あんスタ
「ちっ」
今日も、ない。
舌打ちをかませばたまたま近くにいたナルくんが不思議そうに首を傾げた。
「イライラはお肌に悪いわよぉ?」
「別にイライラとかしてないし」
「あら、そうは見えないけど…」
「強いて言うならアンタとの絡みが果てしなくストレス」
だからかかわらないでよね、忙しいからと話を切って部屋を出る。
「あ!もう、泉ちゃんたらっ!」
なんでか物言いだけなナルくんが食い下がってこようとしてたけど思いっきり扉をしめればそれ以上追ってこなかった。
廊下を歩いて階段の下、影になっているところに腰を下ろして携帯を眺める。
直接会うこともなければ着信もないし、メールもない。最終履歴はもう二週間も前の日付で、気づけば親指の爪をかんでしまってたから舌打ちをもう一回零す。
「アイツ…―」
彼奴がそれだけ忙しいのか。それなら何か手伝ってやるべきかもしれない
それとも追い込まれてるのか。もしそうなら俺から連絡取るべきだろう。
でも、もし彼奴が俺を―…
最後の可能性だけは思い浮かべただけで気分が悪くなったから頭を左右に振って、冷たくなり始めてる手を一人で握る。
「そんな、のありえないし」
思ったよりも震えてしまってる声も、連絡が来ないのも、全部が気のせいのはずだって目を強く瞑った。
今日も、連絡は来ない。
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