吉原炎上
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蝶屋敷の玄関戸を開けると、ドタバタと忙しなく歩く人の足音と、大きな声が飛び交っていた。本来なら「ごめんください」と呼びかけるべきなのだろうが、これではおそらく誰も対応できないだろう。
清治は草履を急いで脱ぐと、お邪魔しますと言って勝手に上がり込んだ。
台所にならアオイがいるかもしれないと思い、暖簾を上げて中を覗く。脳裏には白い割烹着姿のアオイの後ろ姿が浮かぶが、そこにアオイはいなかった。
(おらんか。やっぱみんなで治療に当たっとるんか)
「隊士の方ですか? 怪我をなされましたか?」
突然、背後から声をかけられる。見ればおさげ頭のなほが桶を抱えて立っていた。
「すっ、皇さん……⁉」
なほはただでさえ丸い目をまん丸にさせて驚いた。青い羽織を着ていたので、それと分からなかったようである。
「なほちゃん……ですよね? あのっ、吉原からみんなこちらに運ばれたと聞いて来たんですが!」
「はい。みなさん只今治療中です」
なほの抱える桶には、真っ赤な血のべっとり付いた木綿の布がたくさん入っている。それを見て、清治の顔から血の気が引いた。
「あの、師範は……。我妻さんは……」
「善逸さんは頭部裂傷と、両足を骨折されています」
「骨折⁉」
「命には別条ありませんが……一部砕けているようで」
なほはそれ以上言うのを止めた。清治の目には涙が滲んでいたからだ。
「生きてる。生きてるんですね? 師範は本当に生きてるんですね?」
「……えぇ」
清治はなほをギュッと抱きしめ、肩を震わせて嗚咽を漏らす。
「皇……さん?」
なほの真っ赤になった顔は清治からは見えない。
「良かった。生きててくれて本当に良かった……!」
「ええ。本当に……」
「すっ、すみません。俺、つい……」
「いえ。いいんですよ。お気になさらず」
なほは清治の泣き顔を見て静かに微笑む。大人びて見える清治が子供のように泣いている。こんな一面もあるのだと知って、なほは嬉しくなった。
「案内します。善逸さんは今お薬で眠っておられますが、お顔を見られますか?」
「お願いします」
なほは血が付いた洗い物の桶をその辺に置くと、病室まで清治を案内した。
清治は草履を急いで脱ぐと、お邪魔しますと言って勝手に上がり込んだ。
台所にならアオイがいるかもしれないと思い、暖簾を上げて中を覗く。脳裏には白い割烹着姿のアオイの後ろ姿が浮かぶが、そこにアオイはいなかった。
(おらんか。やっぱみんなで治療に当たっとるんか)
「隊士の方ですか? 怪我をなされましたか?」
突然、背後から声をかけられる。見ればおさげ頭のなほが桶を抱えて立っていた。
「すっ、皇さん……⁉」
なほはただでさえ丸い目をまん丸にさせて驚いた。青い羽織を着ていたので、それと分からなかったようである。
「なほちゃん……ですよね? あのっ、吉原からみんなこちらに運ばれたと聞いて来たんですが!」
「はい。みなさん只今治療中です」
なほの抱える桶には、真っ赤な血のべっとり付いた木綿の布がたくさん入っている。それを見て、清治の顔から血の気が引いた。
「あの、師範は……。我妻さんは……」
「善逸さんは頭部裂傷と、両足を骨折されています」
「骨折⁉」
「命には別条ありませんが……一部砕けているようで」
なほはそれ以上言うのを止めた。清治の目には涙が滲んでいたからだ。
「生きてる。生きてるんですね? 師範は本当に生きてるんですね?」
「……えぇ」
清治はなほをギュッと抱きしめ、肩を震わせて嗚咽を漏らす。
「皇……さん?」
なほの真っ赤になった顔は清治からは見えない。
「良かった。生きててくれて本当に良かった……!」
「ええ。本当に……」
「すっ、すみません。俺、つい……」
「いえ。いいんですよ。お気になさらず」
なほは清治の泣き顔を見て静かに微笑む。大人びて見える清治が子供のように泣いている。こんな一面もあるのだと知って、なほは嬉しくなった。
「案内します。善逸さんは今お薬で眠っておられますが、お顔を見られますか?」
「お願いします」
なほは血が付いた洗い物の桶をその辺に置くと、病室まで清治を案内した。
