突然の来訪者
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善逸から順々に湯浴みをする。その後は伊之助、炭治郎の順で入るが、湯浴みをものの数分で終えた伊之助は、夕餉が待ちきれずに台所をうろついてはつまみ食いをし、善逸はそれを注意しながらせっせと食事部屋へと箱膳を運ぶ手伝いをしていた。
「善逸さん、休んでていいんですよ?」
蝶屋敷の手伝いをしている中原すみは、行ったり来たり、やたらと一生懸命運ぶ善逸に声をかける。
「いやっ、いいんだよ! 全然大丈夫」
そう言いながらも、足は疲れでふらついている。
何もせずにはいられなかったのだ。自分に弟子入り志願者がいる。そんな話が急に舞い込んだ。動揺せずにはいられない。あれこれと心配事や不安事が浮かんで来るので、忘れる為に体を動かしていたかった。風呂場でも腕立て伏せをやっていたくらいだ。
「オラオラどけどけ~! ガハハハハ、俺様の飯がお通りだぁ!」
伊之助はどんぶりにうず高く盛られた飯を持って早々に席に着く。
「おい、食っていいか?」
「まだです! 炭治郎さんがまだ湯浴み中ですので」
同じく手伝いの寺内きよが、伊之助専用の御櫃 三つを段にして重ねて運びながら言う。
「何だよ、遅ぇなぁ。そんなに時間かけてどこ洗ってんだよ」
「炭治郎さんは怪我が一番ひどかったんですよ? 任務に出られるほど多少良くなったとは言え、まだまだ一人で体を洗うのも大変なんです。お背中を流しましょうかって言っても恥ずかしがるし、私たちの仕事が増えちゃうからって断るんです」
「ケッ。そんなもん、湯に浸かるだけでいいだろうが」
「伊之助さんのはただのカラスの行水です。ちゃんと汚れを落とすようにしないと、将来お嫁さんができたら嫌がられちゃいますよ」
「ハンッ、そんなもん、そいつも一緒に汚してやればいいだろ。猪は泥ついてる方が具合がいいんだよ。虫除けにもなるし、暑い時はヒヤッとして涼しくなるしな、ヌハハハ!」
そこへアオイが揚げたての天ぷらを持ってやって来た。
「そうですか。猪なのでしたら、お芋は天ぷらにする必要はありませんでしたね!」
「あ゛んっ!?」
ムスっとした顔のアオイは、大量の天ぷらの盛られた皿をひょいっと高く掲げ、伊之助の前から立ち去ろうとした。
「おいっ、それどこ持ってくんだよ!」
「こちらは人間だけでいただきます。はい、人間の善逸さん、食べたい分だけ先に取ってください」
「はぁぁぁっ!? 何言ってんだよ! 俺にもよこせ!」
アオイは無視して善逸の前に天ぷらを持って行く。だが、揚げたてサクサクのおいしそうな天ぷら盛りを見せられても、善逸はうわの空でぼんやりとしていた。
「善逸さん?」
アオイが問いかけるが、やっぱり無反応だ。きよもすみも箱膳を運ぶ足を止め、こちらも手伝いの高田なほは、湯のみにお茶を注ぐ手を止めて心配そうに見つめる。
──!?
善逸は、急に意識を取り戻したかのようにハッとした。
「なっ、何!? 何か言った?」
「ですから、天ぷらを食べたいだけ取ってくださいって言ってるんです」
「あっ、ああ! そっか、アハハハ、ごめんごめん」
「おい、芋残しとけよ!」
「そこの猪はお黙りください」
「ああ゛んっ!?」
何となく元気がない。天ぷらもかき揚げしか取らなかった。そんな善逸を見てアオイは変に思った。
「いやー、遅くなっちゃってすまない。手に力が入らなくて、褌ふんどしが上手く巻けなくてさ~。鍛錬しすぎちゃったかな」
湯上がりでさっぱりした炭治郎がようやくやって来た。
「遅ぇーぞ炭治郎! 飯が冷めんだろうが! そんなもん、スッポンポンで来いよ!」
「そんな事できるわけないだろう? 遅くなって悪いって思うけど、なかなか体が言う事をきかないんだよ。それに伊之助の後に入ったからか、湯が足首までしか残っていなかったから、水を足して沸かしてたんだ」
「えっ⁉ 炭治郎さん、何で言ってくれなかったんですか! そんな事は私たちがするのに!」
きよはあわわと慌てた。どうやら炭治郎は腰に手拭いを巻いて外の井戸まで水を汲みに行き、風呂焚きまでしていたようだ。
「いやいや。夕餉の準備で忙しいだろうからって思ってね。なに、大した事ではないよ」
「そっ、そんなぁ。何でも遠慮なく言ってくださいね!? 私たち、その為にいるんですからぁぁっ」
和やかに笑い合い、楽しい夕餉の時間が始まる。そんな中でも一人暗い顔をして飯を口に運ぶ善逸。頭の中は兄弟子・獪岳の事でいっぱいだった。
(雷の呼吸の隊士か……。どうしよう、弟子にしてくれって言ったって、絶対俺よりすごいんだろうな。壱ノ型しかできないって言ったら、がっかりするんじゃないか? いや、笑い飛ばされちゃうかもな。よくそんなんで鬼殺隊に入れたなとかって言われちゃうだろうな。何で俺なんだよ。俺なんかより、兄貴の方に弟子入りすればいいじゃんか)
鬼殺隊に入ってから、見かける事はほぼない兄弟子・獪岳。文を書いても返事が来たためしはない。
(兄貴に文を書いてみるか。ダメ元だけど。どうにかして兄貴の方へ行ってもらおう。兄貴なら、俺よりもちゃんとしてるし、何だかんだと人の世話もできるだろ。俺は自分の事だけで精一杯。誰かの世話なんてする余裕なんかないよ)
伊之助は無我夢中で食べ、炭治郎もしっかりと飯を腹に入れる。善逸だけが飯椀を片手に箸が止まっている。そんな時、善逸の耳には誰かが「コツコツ」と玄関の戸を叩く音がした。
「あれ、誰か来たみたいだけど」
「えっ? 善逸さん、本当ですか?」
座っていたアオイは立ち上がる。
「どなたでしょうか。こんな日が暮れた後に」
「さぁ。でも、何だかはぁはぁ言ってるって言うか……。もしかして急ぎの用なのかも」
急ぎの用なら、もしかして隊士が怪我をしてやって来たのかもしれない。アオイはなほに目配せをして、一緒に薄暗い廊下を玄関に向かって行った。
「善逸さん、休んでていいんですよ?」
蝶屋敷の手伝いをしている中原すみは、行ったり来たり、やたらと一生懸命運ぶ善逸に声をかける。
「いやっ、いいんだよ! 全然大丈夫」
そう言いながらも、足は疲れでふらついている。
何もせずにはいられなかったのだ。自分に弟子入り志願者がいる。そんな話が急に舞い込んだ。動揺せずにはいられない。あれこれと心配事や不安事が浮かんで来るので、忘れる為に体を動かしていたかった。風呂場でも腕立て伏せをやっていたくらいだ。
「オラオラどけどけ~! ガハハハハ、俺様の飯がお通りだぁ!」
伊之助はどんぶりにうず高く盛られた飯を持って早々に席に着く。
「おい、食っていいか?」
「まだです! 炭治郎さんがまだ湯浴み中ですので」
同じく手伝いの寺内きよが、伊之助専用の
「何だよ、遅ぇなぁ。そんなに時間かけてどこ洗ってんだよ」
「炭治郎さんは怪我が一番ひどかったんですよ? 任務に出られるほど多少良くなったとは言え、まだまだ一人で体を洗うのも大変なんです。お背中を流しましょうかって言っても恥ずかしがるし、私たちの仕事が増えちゃうからって断るんです」
「ケッ。そんなもん、湯に浸かるだけでいいだろうが」
「伊之助さんのはただのカラスの行水です。ちゃんと汚れを落とすようにしないと、将来お嫁さんができたら嫌がられちゃいますよ」
「ハンッ、そんなもん、そいつも一緒に汚してやればいいだろ。猪は泥ついてる方が具合がいいんだよ。虫除けにもなるし、暑い時はヒヤッとして涼しくなるしな、ヌハハハ!」
そこへアオイが揚げたての天ぷらを持ってやって来た。
「そうですか。猪なのでしたら、お芋は天ぷらにする必要はありませんでしたね!」
「あ゛んっ!?」
ムスっとした顔のアオイは、大量の天ぷらの盛られた皿をひょいっと高く掲げ、伊之助の前から立ち去ろうとした。
「おいっ、それどこ持ってくんだよ!」
「こちらは人間だけでいただきます。はい、人間の善逸さん、食べたい分だけ先に取ってください」
「はぁぁぁっ!? 何言ってんだよ! 俺にもよこせ!」
アオイは無視して善逸の前に天ぷらを持って行く。だが、揚げたてサクサクのおいしそうな天ぷら盛りを見せられても、善逸はうわの空でぼんやりとしていた。
「善逸さん?」
アオイが問いかけるが、やっぱり無反応だ。きよもすみも箱膳を運ぶ足を止め、こちらも手伝いの高田なほは、湯のみにお茶を注ぐ手を止めて心配そうに見つめる。
──!?
善逸は、急に意識を取り戻したかのようにハッとした。
「なっ、何!? 何か言った?」
「ですから、天ぷらを食べたいだけ取ってくださいって言ってるんです」
「あっ、ああ! そっか、アハハハ、ごめんごめん」
「おい、芋残しとけよ!」
「そこの猪はお黙りください」
「ああ゛んっ!?」
何となく元気がない。天ぷらもかき揚げしか取らなかった。そんな善逸を見てアオイは変に思った。
「いやー、遅くなっちゃってすまない。手に力が入らなくて、褌ふんどしが上手く巻けなくてさ~。鍛錬しすぎちゃったかな」
湯上がりでさっぱりした炭治郎がようやくやって来た。
「遅ぇーぞ炭治郎! 飯が冷めんだろうが! そんなもん、スッポンポンで来いよ!」
「そんな事できるわけないだろう? 遅くなって悪いって思うけど、なかなか体が言う事をきかないんだよ。それに伊之助の後に入ったからか、湯が足首までしか残っていなかったから、水を足して沸かしてたんだ」
「えっ⁉ 炭治郎さん、何で言ってくれなかったんですか! そんな事は私たちがするのに!」
きよはあわわと慌てた。どうやら炭治郎は腰に手拭いを巻いて外の井戸まで水を汲みに行き、風呂焚きまでしていたようだ。
「いやいや。夕餉の準備で忙しいだろうからって思ってね。なに、大した事ではないよ」
「そっ、そんなぁ。何でも遠慮なく言ってくださいね!? 私たち、その為にいるんですからぁぁっ」
和やかに笑い合い、楽しい夕餉の時間が始まる。そんな中でも一人暗い顔をして飯を口に運ぶ善逸。頭の中は兄弟子・獪岳の事でいっぱいだった。
(雷の呼吸の隊士か……。どうしよう、弟子にしてくれって言ったって、絶対俺よりすごいんだろうな。壱ノ型しかできないって言ったら、がっかりするんじゃないか? いや、笑い飛ばされちゃうかもな。よくそんなんで鬼殺隊に入れたなとかって言われちゃうだろうな。何で俺なんだよ。俺なんかより、兄貴の方に弟子入りすればいいじゃんか)
鬼殺隊に入ってから、見かける事はほぼない兄弟子・獪岳。文を書いても返事が来たためしはない。
(兄貴に文を書いてみるか。ダメ元だけど。どうにかして兄貴の方へ行ってもらおう。兄貴なら、俺よりもちゃんとしてるし、何だかんだと人の世話もできるだろ。俺は自分の事だけで精一杯。誰かの世話なんてする余裕なんかないよ)
伊之助は無我夢中で食べ、炭治郎もしっかりと飯を腹に入れる。善逸だけが飯椀を片手に箸が止まっている。そんな時、善逸の耳には誰かが「コツコツ」と玄関の戸を叩く音がした。
「あれ、誰か来たみたいだけど」
「えっ? 善逸さん、本当ですか?」
座っていたアオイは立ち上がる。
「どなたでしょうか。こんな日が暮れた後に」
「さぁ。でも、何だかはぁはぁ言ってるって言うか……。もしかして急ぎの用なのかも」
急ぎの用なら、もしかして隊士が怪我をしてやって来たのかもしれない。アオイはなほに目配せをして、一緒に薄暗い廊下を玄関に向かって行った。
