに、迎撃を繰り返す勝己。

対象的な二人の姿に力量差があると感じたのか、妙な正義を振りかざすような声がちらほらと聞こえ始めた。

「さっさととどめさせよ!」

「女の子いたぶって遊んでんじゃねぇぞ!」

響くブーイングに思わず立ち上がろうとして、出久と繋いでいた手がひっかかる。心配そうに歪む出久の表情にはっとして笑顔を浮かべてから座り直せばがちゃんとマイクに衝撃が走る音がした。

「今、遊んでるっつったのプロか?シラフで言ってんならもう見る意味ねぇから帰れ。帰って転職サイトでも見てろ」

『おお?』

激情を隠すように、整然と言葉を紡ぎブーイングを止めたのは実況の片割れだった。相澤先生と名前を溢した出久に、A組の担任かと目を瞬く。

「相澤先生、とっても怖いんだけど生徒をしっかり見てて、かっちゃんのことを窘められる凄い人なんだよ」

相澤先生の言葉に黙らされた観客。

そして弾はそろったのか、最終兵器として一気に浮かしていた瓦礫を麗日さんは落とす。

勝己は大きめの爆破ですべて迎撃した。一切の傷も息の乱れもない勝己に限界を迎えたのかふらついてその場に麗日さんが倒れる。

「麗日さん行動不能!二回戦進出爆豪くん!」

担任が宣誓するとすぐさま担架が運ばれてくる。用意された担架に乗せられ麗日さんは退場し、勝己が悠々とステージを降りた。

これで一回戦すべての試合が終わり、ちょうど目が覚めたらしい切島くんと鉄哲くんは厳正なタイマン、腕相撲により勝敗を決め、切島くんが二回戦進出を決めた。


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