人さらいの男
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その翌日の昼下がり、蝶屋敷の玄関ではひと騒動が起きていた。
昨夜から単独で任務に出ていた炭治郎がちょうど帰って来た時の事である。
「離してください! 私っ……」
「うるせぇな、黙っとけ」
「ひぃぃぃぃぃ!」
炭治郎の目の前では、隊服を着た大男がアオイとなほを担ぎ、それを止めようときよとすみが泣き叫んでいる。たまたまアオイたちに顔を見せに来て居合わせてしまったのか、カナヲが呆然とそれを見ていた。
さっさと助ければいいものを、カナヲには何か葛藤があったのか、間を置いて大男の隊服を引っ張って、抵抗する蝶屋敷の娘たちに加勢した。
(な、何だ……?)
状況はよく分からないが、どうやら大男が女の子たちをさらって行こうとしているらしい。同じ鬼殺隊士とは言え、嫌がっている婦女子をまるで荷物を運ぶかのように乱暴に連れて行こうとする悪逆無道なこの様を見て、任務上がりの疲れでさほど機嫌が良かったわけではない炭治郎は毛頭黙っている事ができない。
「女の子に何してるんだ‼ 手を離せ‼」
突然の怒号に、その場にいた全員が炭治郎を見る。
大男は鬼殺隊の中でも一位二位を争うような美貌の持ち主である音柱・宇髄天元。いや、本人的には一位だと言い張るのだろうが、やっていることは外道のよう……いや、そうではない……のか?
(何なんだ、この状況は……)
炭治郎は混乱した。蝶屋敷の女の子たちが「キャー、色男よ‼」と喜んで群がり「抱っこして」やら「次は私よ、なほちゃんばっかりずるい」とか、はたまた「アオイの次は私!」とカナヲが駄々を捏ねているのか。
(えっ……? 俺の勘違い? でも何だか様子もおかしいし……。この匂い、どう嗅いでも怖がってる匂いだよなぁ。この人の肩の上が高すぎて怖がってる匂いなのかな……?)
宇髄はただ蝶屋敷の娘たちと戯れているのか、それとも本当にさらって行こうとしているのか。実に判断に困る。
「助けてくださぁい、炭治郎さぁぁぁぁん」
「‼」
「この馬鹿ガキ……! 余計な事を!」
「キャー!」
判断が早かったのか、遅かったのか。炭治郎は疲れた足に鞭を打って宇髄の頭めがけて大きく跳躍した。
困ったときの必殺技・竈門葵枝直伝の頭突きをカマそうとしたわけだが、猪を撃退させたその程度の技では天下の柱を仕留める事はできなかった。宇髄はアオイとなほを担いだまま、蝶屋敷玄関前を飾る数寄屋門の屋根へとヒョイと跳び移って難なく避ける。
「愚か者。俺は元・忍の宇髄天元様だぞ」
冷たく炭治郎を見下す切れ長の目。さらに宇髄は炭治郎の渾身の一撃を「鼻くそ」呼ばわりして罵った。綺麗な顔のわりには言葉には品がない。
(な、ななななな……なんて人だ! 柱なら、下の隊士に尊敬されるような物の言い方をするべきだ! よーし、こうなったら……!)
炭治郎、徹底抗戦の構え。いつも世話になっている蝶屋敷の娘たちを見殺しにはできない。
「この人さらいめ!」
「そうよ、変態‼ 変態‼」
「はぁぁぁぁぁッ⁉ テメーら、誰に口利いてんだ! 俺は柱だぞ、この野郎!」
「お前を柱とは認めない‼ むん‼」
間違っていると思えば、相手が柱だろうが何だろうが噛みつく炭治郎。そんなこんなで騒ぎはより一層大きくなる。そんな時、道場で鍛錬していた清治たちも異変に気が付いた。
「何の騒ぎかな。師範、外から男の人の怒鳴り声まで聞こえません?」
最初は女の子たちがケンカをしているか、カエルやら虫やらがいるとキャーキャー騒いでいるだけだと思っていたが、どうも様子がおかしい。清治は瓢箪に思いきり息を吹き込んでいる最中だったが、声が気になって集中力が切れてしまった。
「まさか強盗ですかね⁉ でもこんな昼間っから? 押し売りか何かですかね」
「ほっとけよ清治。炭治郎も帰って来たみたいだし、大丈夫だって。首を突っ込むとろくな事にならないよ」
全て「聞こえて」いるのか、善逸は関わりたくない様子だ。
「おいピヨ治、何か面白そうだし行ってみようぜ。女どもが泥棒でも捕まえてメッタメタにしてんじゃね? ハッハッハ、こりゃ見物 だぜ」
伊之助は、相撲でも見に行くかのように興味津々な顔をして玄関へと向かった。
「俺も行きます!」
「あっ、清治! ったく、野次馬なんだから」
一人道場に取り残された善逸だったが、結局遅れて玄関へと向かった。
昨夜から単独で任務に出ていた炭治郎がちょうど帰って来た時の事である。
「離してください! 私っ……」
「うるせぇな、黙っとけ」
「ひぃぃぃぃぃ!」
炭治郎の目の前では、隊服を着た大男がアオイとなほを担ぎ、それを止めようときよとすみが泣き叫んでいる。たまたまアオイたちに顔を見せに来て居合わせてしまったのか、カナヲが呆然とそれを見ていた。
さっさと助ければいいものを、カナヲには何か葛藤があったのか、間を置いて大男の隊服を引っ張って、抵抗する蝶屋敷の娘たちに加勢した。
(な、何だ……?)
状況はよく分からないが、どうやら大男が女の子たちをさらって行こうとしているらしい。同じ鬼殺隊士とは言え、嫌がっている婦女子をまるで荷物を運ぶかのように乱暴に連れて行こうとする悪逆無道なこの様を見て、任務上がりの疲れでさほど機嫌が良かったわけではない炭治郎は毛頭黙っている事ができない。
「女の子に何してるんだ‼ 手を離せ‼」
突然の怒号に、その場にいた全員が炭治郎を見る。
大男は鬼殺隊の中でも一位二位を争うような美貌の持ち主である音柱・宇髄天元。いや、本人的には一位だと言い張るのだろうが、やっていることは外道のよう……いや、そうではない……のか?
(何なんだ、この状況は……)
炭治郎は混乱した。蝶屋敷の女の子たちが「キャー、色男よ‼」と喜んで群がり「抱っこして」やら「次は私よ、なほちゃんばっかりずるい」とか、はたまた「アオイの次は私!」とカナヲが駄々を捏ねているのか。
(えっ……? 俺の勘違い? でも何だか様子もおかしいし……。この匂い、どう嗅いでも怖がってる匂いだよなぁ。この人の肩の上が高すぎて怖がってる匂いなのかな……?)
宇髄はただ蝶屋敷の娘たちと戯れているのか、それとも本当にさらって行こうとしているのか。実に判断に困る。
「助けてくださぁい、炭治郎さぁぁぁぁん」
「‼」
「この馬鹿ガキ……! 余計な事を!」
「キャー!」
判断が早かったのか、遅かったのか。炭治郎は疲れた足に鞭を打って宇髄の頭めがけて大きく跳躍した。
困ったときの必殺技・竈門葵枝直伝の頭突きをカマそうとしたわけだが、猪を撃退させたその程度の技では天下の柱を仕留める事はできなかった。宇髄はアオイとなほを担いだまま、蝶屋敷玄関前を飾る数寄屋門の屋根へとヒョイと跳び移って難なく避ける。
「愚か者。俺は元・忍の宇髄天元様だぞ」
冷たく炭治郎を見下す切れ長の目。さらに宇髄は炭治郎の渾身の一撃を「鼻くそ」呼ばわりして罵った。綺麗な顔のわりには言葉には品がない。
(な、ななななな……なんて人だ! 柱なら、下の隊士に尊敬されるような物の言い方をするべきだ! よーし、こうなったら……!)
炭治郎、徹底抗戦の構え。いつも世話になっている蝶屋敷の娘たちを見殺しにはできない。
「この人さらいめ!」
「そうよ、変態‼ 変態‼」
「はぁぁぁぁぁッ⁉ テメーら、誰に口利いてんだ! 俺は柱だぞ、この野郎!」
「お前を柱とは認めない‼ むん‼」
間違っていると思えば、相手が柱だろうが何だろうが噛みつく炭治郎。そんなこんなで騒ぎはより一層大きくなる。そんな時、道場で鍛錬していた清治たちも異変に気が付いた。
「何の騒ぎかな。師範、外から男の人の怒鳴り声まで聞こえません?」
最初は女の子たちがケンカをしているか、カエルやら虫やらがいるとキャーキャー騒いでいるだけだと思っていたが、どうも様子がおかしい。清治は瓢箪に思いきり息を吹き込んでいる最中だったが、声が気になって集中力が切れてしまった。
「まさか強盗ですかね⁉ でもこんな昼間っから? 押し売りか何かですかね」
「ほっとけよ清治。炭治郎も帰って来たみたいだし、大丈夫だって。首を突っ込むとろくな事にならないよ」
全て「聞こえて」いるのか、善逸は関わりたくない様子だ。
「おいピヨ治、何か面白そうだし行ってみようぜ。女どもが泥棒でも捕まえてメッタメタにしてんじゃね? ハッハッハ、こりゃ
伊之助は、相撲でも見に行くかのように興味津々な顔をして玄関へと向かった。
「俺も行きます!」
「あっ、清治! ったく、野次馬なんだから」
一人道場に取り残された善逸だったが、結局遅れて玄関へと向かった。
