いざ、初任務へ!
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第三部 どんぐりの背比べ
息を切らした清治 は、竹藪の中で大の字になって寝転んで夜空を見上げていた。今夜の月は大きな満月である。そよ風に揺らぐ笹の葉を照らすその月の前を、奇妙な黒い影がびゅんと横切った。
「そこかっ!」
清治は飛び起き、竹から竹へと跳び移って逃げる影を追う。
任務要請があったわけではないが、清治は夕方の飯炊きの匂いがする蝶屋敷を飛び出して、鬼を探して見つけては手あたり次第雁首を取り続けている。
それがたまたますばしっこい鬼に当たってしまったようで、見通しの悪い竹藪へと逃げ込まれてしまった。
曲芸師かと思うほど、いや、追っていたのは確か尻の赤い猿だったか。清治は地面を走って追いかけるしか能がない。
「ヒィ~ッヒヒヒヒヒ……!」
気味の悪い笑い声が闇夜に響く。その声を頼りに清治は竹藪の中を移動する。
夜は鬼の食事の時間。徘徊するのは気まぐれではなく、きっと腹が減っての事だろう。食わねば強くなれない鬼、そして食っても鍛錬なしでは強くなれない鬼殺隊士。不公平にもほどがある。
「あーっ、この竹邪魔やな!」
清治は苛ついて、傍に生える竹を力一杯蹴る。そんな事をしても反った竹はビヨンと戻るだけ。鬼はずっと上の笹に掴まり、移動を繰り返して一向に下りて来ようとしない。よほど地上では自信がないのかもしれないが、下りて来なければ目的である人間狩りは達成できないだろう。
(いっそ全部切ったるか? 竹を短くすればさすがに下りてきて俺でも手ェ届くやろうし)
そんな事を思ってみたが、この広い竹藪の竹を切りまくるなんて事は現実的ではない。ひょっとすると、どこかの竹の中にいるかぐや姫の安眠を邪魔するかもしれないとバカな事を空想し、清治の口元は思わず緩む。
(ま、そのうち下りて来るやろ。確か樹懶 でも週に一度は糞しに下りて来るっちゅうからな)
時間はまだたっぷりある。明け方までに仕留められれば良いのだ。無駄に追いかけるのは体力がもったいない。そう言えば朝から何も口にしていなかった。昨夜食べた牛鍋の味が恋しくなる。
(これがホンマの鬼ごっこや。いや、そうなると追う俺の方が鬼か? ま、ええわ。鬼さんと、とことん遊んだる)
よっこらせと腰を下ろした途端、遠くで人の声がした。
────雷の呼吸 参ノ型聚蚊成雷
バリバリと雷鳴のような音を立てながら、辺り一面の竹が雪崩のように次々と倒れていく。
「なっ、何や⁉」
────シィィィィィィ……
聞き覚えのある呼吸音。よく目を凝らすと、腰の高さほどに短く切られた竹の間から、隊服を着た男が刀を構えているのが見えた。
(雷の呼吸……。同じ呼吸やな)
これは珍しいと思った清治は、かぐや姫への配慮などもう頭から消え去ったかのように同じ技を繰り出した。
────雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷
負けじと広範囲の竹を切り倒す。見事な剣技を褒めるかのように、斜めに切られた竹が一斉に笑い口を見せた。
────シィィィィィィ……
スッキリと視界が開けた竹藪の中で、二人の男たちの目と目が合う。
「どうも。同じ鬼を追っていたようですね!」
「フンッ、消えろ」
「キィエェェェェェェ!」
青竹の爽やかな香りが漂う中、奇妙な声が月夜に響く。
「落ちてきたぞ! そっちだ!」
「うっせーな、分かってんだよ!」
ずいぶん口の悪いお仲間である。清治は我先にと鬼を追う。
────雷の呼吸 肆ノ型 遠雷
清治は土に足がめり込むほど強く踏み込み、黒い影を斬りつけた。
────雷の呼吸 陸ノ型電轟雷轟
仲間の男は、清治に斬られて体が浮いた鬼に追い打ちをかけるよう幾多の斬撃を加え、その全身を細かく切り刻んでしまった。
息を切らした
「そこかっ!」
清治は飛び起き、竹から竹へと跳び移って逃げる影を追う。
任務要請があったわけではないが、清治は夕方の飯炊きの匂いがする蝶屋敷を飛び出して、鬼を探して見つけては手あたり次第雁首を取り続けている。
それがたまたますばしっこい鬼に当たってしまったようで、見通しの悪い竹藪へと逃げ込まれてしまった。
曲芸師かと思うほど、いや、追っていたのは確か尻の赤い猿だったか。清治は地面を走って追いかけるしか能がない。
「ヒィ~ッヒヒヒヒヒ……!」
気味の悪い笑い声が闇夜に響く。その声を頼りに清治は竹藪の中を移動する。
夜は鬼の食事の時間。徘徊するのは気まぐれではなく、きっと腹が減っての事だろう。食わねば強くなれない鬼、そして食っても鍛錬なしでは強くなれない鬼殺隊士。不公平にもほどがある。
「あーっ、この竹邪魔やな!」
清治は苛ついて、傍に生える竹を力一杯蹴る。そんな事をしても反った竹はビヨンと戻るだけ。鬼はずっと上の笹に掴まり、移動を繰り返して一向に下りて来ようとしない。よほど地上では自信がないのかもしれないが、下りて来なければ目的である人間狩りは達成できないだろう。
(いっそ全部切ったるか? 竹を短くすればさすがに下りてきて俺でも手ェ届くやろうし)
そんな事を思ってみたが、この広い竹藪の竹を切りまくるなんて事は現実的ではない。ひょっとすると、どこかの竹の中にいるかぐや姫の安眠を邪魔するかもしれないとバカな事を空想し、清治の口元は思わず緩む。
(ま、そのうち下りて来るやろ。確か
時間はまだたっぷりある。明け方までに仕留められれば良いのだ。無駄に追いかけるのは体力がもったいない。そう言えば朝から何も口にしていなかった。昨夜食べた牛鍋の味が恋しくなる。
(これがホンマの鬼ごっこや。いや、そうなると追う俺の方が鬼か? ま、ええわ。鬼さんと、とことん遊んだる)
よっこらせと腰を下ろした途端、遠くで人の声がした。
────雷の呼吸 参ノ型
バリバリと雷鳴のような音を立てながら、辺り一面の竹が雪崩のように次々と倒れていく。
「なっ、何や⁉」
────シィィィィィィ……
聞き覚えのある呼吸音。よく目を凝らすと、腰の高さほどに短く切られた竹の間から、隊服を着た男が刀を構えているのが見えた。
(雷の呼吸……。同じ呼吸やな)
これは珍しいと思った清治は、かぐや姫への配慮などもう頭から消え去ったかのように同じ技を繰り出した。
────雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷
負けじと広範囲の竹を切り倒す。見事な剣技を褒めるかのように、斜めに切られた竹が一斉に笑い口を見せた。
────シィィィィィィ……
スッキリと視界が開けた竹藪の中で、二人の男たちの目と目が合う。
「どうも。同じ鬼を追っていたようですね!」
「フンッ、消えろ」
「キィエェェェェェェ!」
青竹の爽やかな香りが漂う中、奇妙な声が月夜に響く。
「落ちてきたぞ! そっちだ!」
「うっせーな、分かってんだよ!」
ずいぶん口の悪いお仲間である。清治は我先にと鬼を追う。
────雷の呼吸 肆ノ型 遠雷
清治は土に足がめり込むほど強く踏み込み、黒い影を斬りつけた。
────雷の呼吸 陸ノ型
仲間の男は、清治に斬られて体が浮いた鬼に追い打ちをかけるよう幾多の斬撃を加え、その全身を細かく切り刻んでしまった。
