阿弥陀ヶ原の鬼婆
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「ヌォォォォォッ……この小僧めッ!」
姥鬼は鎌一つで清治の動きを封じようとするが、全ては防ぎきれない。老体はズタズタに斬り裂かれ、生臭い血をも撒き散らす。
(師範! 俺が、俺がこの鬼を……!)
清治は甘く見ていた。こんなにやせ細った老婆の姿だが、藤襲山にいた鬼よりも確実に強く、なかなか頸を取らせてくれない。それでも少し前なら、いや、昨日までの自分なら、歯ごたえのある鬼に出くわしたと気が逸はやっていただろうが、今はそうではない。早いところ倒してしまって、吊るされたままの師範の安否を確認しなければ。その気持ちのみで一心不乱に剣を振るった。
────雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷
清治は姥鬼の足元を掬おうと見せかけ、身を屈めて刃を突き出す。姥鬼がそれに気を取られた隙に、しゃがんだ状態から膝を伸ばす屈伸の勢いを使って技を出す。地面には足がめり込むほど強く踏み込むこの技は、膝に多少の負荷がかかる。
「フンギャァァァァッ!」
狙いよく真上へ吹き飛ばされた姥鬼を追い、清治は納刀すると堅固な岩場を駆け上がって強く蹴り、姥鬼めがけて飛んで行く。
────雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃
獲物を仕留めるハヤブサのように、清治は宙を駆ける。体は仰向けに、うつ伏せに、清治はつむじ風のようにねじるような身のこなしで、空高く飛び上がって行く姥鬼を追う。それはまるで夜空をジリジリと這い、枝のように広がって行く雷樹のように見えた。
「ヒィッヤァァァァッ!」
目の前に急に出現した日輪の快刀に驚いた姥鬼は、曲がった腰でヒョイと身を翻して避け、善逸が吊るされている木の枝に飛び乗った。
避けられた清治はそのまま制御不能となり、頭から地面に落下、背中を強く打って呼吸が一瞬止まる。
「カ……ッハ! くっ、くそっ! 外したか……!」
踏み込みに十分な体勢ではなかったせいか、精度が悪かった。鬼へ辿り着くまで、空気抵抗もあり、勢いが弱まってしまっていたようだ。
(いや、そうじゃない。そもそも俺の霹靂一閃は半端だ。緩慢すぎるんだ)
視界がぼやけ始める。軽い脳震盪を起こしているようだが、休んでいる暇はない。何とか頭を覚醒させようと、清治はこめかみのあたりを何度か叩く。
「しっ……師範……」
ぶら下がったままの師範の姿。生きているなら、何とか目を覚まして一緒に戦ってほしい。
「……師範ーッ!」
清治はありったけの力で叫び、片肘だけで匍匐ほふく前進をする。そうして善逸の近くまでやって来ると、シィィィィィ……と息を吐いた。一か八かで吊るす縄を目がけて刀を投げるのだ。
逆手で握った刀を振り上げ、狙いを定める。下手をすれば善逸を斬ってしまう。
「何じゃい、とうとう手がなくなってそんな愚かなやり方でわしを討とうとするのか、ファーッハッハ!」
姥鬼は枝の上で高笑いをする。自分を狙っていると勘違いしたのか、刀を投げようとする清治を嘲笑った。
「行けぇぇぇっ!」
力を振り絞って刀を飛ばす。長い刀のどこかに縄が触れ、断ってくれれば……!
(頼む、斬れてくれ! そして目を覚ましてくれ、師範!)
祈るような言葉を残し、清治の意識はそこで途絶えた。
姥鬼は鎌一つで清治の動きを封じようとするが、全ては防ぎきれない。老体はズタズタに斬り裂かれ、生臭い血をも撒き散らす。
(師範! 俺が、俺がこの鬼を……!)
清治は甘く見ていた。こんなにやせ細った老婆の姿だが、藤襲山にいた鬼よりも確実に強く、なかなか頸を取らせてくれない。それでも少し前なら、いや、昨日までの自分なら、歯ごたえのある鬼に出くわしたと気が逸はやっていただろうが、今はそうではない。早いところ倒してしまって、吊るされたままの師範の安否を確認しなければ。その気持ちのみで一心不乱に剣を振るった。
────雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷
清治は姥鬼の足元を掬おうと見せかけ、身を屈めて刃を突き出す。姥鬼がそれに気を取られた隙に、しゃがんだ状態から膝を伸ばす屈伸の勢いを使って技を出す。地面には足がめり込むほど強く踏み込むこの技は、膝に多少の負荷がかかる。
「フンギャァァァァッ!」
狙いよく真上へ吹き飛ばされた姥鬼を追い、清治は納刀すると堅固な岩場を駆け上がって強く蹴り、姥鬼めがけて飛んで行く。
────雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃
獲物を仕留めるハヤブサのように、清治は宙を駆ける。体は仰向けに、うつ伏せに、清治はつむじ風のようにねじるような身のこなしで、空高く飛び上がって行く姥鬼を追う。それはまるで夜空をジリジリと這い、枝のように広がって行く雷樹のように見えた。
「ヒィッヤァァァァッ!」
目の前に急に出現した日輪の快刀に驚いた姥鬼は、曲がった腰でヒョイと身を翻して避け、善逸が吊るされている木の枝に飛び乗った。
避けられた清治はそのまま制御不能となり、頭から地面に落下、背中を強く打って呼吸が一瞬止まる。
「カ……ッハ! くっ、くそっ! 外したか……!」
踏み込みに十分な体勢ではなかったせいか、精度が悪かった。鬼へ辿り着くまで、空気抵抗もあり、勢いが弱まってしまっていたようだ。
(いや、そうじゃない。そもそも俺の霹靂一閃は半端だ。緩慢すぎるんだ)
視界がぼやけ始める。軽い脳震盪を起こしているようだが、休んでいる暇はない。何とか頭を覚醒させようと、清治はこめかみのあたりを何度か叩く。
「しっ……師範……」
ぶら下がったままの師範の姿。生きているなら、何とか目を覚まして一緒に戦ってほしい。
「……師範ーッ!」
清治はありったけの力で叫び、片肘だけで匍匐ほふく前進をする。そうして善逸の近くまでやって来ると、シィィィィィ……と息を吐いた。一か八かで吊るす縄を目がけて刀を投げるのだ。
逆手で握った刀を振り上げ、狙いを定める。下手をすれば善逸を斬ってしまう。
「何じゃい、とうとう手がなくなってそんな愚かなやり方でわしを討とうとするのか、ファーッハッハ!」
姥鬼は枝の上で高笑いをする。自分を狙っていると勘違いしたのか、刀を投げようとする清治を嘲笑った。
「行けぇぇぇっ!」
力を振り絞って刀を飛ばす。長い刀のどこかに縄が触れ、断ってくれれば……!
(頼む、斬れてくれ! そして目を覚ましてくれ、師範!)
祈るような言葉を残し、清治の意識はそこで途絶えた。
