暗殺教室



開け放ってる窓から吹き込む風に揺れる、癖のある藍色の髪を頬杖ついて眺めるはもはや俺がこのクラスに来てから定着してしまった癖みたいなものだ。

気づいてるの気づいてないのかは知らないけど、向こうと目があったことはない

授業中だからなんだろうけども、代わりに赤羽とよく目が合うのは何故か理解できそうにない。




俺と清水の共通点はあまり多くない。

性別は同じものの、千差万別とも言える性格は俺と清水じゃ似つかわないし、 髪型も色も、身長も家族構成も境遇も似てない。

だからこそ、シロから様々な情報を頭の中に叩きこまれたときに野望はあるが力のない俺…というより触手は、野望がないのに力だけある清水に一番の興味を示した。

過去の経歴、立ち位置、交友関係。

政府の力があればプライバシーの保護なんていうものはあまり意味を持たないらしくて結構な情報を叩きこまれたはずだが、大して覚えてないのは一重に触手でまともな思考回路が残ってなかったからだろう

俺がE組に来て初めて見たのは赤羽で、こいつはたしかに一番この教室の中で強かった。

それは闘争心と力を備えている生徒だったからに他ならない。

次に見た潮田は秘めた才能を持っていたが、本人が自覚していないから論外。茅野という生徒は今は隠れているらしく黙ったままでこれも論外だ。

最後に見た清水が、この教室の中で誰よりも一番歪な存在に見えた。

今でも覚えてる飲み物片手に遅刻してきた清水の飄々とした態度。

コーヒー牛乳と後から教えてもらったそれは今じゃ俺も愛飲者で清水には手放しで喜ばれ、赤羽には睨まれた。




さて、ここで俺だけが知っている清水の情報を整理しようと思う。

それもこれも、触手を外した影響か触手があった頃に覚えた事が抜けていく感覚がしているからだ。


清水昴 男
182cmの60kg(多少前後あり)
雄弁多弁(感情が高ぶっていたり動揺してるときは特に長く話す傾向あり)
偏食家(食べることはできるが好まないもの多数)
一人暮らし、実家は隣町で家族は自身を含めて四人(構成は忘れた)
父親は教師。
(なにかは忘れたが)段位持ち
入試は浅野学秀と共にほぼ満点
二年前期までの成績はどれもオール5。
交友関係は出身校の同じ浅野学秀、小林兼治が主だが、残りの五英傑やA組生徒とも仲が良い
経歴は一年、生徒会補佐、二年、生徒会会計、また生徒会長支援者で立会人。
部活は入ってないが様々な部活の助っ人を特に一年の時は多くしてた。
E組に来たのは5月で理事長が手配した(表向きは成績不振らしい)


書き連ねていく中でも徐々に失われていく記憶に恐怖を覚える。

俺は何を覚えてて、何を忘れてしまったのか。

自分の脳で自分の体のはずなのにおかしい。触手に操られてる時とあまり変わらないような気がして怖い。

清水のことはもっと多く教えこまれたはずなのに、これ以上書けそうにない。

E組生徒と表紙に書き込んだ大学ノートを閉じて棚にしまう。

明日、寺坂たちにでも相談してみようか。

きっと真剣な顔して馬鹿げたこと言ってんじゃないと笑い飛ばされてこんな不安なくなるだろうから。




(あとがき)
イトナくんの席が菅原くんの後ろなのか狭間さんの後ろなのかわかりません。



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