寄り道、脇道、回り道
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わりとすんなり中へと通されたわけだが、それは清治を一目見た女将がすっかり容姿が気に入ってしまったからかもしれない。だが「善子の弟」と名乗ってもなかなか信用されなかった。女将からは善子を待つ間、根掘り葉掘りと質問攻めに遭う。
「全然似てないようだけど、本当に姉弟なのかい?」
「はぁ。あの……実は母親が別でして……。姉の母は既に病死しておりますので、父だけが肉親で。その父が急病になってしまって、医者が言うにはいつ何時死んでもおかしくないって言うので……。姉には知らせたいと思ったんです」
「ふぅん、そりゃ大儀だね。……それにしてもアンタが女なら良かったのにさ。綺麗な顔してるし、女に生まれてたらアンタの姉さんよりずっと美人だっただろうよ」
「アハハハ……。そうでしょうか?」
「そうだよ。善子はホント、施してもどうにもこうにもならない顔だよ。髪の色も変だしさ。ありゃ余程の物好きしか客はつかないね。あんなおかしな子は初めてだよ。見世物小屋にでも行った方がいいんじゃないかね」
善逸の女装姿は想像できないが、相当に評判は悪いらしい。清治は愛想笑いをするしかなかった。
「……清治? 何でここに」
真っ黄色の髪を無理矢理二つに縛り、真っ黄色のつんつるてんの着物を着て、おかめのような丸い頬紅に、たらこを貼り付けたような太い唇になった善逸が現れた。
「姉さんッ‼」
清治は大袈裟に声を上げ、泣き真似をして善逸に抱きついた。
「はっ!? ちょっ、何言っ──」
「姉さん、ずいぶん捜しましたよ! 連絡してくれなきゃ困るじゃないですか! 父ちゃんが、父ちゃんが急に倒れてしまったんですよ! 蝶屋敷で診てもらってるけど父ちゃん危ないみたいで。すぐに伝えなきゃってエッホエッホやって来たんですよ‼ ……話合わせてくださいよ師範」
清治はコソっと耳打ちした。
「はっ!? えっ、えええええぇぇぇぇ~っ!」
「父ちゃんが、死ぬ前に桃の花を見たいってうわ言を!」
「もっ、桃の花⁉」
「姉さんが咲いてる所知ってるはずだって言うから、俺っ、俺っ、訊きに来たんです~ッ! うわぁぁぁぁッ‼ 父ちゃんが死んじゃうよぉぉ!」
「はぁ……?」
普段ならけんもほろろな女将だが、弟が不安と悲しみを姉に訴える様を見て、何だかよく分からないがもらい泣きをした。
「善子、アンタの部屋にあげておやり。かわいい弟を元気づけてやんな」
女将は懐紙で涙を拭きながら、二階へ行くよう促す。善逸は二階へと清治を案内し、昨夜から与えられた部屋へと清治を押し込んだ。
襖をそーっと閉めた善逸は、クルリと振り返るなり叫んだ。
「一体何なのさ‼ お前は何しに来たんだよ!」
「師範の格好こそ何なんですか! ふざけるのも大概にした方がいいですよ! よくそんなヘンテコな格好でいられますね!」
「これは宇髄さんがやったんだよ! 俺はされるがままだったの!」
「どういう神経してるんですか、あの人! これじゃあまるで、落書きされた座敷童じゃないですか!」
「そんな言い方ひどすぎるだろ! 俺だって鏡見りゃバケモンだって思うけどさっ‼ で、何しに来たんだよ、ホント!」
清治は肩に担いでいた風呂敷を解き、スルスルと広げる。中には女性物の着物や帯が入っていた。
「心配なんで見に来たんですよ。俺も女装して、この店に入らせてもらいます」
「はぁぁぁぁぁ~っ!? お前が来たら、俺なんて絶対に売れないじゃん!」
「別に売れなくてもいいでしょ!? 股間にそんな汚いモンぶら下げて客取ろうって言うんですか!?」
「声が大きいよ、バカっ!」
部屋は襖一枚。廊下を誰かが通れば、話は丸聞こえである。
「とにかく、俺も着替えます。女の姿じゃ大門を出入りするのは不都合かと思って、わざわざ男の姿で来たんですよ。本当は蝶屋敷から女の格好で行こうと思ってたんですがね、神崎さんがそう言うので」
着物類は今朝アオイから一式こっそり借りた。ついでにおしろいと紅も借りた。清治は隊服を脱ぐと、姿見を見ながら着物へと手際よく着替えていく。女性らしい帯の巻き方も、母親の着替えを見ていて覚えていた。着替え終えると、さっとおしろいをはたき、紅を差す。ものの十分ほどで色気むんむんの少女姿へと変貌を遂げた。
「さてと、後は髪の毛だけど……。神崎さんから蝶の髪飾りを借りて来ました。師範、軽くまとめるので椿油でもありませんか?」
清治の本気に善逸は若干引きつつも、すぐに禿の子から借りて来てやった。
(こいつヤベェ……。こんなの張見世 に出しちゃ、すぐ客が付くぞ)
清治が女なら容易に惚れてしまいそう……。善逸はその美貌にゴクリと唾を呑んだ。
「で、任務は何です?」
「この吉原のどこかに、花魁姿の鬼がいるって言うんだ。先に宇髄さんの奥さんたちが潜入してるんだけど、音信不通になっちゃったらしくてさ。だからみんなで分かれて行方を探ってんだ」
「奥さんたちって?たち ってどういう事ですか?」
「あの人、三人いるんだよ、奥さんが」
「はっ!?」
突っ込みたい事は色々あるがそんな事はまずはいいとして、清治はさらに詳しい情報を訊き出し、自分もその手伝いをする事にした。
「とりあえず、俺もどこかの店に雇ってもらえるよう交渉してきますから、チュン太郎を使って文でやり取りしましょう。ちゃんとここまで連れて来ましたし」
「分かった。情報は逐一宇髄さんに報告する事になってる。お前がいる事は内緒にして、分かった事は俺が宇髄さんに報告するよ。何よりも、奥さんたちの安否が心配だ。多分探っているのを鬼に勘付かれて、何かされたんだと思うんだ」
宇髄は三人しか連れて行かなかったが、一人増えればそれだけ入って来る情報も増えるだろう。女装した清治は、善逸に案内されて店の裏口から隙を見て京極屋を出た。
炭治郎はときと屋、伊之助は荻本屋にいると言う。清治は荻本屋の隣の近江屋の前で足を止めた。理由は特にないが、名前に引かれただけである。
(ここにしようかな)
何とでも言えば、雇ってもらえるのではないか。清治は後れ毛を撫でつけ裾を直し、身なりを整えた。
「おう、お嬢さん。どうしたんだ?」
店を訪ねようと思った矢先、突然背後から声をかけられる。清治はビクッと震えた。
「あっ、あの私……」
着流し姿で、白髪の長い髪を下ろした背の高い男は、清治を見て微笑んだ。白髪頭だが、歳は若いようである。清治はめいっぱい声色を変え、恥じらいを持たせて袖で口元を隠す。
「ほう、綺麗な顔をしてるな。見ない顔だが、こんな所でどうしたんだ? 名前は?」
「きっ……清子ですわ。おほほ……」
「清子チャンねぇ。……で、まさか働き口を探しているってのかい?」
「えっ、ええ。おっ父 が病気で。何とか薬代を稼ぎたいと……」
「そりゃ親孝行のいい娘だな。だがこの近江屋はやめとけ。俺がもっといい店を紹介してやる。一緒に来な」
清治は内股気味にいつもの半分の歩幅で男について行く。
「清子チャン、歳は幾つだ?」
「十四……です」
「そうか。こりゃ思ったよりずいぶん幼いんだな。いや、褒め言葉だぜ? その歳でこんだけ色気がある奴はなかなかいねぇ。俺もツイてるけど、お前はもっとツイてるぜ。この辺にはとんでもねえボッタクリの女衒がたくさんいるが、俺に出会って正解だよ。俺が紹介したい店はな、耀屋 っつって、まぁそれなりに仕事は大変だが、頑張れば幾らでも稼げる店だぜ」
どこまで行くのか。男は通りの外れまでやってきて、突然くるりと振り返った。
「……お前、男を知ってんのか?」
「えっ……?」
「知らねぇでその色気はねぇだろ? 言えよ、何人とヤったんだ……?」
男は清治の顎に手をやり、クイっと引き上げる。そして切れ長の目で清治の瞳を覗き込んだ。清治は思わず赤面し、不覚にも男が持つ色香に惑わされそうになる。
身も心もすっかり女になりきってしまった清治は、胸の高鳴りを感じながら男の赤い瞳に吸い込まれそうになった。
「いやっ、あの……私ッ……‼」
「いいから言えよ。十四でどうやって男を惑わしたんだ? この唇か……? それとも……」
「あのっ……あのっ。私、男の人はまだ知────」
ゴッ‼
男は突然清治の頭に思いきり拳骨を食らわす。
「──⁉ 痛ってぇぇぇぇぇッ‼」
「何をうっとりしてやがんだ! お前は男にも惚れるのか! 何が『男の人はまだ知らない』だ! 知っててたまるかッ、このカマ野郎!」
「へっ!?」
「誰が来いっつったんだよ‼ このペーペーがッ‼ 昨日あれほど言っただろ!」
「はっ、その声は……音柱の……!」
「宇髄天元様だ! お前には他にやる事があんだろ! それをのこのこやって来たと思ったら、女装して京極屋の裏口からコソコソと出て来やがって!」
「なっ‼ 俺の変装を見破っていたのか~ッ‼」
「当たり前だろ馬鹿野郎! 俺を誰だと思ってやがる! ずーっと屋根の上からこの吉原を監視してんだよ‼ 何か知らんがデケェ女が歩いてると思って見たら、思いっきりお前じゃねぇか! ご丁寧にあの蝶屋敷の女の髪飾りまで着けやがって! 違和感しかねぇんだよ!」
清子もとい清治、宇髄天元により捕獲──。清治は大門の外へと押し出され、即刻帰るように言われた。
「全然似てないようだけど、本当に姉弟なのかい?」
「はぁ。あの……実は母親が別でして……。姉の母は既に病死しておりますので、父だけが肉親で。その父が急病になってしまって、医者が言うにはいつ何時死んでもおかしくないって言うので……。姉には知らせたいと思ったんです」
「ふぅん、そりゃ大儀だね。……それにしてもアンタが女なら良かったのにさ。綺麗な顔してるし、女に生まれてたらアンタの姉さんよりずっと美人だっただろうよ」
「アハハハ……。そうでしょうか?」
「そうだよ。善子はホント、施してもどうにもこうにもならない顔だよ。髪の色も変だしさ。ありゃ余程の物好きしか客はつかないね。あんなおかしな子は初めてだよ。見世物小屋にでも行った方がいいんじゃないかね」
善逸の女装姿は想像できないが、相当に評判は悪いらしい。清治は愛想笑いをするしかなかった。
「……清治? 何でここに」
真っ黄色の髪を無理矢理二つに縛り、真っ黄色のつんつるてんの着物を着て、おかめのような丸い頬紅に、たらこを貼り付けたような太い唇になった善逸が現れた。
「姉さんッ‼」
清治は大袈裟に声を上げ、泣き真似をして善逸に抱きついた。
「はっ!? ちょっ、何言っ──」
「姉さん、ずいぶん捜しましたよ! 連絡してくれなきゃ困るじゃないですか! 父ちゃんが、父ちゃんが急に倒れてしまったんですよ! 蝶屋敷で診てもらってるけど父ちゃん危ないみたいで。すぐに伝えなきゃってエッホエッホやって来たんですよ‼ ……話合わせてくださいよ師範」
清治はコソっと耳打ちした。
「はっ!? えっ、えええええぇぇぇぇ~っ!」
「父ちゃんが、死ぬ前に桃の花を見たいってうわ言を!」
「もっ、桃の花⁉」
「姉さんが咲いてる所知ってるはずだって言うから、俺っ、俺っ、訊きに来たんです~ッ! うわぁぁぁぁッ‼ 父ちゃんが死んじゃうよぉぉ!」
「はぁ……?」
普段ならけんもほろろな女将だが、弟が不安と悲しみを姉に訴える様を見て、何だかよく分からないがもらい泣きをした。
「善子、アンタの部屋にあげておやり。かわいい弟を元気づけてやんな」
女将は懐紙で涙を拭きながら、二階へ行くよう促す。善逸は二階へと清治を案内し、昨夜から与えられた部屋へと清治を押し込んだ。
襖をそーっと閉めた善逸は、クルリと振り返るなり叫んだ。
「一体何なのさ‼ お前は何しに来たんだよ!」
「師範の格好こそ何なんですか! ふざけるのも大概にした方がいいですよ! よくそんなヘンテコな格好でいられますね!」
「これは宇髄さんがやったんだよ! 俺はされるがままだったの!」
「どういう神経してるんですか、あの人! これじゃあまるで、落書きされた座敷童じゃないですか!」
「そんな言い方ひどすぎるだろ! 俺だって鏡見りゃバケモンだって思うけどさっ‼ で、何しに来たんだよ、ホント!」
清治は肩に担いでいた風呂敷を解き、スルスルと広げる。中には女性物の着物や帯が入っていた。
「心配なんで見に来たんですよ。俺も女装して、この店に入らせてもらいます」
「はぁぁぁぁぁ~っ!? お前が来たら、俺なんて絶対に売れないじゃん!」
「別に売れなくてもいいでしょ!? 股間にそんな汚いモンぶら下げて客取ろうって言うんですか!?」
「声が大きいよ、バカっ!」
部屋は襖一枚。廊下を誰かが通れば、話は丸聞こえである。
「とにかく、俺も着替えます。女の姿じゃ大門を出入りするのは不都合かと思って、わざわざ男の姿で来たんですよ。本当は蝶屋敷から女の格好で行こうと思ってたんですがね、神崎さんがそう言うので」
着物類は今朝アオイから一式こっそり借りた。ついでにおしろいと紅も借りた。清治は隊服を脱ぐと、姿見を見ながら着物へと手際よく着替えていく。女性らしい帯の巻き方も、母親の着替えを見ていて覚えていた。着替え終えると、さっとおしろいをはたき、紅を差す。ものの十分ほどで色気むんむんの少女姿へと変貌を遂げた。
「さてと、後は髪の毛だけど……。神崎さんから蝶の髪飾りを借りて来ました。師範、軽くまとめるので椿油でもありませんか?」
清治の本気に善逸は若干引きつつも、すぐに禿の子から借りて来てやった。
(こいつヤベェ……。こんなの
清治が女なら容易に惚れてしまいそう……。善逸はその美貌にゴクリと唾を呑んだ。
「で、任務は何です?」
「この吉原のどこかに、花魁姿の鬼がいるって言うんだ。先に宇髄さんの奥さんたちが潜入してるんだけど、音信不通になっちゃったらしくてさ。だからみんなで分かれて行方を探ってんだ」
「奥さんたちって?
「あの人、三人いるんだよ、奥さんが」
「はっ!?」
突っ込みたい事は色々あるがそんな事はまずはいいとして、清治はさらに詳しい情報を訊き出し、自分もその手伝いをする事にした。
「とりあえず、俺もどこかの店に雇ってもらえるよう交渉してきますから、チュン太郎を使って文でやり取りしましょう。ちゃんとここまで連れて来ましたし」
「分かった。情報は逐一宇髄さんに報告する事になってる。お前がいる事は内緒にして、分かった事は俺が宇髄さんに報告するよ。何よりも、奥さんたちの安否が心配だ。多分探っているのを鬼に勘付かれて、何かされたんだと思うんだ」
宇髄は三人しか連れて行かなかったが、一人増えればそれだけ入って来る情報も増えるだろう。女装した清治は、善逸に案内されて店の裏口から隙を見て京極屋を出た。
炭治郎はときと屋、伊之助は荻本屋にいると言う。清治は荻本屋の隣の近江屋の前で足を止めた。理由は特にないが、名前に引かれただけである。
(ここにしようかな)
何とでも言えば、雇ってもらえるのではないか。清治は後れ毛を撫でつけ裾を直し、身なりを整えた。
「おう、お嬢さん。どうしたんだ?」
店を訪ねようと思った矢先、突然背後から声をかけられる。清治はビクッと震えた。
「あっ、あの私……」
着流し姿で、白髪の長い髪を下ろした背の高い男は、清治を見て微笑んだ。白髪頭だが、歳は若いようである。清治はめいっぱい声色を変え、恥じらいを持たせて袖で口元を隠す。
「ほう、綺麗な顔をしてるな。見ない顔だが、こんな所でどうしたんだ? 名前は?」
「きっ……清子ですわ。おほほ……」
「清子チャンねぇ。……で、まさか働き口を探しているってのかい?」
「えっ、ええ。おっ
「そりゃ親孝行のいい娘だな。だがこの近江屋はやめとけ。俺がもっといい店を紹介してやる。一緒に来な」
清治は内股気味にいつもの半分の歩幅で男について行く。
「清子チャン、歳は幾つだ?」
「十四……です」
「そうか。こりゃ思ったよりずいぶん幼いんだな。いや、褒め言葉だぜ? その歳でこんだけ色気がある奴はなかなかいねぇ。俺もツイてるけど、お前はもっとツイてるぜ。この辺にはとんでもねえボッタクリの女衒がたくさんいるが、俺に出会って正解だよ。俺が紹介したい店はな、
どこまで行くのか。男は通りの外れまでやってきて、突然くるりと振り返った。
「……お前、男を知ってんのか?」
「えっ……?」
「知らねぇでその色気はねぇだろ? 言えよ、何人とヤったんだ……?」
男は清治の顎に手をやり、クイっと引き上げる。そして切れ長の目で清治の瞳を覗き込んだ。清治は思わず赤面し、不覚にも男が持つ色香に惑わされそうになる。
身も心もすっかり女になりきってしまった清治は、胸の高鳴りを感じながら男の赤い瞳に吸い込まれそうになった。
「いやっ、あの……私ッ……‼」
「いいから言えよ。十四でどうやって男を惑わしたんだ? この唇か……? それとも……」
「あのっ……あのっ。私、男の人はまだ知────」
ゴッ‼
男は突然清治の頭に思いきり拳骨を食らわす。
「──⁉ 痛ってぇぇぇぇぇッ‼」
「何をうっとりしてやがんだ! お前は男にも惚れるのか! 何が『男の人はまだ知らない』だ! 知っててたまるかッ、このカマ野郎!」
「へっ!?」
「誰が来いっつったんだよ‼ このペーペーがッ‼ 昨日あれほど言っただろ!」
「はっ、その声は……音柱の……!」
「宇髄天元様だ! お前には他にやる事があんだろ! それをのこのこやって来たと思ったら、女装して京極屋の裏口からコソコソと出て来やがって!」
「なっ‼ 俺の変装を見破っていたのか~ッ‼」
「当たり前だろ馬鹿野郎! 俺を誰だと思ってやがる! ずーっと屋根の上からこの吉原を監視してんだよ‼ 何か知らんがデケェ女が歩いてると思って見たら、思いっきりお前じゃねぇか! ご丁寧にあの蝶屋敷の女の髪飾りまで着けやがって! 違和感しかねぇんだよ!」
清子もとい清治、宇髄天元により捕獲──。清治は大門の外へと押し出され、即刻帰るように言われた。
