突然の来訪者
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「あ~……バレちゃったなぁ。ちょ~っと饅頭くすねようとしたらバレちゃったなぁ。前は成功したのに。あんなにたくさんあるんだから、少しくらいいいじゃん、ケチんぼ」
鍛錬を終えて小腹が空いたので、饅頭をくすねようと台所に忍び込んだ善逸だったが、外の井戸で米を研ぎ終えて戻って来たアオイに見つかって叱られた。叱られついでに、もうすぐ風呂が沸くから部屋で大人しく待っていろと言われたのでトボトボ部屋に戻り、する事もないので自分の寝台に飛び乗った。
(あぁ~、今日の夕餉は何だろうな。アオイちゃんの作る飯はどれも旨いけど、しのぶさんが調合した謎のお茶は死ぬほど不味いんだよな。しかも毎食後に必ず飲めって。どんなに飯が旨くても、あれで全部台無しになるんだよなぁ。伊之助なんて口に入れた瞬間に噴き出して痙攣 起こしてたもんな。あれ、何のお茶なんだろう。健康茶だって聞いたけど、まさか人体実験じゃないだろうな)
夕暮れ時の真っ赤に染まった空を見る。鴉がしきりに鳴き、山に帰って行く様子を見て、善逸はため息をついた。
共に戦った杏寿郎は猗窩座との激闘の末に戦死した。全員負傷して療養、傷も良くなったところで鍛錬をしながらぼちぼち任務にも出ている。
それぞれが杏寿郎を偲びながら、任務がない日は鍛錬をし、任務があれば出張り、いつもと変わらない日常を取り戻しつつあった。
(あ~、お風呂沸くまで暇だな。禰豆子ちゃんに会いたいな。今日の鍛錬お疲れ様って頭ナデナデしてもらいたい。お礼に俺は禰豆子ちゃんのもっ……もみじのような小さな手を握って、指をかっ……絡め合って、じっと見つめ合って……はぁぁぁぁ~っ‼ 俺は、俺はーッ! つつつ……ついにあの口枷を外して口づけを……!)
目を閉じてう~っと唇を突き出したところで、部屋の戸がガラッと不躾に開いた。
「善逸ッ‼」
「禰豆子ちゃぁぁぁん……ん~……まっ⁉」
瞼の裏側では禰豆子がそこにいたはずだが、瞼の表側には顔に絆創膏を貼った炭治郎がいた。
「うわぁぁぁっっ!? 何だよ炭治郎! 何でお前がいんだよ! 意味分かんねぇよ、ふざけんなよ! 禰豆子ちゃんをどこへやったんだよ!」
危うく炭治郎に口づけしてしまうところだった善逸は、真っ赤な顔をして怒り狂った。
「どうしたんだよ、善逸。真っ赤な顔で唇尖らしちゃって、茹でダコにでもなったのか? 禰豆子は下で昼寝してるよ。それよりたった今、文が届いてさ! すごいぞ、入隊したばかりの隊士が、師範になって技を鍛えてくれる人がいないかって言ってるみたいなんだけど、善逸にどうかってさ」
善逸は不貞腐れて布団を被る。もう少しで禰豆子と口づけできたのに(妄想の中で)という事だろう。
「なぁ、すごい話だろ? どうする?」
「どこぞの師範が鍛えてほしい隊士はいないかって言ってるだって? 何だよ上から目線で偉そうに。さては炭治郎、俺が弱っちいから教えてもらえって事か? 絶対に嫌だね! 俺の師範はじいちゃんだけだ! これ以上は誰にも教わらない! 嫌だ! 無理! 俺は鍛錬が嫌いなんだよ! 知ってるだろ!?」
「ん? ああ、知ってるけどさ。でもそういう事じゃなくて、善逸が新米隊士の師範にならないかって話だよ。つまり、鍛錬させられる側じゃなくて、する側ってこと。弟子を持つって事だよ。弟子だぞ、弟子! すごいじゃないか、善逸!」
「はぁぁぁぁぁぁっ!?」
善逸はガバっと掛布団をめくり上げ、宙に飛び上がって元気いっぱいに正座で着地、一旦間を置いてから炭治郎の襟ぐりに掴みかかった。
「オイ……何言ってんだよ炭治郎……。俺が師範? バカ言ってんじゃねぇよ……。ふざけんなよなぁ。ふざけんなよなぁぁぁぁ!」
そのまま、グラリグラリと炭治郎を激しく揺らして善逸は叫んだ。
「ちょっと、はっ、はっ、話をっ、話を聞いっ、聞いてくれって!」
「聞いてどうしろってんだよ炭治郎! 俺をおちょくってんのかぁぁぁっ!? 前も、みんなで仲良く鬼退治に汽車で行くのかと思いきや、おっかねぇ鬼の出る汽車に乗せられて逃げ場もなく戦う羽目になるし、もっと前なんか、那田蜘蛛山で蜘蛛に蜘蛛にされかけたんだぞっ⁉ 危うくケツから糸出して巣作って、人間を捕る人生になるところだったんだ! 俺が作りたいのはなぁっ、禰豆子ちゃんとの愛の巣だ! あん時ヤベェ音するから那田蜘蛛山には入らねえでおこうって言ったのに、お前と猪が喜び勇んで俺を置いて山に入って行きやがってあんな事になったんだぞ! お前と一緒だと何でか知らないけど大変な目に遭う! それが今度は俺に師範になれだって!? 無茶苦茶なこと言ってんじゃねぇ! これ以上俺をどうこうしようなんて思ってんじゃねぇよ! 頼むから平穏に過ごさせてくれよ、炭治郎!」
善逸は優れた聴力を持ちながら、一番の仲良しさんの声には耳を貸さない。
「そうやって持ち上げて俺にやる気を出させようとしてんだろ!? 人を騙してそんなに楽しいか!? これってどうせさぁっ、胴上げされたはいいけど、受け止める人がみんな一気に撤収しちまって、結果地面に落ちて大怪我するみたいなアレだろ!?」
「何言ってんだよ善逸。そんな事しないよ。お前は強い。だからこうして師範にならないかって話が来てるんだよ」
「強いなんて誰のものさしで物言ってんだ! 俺に師範が務まるわけねぇだろうが! お前も知ってるだろ!? 馬鹿の一つ覚えみたいに壱ノ型しかできねぇって事を! 俺は弱いんだ。ごまかしごまかし、ここまで必死でやって来たんだよ! 誰だッ、そんないい加減な事を言うのはッ‼」
「煉獄さんのお父さんだよ」
まくし立てる善逸の目は、一瞬にして点になった。
「…………はい?」
「煉獄槇寿郎さん。かつては炎柱だった人だ。善逸も知っているだろ?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああッ!?」
病室には善逸の叫び声が響き渡り、窓ガラスは震えてピキっとヒビが入る。
炭治郎の視界の中の部屋はグルグルと回り、慌てて耳を押さえるが時すでに遅し。キーンと耳鳴りのする中で話を続ける。
「と、とにかく、今度その人をよこすから、話だけでも聞いてやってくれって。雷の呼吸の剣士らしいぞ。良かったな、雷の剣士なんてなかなかいないじゃないか」
「……雷か。まぁ確かに少ないよな」
「いないって事は、それだけ習得が難しいからって事だよ。ほら、岩の呼吸の使い手なんて、悲鳴嶼さんくらいしか聞いた事がないじゃないか。雷だって善逸と、えっと……兄弟子の獪岳さんくらいだし。そんな中に仲間が増えるわけだし、善逸に教えてほしいって頼って来てるんだ。無下にはできないだろ?」
「で、でもさぁ」
「すごいじゃないか、善逸。あの煉獄さんのお父さんがお前を紹介するなんて。柱のお墨付きって事だぞ?」
「そっ、そうかなぁ……。そう言われると……何かこれってすごい事かもって思うよ」
ようやく善逸はデレっと笑った。炭治郎はそのいつも通りの笑顔を見て安堵する。
「ところで、その弟子志願の人ってどんな人? 女の子だったりする?」
「さっ、さぁそこまでは……」
「女の子だったらどうしよう! っていうかむしろ俺は女の子の弟子しか取らないよ? ああっ、女の子の手を取り、足を取り……ああやって、こうやって……。いやん、師範ったら、かっこいい♡ 師範の霹靂一閃で私の心までシビれちゃう♡ ハッハッハ、そうかい? こんなの簡単だよ、いつでも教えてあげるさ……なぁんて、フヒヒヒヒ」
善逸は天井の豆電球を見ながら、一人ニタニタと笑っている。どうも想像力が豊かで困る。よくもまぁただの豆電球を女の子として仮想できるものだ。
「いや、ちょっと待てよ!?」
「どうした、善逸」
善逸は真顔に戻ると、ガックリと肩を落として盛大なため息をついた。
「ダメだろ、俺。壱ノ型しかできないもん。そんな俺から何を学ぶんだよ。俺だって何を教えるのさ。俺に教えられるのは、女の子の口説き方だけだよ。そんな事を女の子の弟子に教えてどうすんのさ」
「……いや、善逸の口説き方は人に指南できるほど大層なもんではないだろ。むしろ正気に戻って他に教えを請うた方が……」
「何言ってんだよ。俺の口説きは百戦錬磨の秘技だぞ。乙女心を知り尽くした俺に勝る者はいないよ」
いや、むしろ百戦錬磨の負け戦だろう──。炭治郎は大体の戦果は想像できる。
「ああっ、その娘 ってどのくらい型ができるんだろ。まさか全部とかって言わないよね? 俺が弟子入りした方がいいんじゃない? 大体、兄貴だって全部できないんだからさぁっ! やっぱ無理だよ! 断る!」
「そ、そんな事言うなよ。とりあえず、会って話してみろって。意気投合するかもしれないし。な?」
意気投合──。もはや弟子入り志願者が女の子だと勝手に思い込んでいる善逸は、その言葉を素直にいいように捉え、心をときめかせた。
鍛錬を終えて小腹が空いたので、饅頭をくすねようと台所に忍び込んだ善逸だったが、外の井戸で米を研ぎ終えて戻って来たアオイに見つかって叱られた。叱られついでに、もうすぐ風呂が沸くから部屋で大人しく待っていろと言われたのでトボトボ部屋に戻り、する事もないので自分の寝台に飛び乗った。
(あぁ~、今日の夕餉は何だろうな。アオイちゃんの作る飯はどれも旨いけど、しのぶさんが調合した謎のお茶は死ぬほど不味いんだよな。しかも毎食後に必ず飲めって。どんなに飯が旨くても、あれで全部台無しになるんだよなぁ。伊之助なんて口に入れた瞬間に噴き出して
夕暮れ時の真っ赤に染まった空を見る。鴉がしきりに鳴き、山に帰って行く様子を見て、善逸はため息をついた。
共に戦った杏寿郎は猗窩座との激闘の末に戦死した。全員負傷して療養、傷も良くなったところで鍛錬をしながらぼちぼち任務にも出ている。
それぞれが杏寿郎を偲びながら、任務がない日は鍛錬をし、任務があれば出張り、いつもと変わらない日常を取り戻しつつあった。
(あ~、お風呂沸くまで暇だな。禰豆子ちゃんに会いたいな。今日の鍛錬お疲れ様って頭ナデナデしてもらいたい。お礼に俺は禰豆子ちゃんのもっ……もみじのような小さな手を握って、指をかっ……絡め合って、じっと見つめ合って……はぁぁぁぁ~っ‼ 俺は、俺はーッ! つつつ……ついにあの口枷を外して口づけを……!)
目を閉じてう~っと唇を突き出したところで、部屋の戸がガラッと不躾に開いた。
「善逸ッ‼」
「禰豆子ちゃぁぁぁん……ん~……まっ⁉」
瞼の裏側では禰豆子がそこにいたはずだが、瞼の表側には顔に絆創膏を貼った炭治郎がいた。
「うわぁぁぁっっ!? 何だよ炭治郎! 何でお前がいんだよ! 意味分かんねぇよ、ふざけんなよ! 禰豆子ちゃんをどこへやったんだよ!」
危うく炭治郎に口づけしてしまうところだった善逸は、真っ赤な顔をして怒り狂った。
「どうしたんだよ、善逸。真っ赤な顔で唇尖らしちゃって、茹でダコにでもなったのか? 禰豆子は下で昼寝してるよ。それよりたった今、文が届いてさ! すごいぞ、入隊したばかりの隊士が、師範になって技を鍛えてくれる人がいないかって言ってるみたいなんだけど、善逸にどうかってさ」
善逸は不貞腐れて布団を被る。もう少しで禰豆子と口づけできたのに(妄想の中で)という事だろう。
「なぁ、すごい話だろ? どうする?」
「どこぞの師範が鍛えてほしい隊士はいないかって言ってるだって? 何だよ上から目線で偉そうに。さては炭治郎、俺が弱っちいから教えてもらえって事か? 絶対に嫌だね! 俺の師範はじいちゃんだけだ! これ以上は誰にも教わらない! 嫌だ! 無理! 俺は鍛錬が嫌いなんだよ! 知ってるだろ!?」
「ん? ああ、知ってるけどさ。でもそういう事じゃなくて、善逸が新米隊士の師範にならないかって話だよ。つまり、鍛錬させられる側じゃなくて、する側ってこと。弟子を持つって事だよ。弟子だぞ、弟子! すごいじゃないか、善逸!」
「はぁぁぁぁぁぁっ!?」
善逸はガバっと掛布団をめくり上げ、宙に飛び上がって元気いっぱいに正座で着地、一旦間を置いてから炭治郎の襟ぐりに掴みかかった。
「オイ……何言ってんだよ炭治郎……。俺が師範? バカ言ってんじゃねぇよ……。ふざけんなよなぁ。ふざけんなよなぁぁぁぁ!」
そのまま、グラリグラリと炭治郎を激しく揺らして善逸は叫んだ。
「ちょっと、はっ、はっ、話をっ、話を聞いっ、聞いてくれって!」
「聞いてどうしろってんだよ炭治郎! 俺をおちょくってんのかぁぁぁっ!? 前も、みんなで仲良く鬼退治に汽車で行くのかと思いきや、おっかねぇ鬼の出る汽車に乗せられて逃げ場もなく戦う羽目になるし、もっと前なんか、那田蜘蛛山で蜘蛛に蜘蛛にされかけたんだぞっ⁉ 危うくケツから糸出して巣作って、人間を捕る人生になるところだったんだ! 俺が作りたいのはなぁっ、禰豆子ちゃんとの愛の巣だ! あん時ヤベェ音するから那田蜘蛛山には入らねえでおこうって言ったのに、お前と猪が喜び勇んで俺を置いて山に入って行きやがってあんな事になったんだぞ! お前と一緒だと何でか知らないけど大変な目に遭う! それが今度は俺に師範になれだって!? 無茶苦茶なこと言ってんじゃねぇ! これ以上俺をどうこうしようなんて思ってんじゃねぇよ! 頼むから平穏に過ごさせてくれよ、炭治郎!」
善逸は優れた聴力を持ちながら、一番の仲良しさんの声には耳を貸さない。
「そうやって持ち上げて俺にやる気を出させようとしてんだろ!? 人を騙してそんなに楽しいか!? これってどうせさぁっ、胴上げされたはいいけど、受け止める人がみんな一気に撤収しちまって、結果地面に落ちて大怪我するみたいなアレだろ!?」
「何言ってんだよ善逸。そんな事しないよ。お前は強い。だからこうして師範にならないかって話が来てるんだよ」
「強いなんて誰のものさしで物言ってんだ! 俺に師範が務まるわけねぇだろうが! お前も知ってるだろ!? 馬鹿の一つ覚えみたいに壱ノ型しかできねぇって事を! 俺は弱いんだ。ごまかしごまかし、ここまで必死でやって来たんだよ! 誰だッ、そんないい加減な事を言うのはッ‼」
「煉獄さんのお父さんだよ」
まくし立てる善逸の目は、一瞬にして点になった。
「…………はい?」
「煉獄槇寿郎さん。かつては炎柱だった人だ。善逸も知っているだろ?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああッ!?」
病室には善逸の叫び声が響き渡り、窓ガラスは震えてピキっとヒビが入る。
炭治郎の視界の中の部屋はグルグルと回り、慌てて耳を押さえるが時すでに遅し。キーンと耳鳴りのする中で話を続ける。
「と、とにかく、今度その人をよこすから、話だけでも聞いてやってくれって。雷の呼吸の剣士らしいぞ。良かったな、雷の剣士なんてなかなかいないじゃないか」
「……雷か。まぁ確かに少ないよな」
「いないって事は、それだけ習得が難しいからって事だよ。ほら、岩の呼吸の使い手なんて、悲鳴嶼さんくらいしか聞いた事がないじゃないか。雷だって善逸と、えっと……兄弟子の獪岳さんくらいだし。そんな中に仲間が増えるわけだし、善逸に教えてほしいって頼って来てるんだ。無下にはできないだろ?」
「で、でもさぁ」
「すごいじゃないか、善逸。あの煉獄さんのお父さんがお前を紹介するなんて。柱のお墨付きって事だぞ?」
「そっ、そうかなぁ……。そう言われると……何かこれってすごい事かもって思うよ」
ようやく善逸はデレっと笑った。炭治郎はそのいつも通りの笑顔を見て安堵する。
「ところで、その弟子志願の人ってどんな人? 女の子だったりする?」
「さっ、さぁそこまでは……」
「女の子だったらどうしよう! っていうかむしろ俺は女の子の弟子しか取らないよ? ああっ、女の子の手を取り、足を取り……ああやって、こうやって……。いやん、師範ったら、かっこいい♡ 師範の霹靂一閃で私の心までシビれちゃう♡ ハッハッハ、そうかい? こんなの簡単だよ、いつでも教えてあげるさ……なぁんて、フヒヒヒヒ」
善逸は天井の豆電球を見ながら、一人ニタニタと笑っている。どうも想像力が豊かで困る。よくもまぁただの豆電球を女の子として仮想できるものだ。
「いや、ちょっと待てよ!?」
「どうした、善逸」
善逸は真顔に戻ると、ガックリと肩を落として盛大なため息をついた。
「ダメだろ、俺。壱ノ型しかできないもん。そんな俺から何を学ぶんだよ。俺だって何を教えるのさ。俺に教えられるのは、女の子の口説き方だけだよ。そんな事を女の子の弟子に教えてどうすんのさ」
「……いや、善逸の口説き方は人に指南できるほど大層なもんではないだろ。むしろ正気に戻って他に教えを請うた方が……」
「何言ってんだよ。俺の口説きは百戦錬磨の秘技だぞ。乙女心を知り尽くした俺に勝る者はいないよ」
いや、むしろ百戦錬磨の負け戦だろう──。炭治郎は大体の戦果は想像できる。
「ああっ、その
「そ、そんな事言うなよ。とりあえず、会って話してみろって。意気投合するかもしれないし。な?」
意気投合──。もはや弟子入り志願者が女の子だと勝手に思い込んでいる善逸は、その言葉を素直にいいように捉え、心をときめかせた。
