仲直りの鰻
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禰豆子は鬼だが鬼殺隊の一員なのだと言われた清治だったが、素直に従えるわけもなかった。
つまり、ここ蝶屋敷にいる全員がみんな鬼の味方だという事である。そしてお館様が認めているという事は、鬼殺隊全体がそうだという事だ。
鬼は全て人間の敵で、殺さなければならない存在である──。この清治の姿勢は極端な考え方のようにも思えるが、炭治郎と禰豆子が鬼殺隊と関わりを持つまで隊士はみんなこのような考え方だったのだから、清治が特別おかしいと言うわけではない。
間違っていると思った事は間違っていると誰にでも噛みつくような性格の清治は、この件においても当然「間違っている」と堂々と言い張る。鬼は他にどうしようもない生き物で、生かしておけば危険でしかなく、殺してしまうしかやりようのない存在だと言うのだ。こんな意見の清治に、禰豆子を特別に庇護している事実をどう受け入れろと言うのか。
憤慨する清治と善逸の喧嘩を止めたのはしのぶである。そのしのぶは清治に診察室に来るよう言った。蝶屋敷の主・しのぶの言う事は絶対である。言葉少なく行ってしまったしのぶの態度に三人娘はソワソワしながら、乗っかっていた清治の背中から下りた。
「皇さん、すぐにしのぶ様の所へ行きましょう。善逸さんも、もうこれで刀をしまってください」
きよは清治の肩に触れて、すぐに起き上がるよう促す。善逸もきよの言葉に従い、いつになく険しい表情で刀を納めた。
「清治、俺は本気だからな。同じ事をしたら、今度は峰打ちなんかじゃ済まさないぞ」
「…………」
善逸の目は、清治が考えを改めない限り絶対に許さないと言っている。再び禰豆子を襲えば本気で斬り捨てると言うのだ。清治はそんな師範の目を睨み返すと、フンと鼻で笑って不服を露わにした。そしてきよに連れられてしのぶの元へ向かう。
反抗的な態度を取ったものの、背中には善逸の鋭い視線が突き刺さって心中複雑だった。怒りと絶望と恐怖で何とも言えない気分になる。
(俺の師範は鬼の味方やったんか。いや、この蝶屋敷の人も、他の隊士も柱さえも……みんな鬼の味方しとったとはな……)
菊江の遺骨の前で三人娘は涙を流して一緒に供養してくれていたのに、あの涙は一体何だったのか。何のせいで菊江は死んだのか理解しているのかと問い質したくなる。
きよはいつもと変わらない態度のまま、痣だらけになった清治に手を添えて歩いているが、清治はそれすらも振りほどきたくなるくらい嫌気が差していた。
「皇さん、痛みますか?」
「…………」
触れないでほしい。話しかけないでほしい。ここから出て行ってしまいたい。いっそ隊も抜けてしまいたい──。
清治はもう誰の言い訳も聞きたくないのだ。
(どうして許せるんや。みんな家族を鬼に殺されとるのに、何で鬼を許せるんや。根絶やしにしたくないんか。鬼が仲間? アホな事言うな。そんな事ができるんなら、もう鬼殺隊は要らん。とっとと鬼殺隊なんか解散せぇ)
無視を決め込む怒り心頭の清治の態度に、きよはビクビクしながら戸惑っている。きよは三人娘の中でも一番清治に熱を上げて喜んで話しかけていたが、この時ばかりは一緒にいるのも苦しくなるほどである。
「皇さん、ごめんなさい。もっと早く説明しておけばこんな事にはならなかったかもしれないんですけど……。善逸さんが言わない方がいいって。皇さんはまっすぐな人だから、理解してもらう事は難しいだろうって」
「ええ、そうですね。全く理解できません」
「黙っていてごめんなさい。禰豆子さんはいつも日中はほとんど眠っていましたし、皇さんと顔を合わす事はないだろうから大丈夫だろうって軽く思っていたんです。もし知られても、お館様もお許しの事でしたので理解していただけるかと…………うっ、うっ……」
きよは泣き出してしまった。たとえ清治が禰豆子を見かけたとしても、こんな大きな騒ぎになるとは思っていなかった。善逸もあそこまで怒るとは思っていなかった。
きちんとした説明を行う前に隊律違反になるような事態になり、それが自分たちの馴れ合いが原因の一つでもあったと反省して泣いているのである。
だが清治は蝶屋敷の人間が悪いと責めたいわけではない。責めるのならお館様だ。きよが謝っても、上が決めた事は守らなければならなかったのだろう。そして立場上、隊士である善逸にそう頼まれれば従うしかなかったのだろう。
きよに怒りをぶつけてはいけない事は自分でも分かっている。そこまでみんなが一丸となって禰豆子を守ろうとしているのには、何か深い理由があるはずだ。
ただ、炭治郎の妹だからというだけであるなら、炭治郎とは一体何者なのか。お館様の心を動かし、隊の方針まで変えてしまう特別な人間だという事なのか。
いきなり目の前に鬼を連れて来られて「仲間だから仲良くしろ」なんて言われても、鬼を殺せと命じられている鬼殺隊士としては意味不明なだけである。それが今の清治の状況だ。
この屋敷の主・しのぶからは何か説明があるのか。誰に何を言われても、清治の鬼への恨みは簡単に消えそうもない。
つまり、ここ蝶屋敷にいる全員がみんな鬼の味方だという事である。そしてお館様が認めているという事は、鬼殺隊全体がそうだという事だ。
鬼は全て人間の敵で、殺さなければならない存在である──。この清治の姿勢は極端な考え方のようにも思えるが、炭治郎と禰豆子が鬼殺隊と関わりを持つまで隊士はみんなこのような考え方だったのだから、清治が特別おかしいと言うわけではない。
間違っていると思った事は間違っていると誰にでも噛みつくような性格の清治は、この件においても当然「間違っている」と堂々と言い張る。鬼は他にどうしようもない生き物で、生かしておけば危険でしかなく、殺してしまうしかやりようのない存在だと言うのだ。こんな意見の清治に、禰豆子を特別に庇護している事実をどう受け入れろと言うのか。
憤慨する清治と善逸の喧嘩を止めたのはしのぶである。そのしのぶは清治に診察室に来るよう言った。蝶屋敷の主・しのぶの言う事は絶対である。言葉少なく行ってしまったしのぶの態度に三人娘はソワソワしながら、乗っかっていた清治の背中から下りた。
「皇さん、すぐにしのぶ様の所へ行きましょう。善逸さんも、もうこれで刀をしまってください」
きよは清治の肩に触れて、すぐに起き上がるよう促す。善逸もきよの言葉に従い、いつになく険しい表情で刀を納めた。
「清治、俺は本気だからな。同じ事をしたら、今度は峰打ちなんかじゃ済まさないぞ」
「…………」
善逸の目は、清治が考えを改めない限り絶対に許さないと言っている。再び禰豆子を襲えば本気で斬り捨てると言うのだ。清治はそんな師範の目を睨み返すと、フンと鼻で笑って不服を露わにした。そしてきよに連れられてしのぶの元へ向かう。
反抗的な態度を取ったものの、背中には善逸の鋭い視線が突き刺さって心中複雑だった。怒りと絶望と恐怖で何とも言えない気分になる。
(俺の師範は鬼の味方やったんか。いや、この蝶屋敷の人も、他の隊士も柱さえも……みんな鬼の味方しとったとはな……)
菊江の遺骨の前で三人娘は涙を流して一緒に供養してくれていたのに、あの涙は一体何だったのか。何のせいで菊江は死んだのか理解しているのかと問い質したくなる。
きよはいつもと変わらない態度のまま、痣だらけになった清治に手を添えて歩いているが、清治はそれすらも振りほどきたくなるくらい嫌気が差していた。
「皇さん、痛みますか?」
「…………」
触れないでほしい。話しかけないでほしい。ここから出て行ってしまいたい。いっそ隊も抜けてしまいたい──。
清治はもう誰の言い訳も聞きたくないのだ。
(どうして許せるんや。みんな家族を鬼に殺されとるのに、何で鬼を許せるんや。根絶やしにしたくないんか。鬼が仲間? アホな事言うな。そんな事ができるんなら、もう鬼殺隊は要らん。とっとと鬼殺隊なんか解散せぇ)
無視を決め込む怒り心頭の清治の態度に、きよはビクビクしながら戸惑っている。きよは三人娘の中でも一番清治に熱を上げて喜んで話しかけていたが、この時ばかりは一緒にいるのも苦しくなるほどである。
「皇さん、ごめんなさい。もっと早く説明しておけばこんな事にはならなかったかもしれないんですけど……。善逸さんが言わない方がいいって。皇さんはまっすぐな人だから、理解してもらう事は難しいだろうって」
「ええ、そうですね。全く理解できません」
「黙っていてごめんなさい。禰豆子さんはいつも日中はほとんど眠っていましたし、皇さんと顔を合わす事はないだろうから大丈夫だろうって軽く思っていたんです。もし知られても、お館様もお許しの事でしたので理解していただけるかと…………うっ、うっ……」
きよは泣き出してしまった。たとえ清治が禰豆子を見かけたとしても、こんな大きな騒ぎになるとは思っていなかった。善逸もあそこまで怒るとは思っていなかった。
きちんとした説明を行う前に隊律違反になるような事態になり、それが自分たちの馴れ合いが原因の一つでもあったと反省して泣いているのである。
だが清治は蝶屋敷の人間が悪いと責めたいわけではない。責めるのならお館様だ。きよが謝っても、上が決めた事は守らなければならなかったのだろう。そして立場上、隊士である善逸にそう頼まれれば従うしかなかったのだろう。
きよに怒りをぶつけてはいけない事は自分でも分かっている。そこまでみんなが一丸となって禰豆子を守ろうとしているのには、何か深い理由があるはずだ。
ただ、炭治郎の妹だからというだけであるなら、炭治郎とは一体何者なのか。お館様の心を動かし、隊の方針まで変えてしまう特別な人間だという事なのか。
いきなり目の前に鬼を連れて来られて「仲間だから仲良くしろ」なんて言われても、鬼を殺せと命じられている鬼殺隊士としては意味不明なだけである。それが今の清治の状況だ。
この屋敷の主・しのぶからは何か説明があるのか。誰に何を言われても、清治の鬼への恨みは簡単に消えそうもない。
