ぼたんつけ
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ギンコは旅の途中の山で同業者のさくらに出会った。花笠に袴に長靴 、相変わらず派手な女だとギンコは思った。何ヶ月ぶりかと昔話に花が咲き、たまには一緒にどうだ?と宿に入った。
「他の人からしたら恋仲に見られてるのかしらね」
「…さあどうだかな」
半歩後ろを歩くさくらのくだらない質問に頭をかいた。
「ギンコもたまにはいい宿に泊まったほうがいいよ?今日はね、私が出すからさ。風呂にでも入ってゆっくりしなよ」
「へえへえ、でもよぉ…同じ部屋か…」
「なにか問題ある?ギンコは私を襲わないだろ?私もギンコを襲わない、いいじゃないか。一部屋分の宿賃で済むしね」
「………」
(宿には金をかけるのにそういうところはなぜケチるんだ…わからん奴だ)
やれやれ、とギンコは眉尻をさげ、華美なふすまを開けた。
部屋に入ると頭一つ低いさくらがギンコの襟元を掴んだ。
「ああ…釦、とれそうじゃないか。大事な一張羅だろ?」
「…一張羅じゃねえよ…ああ…どうしたもんかね」
「…直すから脱いで」
襯衣 の裾ををぐいとまくりあげる女、いやいやと抵抗する男
「はあ…自分でやっから…」
「よし…相変わらず白い肌だな…まあいいや」
「………」
「まあそう睨むなよ」
「……」
返事の代わりに蟲煙草の煙を吐き出した。
「ふふギンコのにおいだな…しかしギン、お前は珍しい服を着てるな。こりゃ大事にしないとね。」
「丁寧な仕事をたのんだぜ」
「はいはい」
取れかけた釦を、糸をちょきんと切り糸を外す。糸先を唾液で湿らせ小さい穴に通す。釦を布に当てて後ろから針を指し釦穴を通り裏地へ針を刺す。
さくらのよく動く白い指をぼうっと見ていると、よくもまあこんな細かいことを…とギンコは感心した。幼い時の、母親の記憶はないがなんとなくむずかゆい、あったかい不思議な気持ちになった。
「…なに、見とれちゃった?ほら他に直すとこは?」
「あぁ…そうだなあ…」
所帯を持ったらこんな感じか…と叶わぬ考えを蟲煙草の煙でかき消した。
「他の人からしたら恋仲に見られてるのかしらね」
「…さあどうだかな」
半歩後ろを歩くさくらのくだらない質問に頭をかいた。
「ギンコもたまにはいい宿に泊まったほうがいいよ?今日はね、私が出すからさ。風呂にでも入ってゆっくりしなよ」
「へえへえ、でもよぉ…同じ部屋か…」
「なにか問題ある?ギンコは私を襲わないだろ?私もギンコを襲わない、いいじゃないか。一部屋分の宿賃で済むしね」
「………」
(宿には金をかけるのにそういうところはなぜケチるんだ…わからん奴だ)
やれやれ、とギンコは眉尻をさげ、華美なふすまを開けた。
部屋に入ると頭一つ低いさくらがギンコの襟元を掴んだ。
「ああ…釦、とれそうじゃないか。大事な一張羅だろ?」
「…一張羅じゃねえよ…ああ…どうしたもんかね」
「…直すから脱いで」
「はあ…自分でやっから…」
「よし…相変わらず白い肌だな…まあいいや」
「………」
「まあそう睨むなよ」
「……」
返事の代わりに蟲煙草の煙を吐き出した。
「ふふギンコのにおいだな…しかしギン、お前は珍しい服を着てるな。こりゃ大事にしないとね。」
「丁寧な仕事をたのんだぜ」
「はいはい」
取れかけた釦を、糸をちょきんと切り糸を外す。糸先を唾液で湿らせ小さい穴に通す。釦を布に当てて後ろから針を指し釦穴を通り裏地へ針を刺す。
さくらのよく動く白い指をぼうっと見ていると、よくもまあこんな細かいことを…とギンコは感心した。幼い時の、母親の記憶はないがなんとなくむずかゆい、あったかい不思議な気持ちになった。
「…なに、見とれちゃった?ほら他に直すとこは?」
「あぁ…そうだなあ…」
所帯を持ったらこんな感じか…と叶わぬ考えを蟲煙草の煙でかき消した。
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