暗殺教室



『オリジナル 五英傑との時間』




※ネタバレがあります。
他のお話を読んだあとに読むの推奨




五英傑と呼ばれる彼ら五人と僕は、休日や平日の放課後互いのに家に集まり勉強会を催したり晩御飯を食べにいくくらいには交流しておりそれなりに仲が良い部類に入る。

「清水、ここなにかわかったか」

『そこは…、埋めたには埋めたけど確証がないところだね。僕に聞かずに浅野学秀に聞いた方が確実じゃないのかな』

「浅野じゃなくて、清水に聞いてるんだよ」

「へぇ?それはあれかな、僕より昴のほうが上だっていいたいのかな?どうなの?ねぇ榊原?」

「あ、まーた榊原やらかしたな」

「うわぁ…浅野こぇー」

「いい加減あれやめるべきだろ…」

そんな勉強会で恒例であるのがこの会話だ。

榊原蓮が僕に勉強で質問をしてくる、僕自身はそんなに勉強において自信があるわけではない。そのため浅野学秀へと矛先を向けようとするのだが否定されてしまう。それを聞いた浅野学秀は微笑み問い詰めてくる。

そして、荒木鉄平、瀬尾智也、小山夏彦は巻き込まれぬように一線を置きため息をついた。

「どっちが上とかそんなの関係なしに僕は清水に聞いてるだけだよ」

ここでどちらかが引けば話は早いのだが、残念なことに曲がりなりにも五英傑と呼ばれる彼らはやはり我が強く引くどころか自ら噛みつく。

「勉強のことなら昴に限定しなくとも僕や瀬尾、小山、荒木に聞いてもいいじゃないか」

仲が良いのか良くないのかはわからないけれど、彼らはよく衝突する。

すっかり視線が僕から逸れた。書き込んでいた15枚の紙をホチキスで止められた課題とペンケースを持ち上げ荒木鉄平の横へと移動する。

これもいつものことであるため荒木鉄平は自前の鞄を退かしてあった。

「清水、ここ埋められたか?」

「あ、あと問28も」

「つか、ここの並び替えどうなった?」

その避難した先で質問を受けるのも恒例であるため気には止めない。






『まだ言い争っているのかい?』

「「争っていない!」」

いつも通り始まったあの口論を止めるのはやっぱりいつもと同じく清水だ。

毎度、毎度、ご苦労なこった

教えてもらった並び替えを済ませてからもう一度浅野と榊原を見れば、清水を間に挟んで課題を再開させていた。

毎回毎回いつもやるだなんてどっちも学習能力がない。

無くなった麦茶をグラスにつぐ。

「清水も麦茶飲むか?」

ついでにコーヒー牛乳を飲み干してグラスに麦茶も入ってない清水に声をかければ色々と長く喋られたが要約すんと欲しいらしい

グラスを受け取り麦茶をついで渡せば礼を言われる。

麦茶を置いてシャーペンを持とうとした。

「あ、瀬尾僕にも麦茶ちょうだい」

「は?てめーでやれ」

麦茶をまだ持ったままならまだしも、置いてから言ってくんな

「清水には入れてあげんのに贔屓とかー」

「贔屓じゃねーよ。いーから黙って頭に詰め込んだやつ使って解答埋めてろ」

小山は何かしらと卑屈で、面倒臭いから嫌いだ。

榊原と浅野がよく喧嘩するみたいに俺と小山はなにかと衝突する。

「瀬尾こそLAに住んでたとかいうくらいならその課題とっとと終わらせれば?」

「あ?」






全くもって、この五人が揃って穏便にすんだことは一度もない。

浅野と榊原が喧嘩していたと思えば次は小山と瀬尾が言い争いを始めた。

「騒がしい奴らだね」

息を吐いた浅野既に課題は終わったようで隣に座る清水に体を預けていた。

『それを君が言ってしまうんだ』

微笑んだ清水も課題は終わっていて、今は反対隣に座る榊原の課題をみていた。

俺も榊原の隣に移動しついでに教えてもらう。

これで漢文は終わった

『ほら、小山夏彦、瀬尾智也、君達も課題を早く済ませないと夕食に間に合わないよ?』

「僕は置いていくからね」

あと一ページ切ったところで見兼ねたのか清水が未だ言い争う二人に声をかけ眠そうな浅野が追い討ちをかける。

「清水、現国の問35教えて」

「俺は古文のとこ」

どうしてか、全員清水に質問をする。

まぁ、眠そうな浅野に聞いたら文句が長そうだし声をかけられるのは清水くらいだろう。

課題を終わらせた榊原も清水に寄りかかり麦茶を飲んでいた。

『荒木鉄平も質問はあるかい?』

瀬尾と小山に聞かれた場所を教え終わった清水は笑いかけてきて、多分俺達は清水がいなかったらこんなに頻繁に集まったり小さな言い争いをするだけじゃ済まなかっただろうな

「今日の夕ご飯はどこか」

終わってる課題を閉じて聞けば清水は楽しそうに笑いどこがいいかなと逆に皆へ問いかけてきた。





「清水くんおはよー」

「清水課題どうだった?」

『おはよう。課題ならば昨日ぎりぎりで合っている合っていないはともかく全ての解答欄は埋めたよ』

いつもながら清水は朝結構遅くくる。たまに遅刻することもあるけどそれは大抵コーヒー牛乳探しの旅に出てるからだ。
そのうえ寝起きも悪いと前に浅野が言ってた。

「答え合わせしよ」

『合っているかわからないのに答え合わせとは面白いね』

四人固まる浅野を抜いた五英傑はA組男女問わずに囲まれてる清水を眺める。

清水は取っ付きにくいところもあるけど慣れてしまえば口調だって気にならないしなんといっても一緒にい楽だし安らぐ。

「清水ここ√ついた?」

『そうだね、うん、そこはつけたよ』

「うわっ、間違えたー!」

「ここ解の公式を使うところまではわかったんだけどそこからどうしたらいいの?」

『式の当てはめかたは合っているね…ああ、判別式の中の計算が間違っているよ。中は25にはならないから5と片付けられないんだ。』

「清水くんありがとう!」

普段から清水の周りには人が集まっていて、それこそ外部の奴が付け入る隙なんてない。

「皆質問中にごめんね。昴、ちょっと借りてもいいかな?」

そんな中でも浅野は別格だ。

質問済みの生徒は笑顔で感謝を述べ、まだだった生徒は少し残念そうながらも浅野相手だもんなと手を振る。

生徒から解放された清水を連れ浅野は教室を出ていった。

浅野と清水はこの学校稀にみる天才というやつで、五英傑だなんて呼ばれているが二人に僕達四人は到底足元にも及ばず手も届かない。

なら何故清水が五英傑の中に入っていないのかと聞かれればただ単に清水は愉快犯でことなかれ主義で上を目指すこと、一番に興味がないからだ。

なんでも面白がっているだけ。

それで浅野に引けをとらないのは実力だが。

浅野と清水は小学校の頃からの知り合いってやつらしくいつでも隣にいるイメージがある。

それは浅野に付き添う清水というよりも同等で良きライバルのほうが当たっている。

去年までは清水も生徒会役員で本当常に浅野と一緒だった。今年は清水が役員から降りてしまったけど今もやっぱり一緒だ。

戻ってきた二人は仲が良く笑っており浅野も繕った笑顔じゃない。

二人は僕達の方へ近付き清水は隣の席の机へ、浅野は椅子に座った。

「今日はどこいこうか」

浅野が笑んでいて隣の清水も笑っている。

「あー、瀬尾の家?」

「昨日も俺ん家だったじゃねーか」

「じゃ、浅野の家」

「僕の家となるとどうなるかわかってるよね」

「僕の家…はやめよ、榊原の家」

「今日兄さんいるから面倒だよ」

「やっぱり荒木ん家」

「残念だったな、あの母親が今日いる」

「もう全部駄目じゃんか」

「ここは清水に決めてもらおう」

『2日連続で瀬尾智也の家にお邪魔するのは気が引けるね。榊原蓮のお兄さんがいらっしゃって、荒木鉄平の家にお母さんがいるとなれば勉強は出来そうにない。小山夏彦の家に行くとなるとこれは逆に勉強どころではなくなる。妥当なのは浅野学秀の家だが浅野學峯理事長と鉢合わせたとき、僕は構わないけど皆はあの親子のやり取りを見るのは避けたいだろうね』

決めるどころか全部の家のデメリットのみを露呈させた。

「これ以上掻き回してどうするのさ」

僕が言えば楽しそうに笑う浅野と荒木、全くだなと息を吐きながら微笑む小山と瀬尾に清水は僕に聞くからだよと笑む。

清水がいなければこの五英傑と呼ばれる五人が集まることもなかっただろう。

「よし、今日は僕の家で兄さんにワインについて語られようか」

「ってことは今日はもう勉強できないね」

「お前のお兄さん本当ワイン好きだよな」

「ソムリエなんだからワインに煩いのもしょうがないのかな」

「フランスから帰ってきてたんだね」

『僕も構わない。今日は榊原蓮の家にお邪魔しようか。正直言えば君のお兄さんに受ける講習は面白いから好きなんだ』

家族ぐるみとまではいかないけどそこそこ互いに仲が良く、時には合宿と銘打った所謂お泊まり会みたいなものをする。

それもこれも清水がいなければここまで交流しなかったんだから清水のお陰以外の何ものでもない。

「兄さんに連絡しておくね」

二年間なにかと清水を抜いたときに五英傑は集まることはあったけど一触即発雰囲気が凄くて、ここまで仲良くなるだなんて思ってもいなかった。

これから一年、僕達は清水を中心に皆で放課後集まったり食事したりするんだろうな

「ああ、そういや、来週中間試験だな」

「清水と浅野どっちが一位取るんだ?」

「勿論五教科総合全て僕だよ」

「二年の最後は国語と理科、総合は清水だったよね」

「数学も満点で同位だったよ」

『英語は苦手なんだよね。今一暗記だけではどうにもならないし言い回しがわからなくなるから』

「とか言いつつ英語は浅野100点、清水97点、俺が95点だったよな」

「社会も4点差で浅野が一位なだけだったし」

「今回は、僕が、一位だから」

『うん、たしかにそうだったけれどそれは過去の話でそこから学んでいるだろう?だから頑張ってね、皆。応援しているよ』

「嫌みか」

「計算した天然だろうね」

「つまり不純な声援と」

「そうさらっと言って一位を取っていくんだよな清水」

「だから、今回も、次も、僕が、一位だから。」

「じゃあ僕は三位目指そう」

「四位もーらった」

「それじゃ俺五位じゃねーかよ」

談笑の内容は決して穏やかなものではないのは知ってるけど僕達からしてみれば唯一の共通の話題であり競える話だ。

『そうだね。是非とも上位目指して頑張ってくれよ。でも、今はE組であるけど“赤羽業”もたしか上位成績者だったよね。僕は面識が一度もないから人間性までわからないが聞けば彼は本気を出したら一位だって取れるだろうって教えてもらったことがけど大丈夫なのかい?』

突然振られたあまり聞かない名前に僕達は顔を合わせてからないないと笑った。

「あのE組に落ちたやつだぜ?」

「いくら元が良くても無理だろ」

「そんな奴に足元掬われるなんてないって」

「いつも通り、俺たちで上位独占だ」

「昴、気になるの?」

『気になるか気にならないかと言われれば気になるの方にはいるかな。全て彼のことを風評でしか聞いたことがないから直接あってみたいとは思うよ?』

「馬鹿、気を逸らしてると僕が足元掬ってあげるからね」

こういった二人のやり取りに僕も五英傑もA組も見て微笑ましく、そして少々羨ましく感じていた。

「僕も足元掬ってあげるよ」

「俺も目にもの見せてやる」

「ま、余裕こいてるのも今のうちっつーな」

ほぼ同時に僕らが布告すれば二人は瞬きを忘れ僕達を見つめたあとに浅野が挑発的に、清水は愉快そうに笑って見せた。






「昴、テストどうだった?」

『2日前に範囲を変えるだなんて面白いことを浅野理事長もなさったよね』

「なにを考えてるんだか」





テスト終了翌日一日は学校が休みであるのはこの学校の特色でもあって、その一日でテストは全て採点され返却される。

「あれ?清水は?」

「コーヒー牛乳探しの旅?」

「寝坊とか?」

「連絡きてない。なにやってるんだか」

「珍しいな、大事な日に」

「今回はどっちが一位だろうな」

「だから僕だよ」




結果から言って、一位は浅野だった。

二位は荒木、三位は僕、四位を赤羽、五位を小山、六位を瀬尾がとった。

清水は―…その日学校に来なくて、次の日から、A組に清水の席がなくなった。


その時の浅野は、ただ、許さない。と今にも泣きそうな顔をして口にだしていた。




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