仲直りの鰻
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善逸には玄関で待っていてもらい、清治も一応隊服に着替え、帯刀して玄関に向かう。
「お待たせしました」
「あれ? 羽織は?」
「……えっ?」
「ほら、じいちゃんにもらった青いやつ。もうすぐ日も暮れるし、帰りは冷えるよ。着てきたら?」
「…………」
菊江に袖を縫ってもらって、洗ってもらって、結局は獪岳に返そうと思ったが受け取ってもらえなかった羽織──。
もう着ないと決めていた物だ。着れば菊江を思い出す。本当は獪岳が着るべき物なのに、自分が着るのは違和感がある。
「いえ、あれは……」
「俺たちは家族だろ?」
「……えっ?」
「じいちゃんがお前にそれを渡したって事は、お前を家族だって認めたからだ」
「でもあれは、獪岳さんの……」
「兄貴は恥ずかしがり屋だからさ。それにあの人、そもそもそういうのを羽織るような性格じゃないし。いつも胸元ガバッと開けて、だらしない格好をするのが好きだからさ」
「……でも」
「着てくれよ、清治。あれはお前によく似合ってるよ」
清治は仕方なく戻って、自分の荷物の中から羽織を取り出した。いろんな思いが交差してしまい、畳んであるそれを広げて袖を通す事ができない。
(俺が着るのは相応しくない。いくら桑島先生が俺に渡したと言うても、俺は先生の本当の弟子やない。家族やって認めてこれをくれたんやない。きっと違うんや)
深く考えずに受け取ったこの羽織がこんなに重い物だとは思わず、何の気なしに着ていた自分を恥じたい。
(家族やないやろ、俺は……。家族なんかやないやろ、俺は……)
あの三人の心の繋がりにはどう頑張っても入り込めない。邪魔をする気もないし、割り込む気もない。
「おーい清治~。まだ~?」
急かされて、そのまま持って玄関に向かう。
「すみません、やっぱりこれは……」
「じゃあ俺のを着る? 俺がそれを着るから」
「……はい?」
「いっぺんその青いのを着てみたかったんだよね。ほら、黄色って嫌いじゃないけど、目立つじゃん⁉ こんなの着て歩いていると夜でも目立つじゃん⁉ たまに警察に声かけられちゃうんだよね。ちょっとこれ着て歩いてみてよ。マジで声かけられるから!」
善逸は自分の羽織を脱いで、清治の肩に勝手に掛けてやる。そして青い羽織を奪い取った。
「やっ、やめてくださいよ! こんな色は絶対に嫌です! 恥ずかしい!」
「えっ、恥ずかしい……?」
「こんな浮かれた色なんか着れませんって!」
「浮かれた色……」
「師範じゃあるまいし、こんな色着て平気でいられませんって!」
慌てて脱いで、善逸の肩に掛ける。
「冗談じゃありませんよ。俺はこれでいいです!」
清治は奪い返し、サッと青い羽織に袖を通した。……が、しょんぼりした善逸に気が付き、慌てて訂正する。
「あっ、いや、そういう意味じゃなくて!」
「……じゃあどういう意味だよ」
「師範だからこそ、それが似合うって事ですよ! いや、師範しか似合わない! いろんな意味で!」
「…………」
せっかく緊張感が解けてきたと言うのに、元の木阿弥である。
(しまったなぁ。また機嫌悪くしてしもた)
善逸は無言のまま蝶屋敷を出て、清治もそれに続く。つい思っている事をそのまま口に出してしまい、気まずい雰囲気はますます気まずくなったが、どこへ行くのかを訊く勇気もない。
「お待たせしました」
「あれ? 羽織は?」
「……えっ?」
「ほら、じいちゃんにもらった青いやつ。もうすぐ日も暮れるし、帰りは冷えるよ。着てきたら?」
「…………」
菊江に袖を縫ってもらって、洗ってもらって、結局は獪岳に返そうと思ったが受け取ってもらえなかった羽織──。
もう着ないと決めていた物だ。着れば菊江を思い出す。本当は獪岳が着るべき物なのに、自分が着るのは違和感がある。
「いえ、あれは……」
「俺たちは家族だろ?」
「……えっ?」
「じいちゃんがお前にそれを渡したって事は、お前を家族だって認めたからだ」
「でもあれは、獪岳さんの……」
「兄貴は恥ずかしがり屋だからさ。それにあの人、そもそもそういうのを羽織るような性格じゃないし。いつも胸元ガバッと開けて、だらしない格好をするのが好きだからさ」
「……でも」
「着てくれよ、清治。あれはお前によく似合ってるよ」
清治は仕方なく戻って、自分の荷物の中から羽織を取り出した。いろんな思いが交差してしまい、畳んであるそれを広げて袖を通す事ができない。
(俺が着るのは相応しくない。いくら桑島先生が俺に渡したと言うても、俺は先生の本当の弟子やない。家族やって認めてこれをくれたんやない。きっと違うんや)
深く考えずに受け取ったこの羽織がこんなに重い物だとは思わず、何の気なしに着ていた自分を恥じたい。
(家族やないやろ、俺は……。家族なんかやないやろ、俺は……)
あの三人の心の繋がりにはどう頑張っても入り込めない。邪魔をする気もないし、割り込む気もない。
「おーい清治~。まだ~?」
急かされて、そのまま持って玄関に向かう。
「すみません、やっぱりこれは……」
「じゃあ俺のを着る? 俺がそれを着るから」
「……はい?」
「いっぺんその青いのを着てみたかったんだよね。ほら、黄色って嫌いじゃないけど、目立つじゃん⁉ こんなの着て歩いていると夜でも目立つじゃん⁉ たまに警察に声かけられちゃうんだよね。ちょっとこれ着て歩いてみてよ。マジで声かけられるから!」
善逸は自分の羽織を脱いで、清治の肩に勝手に掛けてやる。そして青い羽織を奪い取った。
「やっ、やめてくださいよ! こんな色は絶対に嫌です! 恥ずかしい!」
「えっ、恥ずかしい……?」
「こんな浮かれた色なんか着れませんって!」
「浮かれた色……」
「師範じゃあるまいし、こんな色着て平気でいられませんって!」
慌てて脱いで、善逸の肩に掛ける。
「冗談じゃありませんよ。俺はこれでいいです!」
清治は奪い返し、サッと青い羽織に袖を通した。……が、しょんぼりした善逸に気が付き、慌てて訂正する。
「あっ、いや、そういう意味じゃなくて!」
「……じゃあどういう意味だよ」
「師範だからこそ、それが似合うって事ですよ! いや、師範しか似合わない! いろんな意味で!」
「…………」
せっかく緊張感が解けてきたと言うのに、元の木阿弥である。
(しまったなぁ。また機嫌悪くしてしもた)
善逸は無言のまま蝶屋敷を出て、清治もそれに続く。つい思っている事をそのまま口に出してしまい、気まずい雰囲気はますます気まずくなったが、どこへ行くのかを訊く勇気もない。
