私はすぐに屋敷に戻った。
戻る途中に空中にふわりと浮かぶ何か、が見えた。淡く光形をうねり変え。

何かで読んだことがある。たしか蟲と呼ばれるものだ。むし、むし。
海にいるのは蟲？

そう考えてからは早かった。着替えを包み、大巫女様の元へ向かった。
「さくらは巫女としての力をつけるために旅回りをしたいのです。たくさんの物を見て、知りたいのです」
「お前は…海のことを何か掴めそうか？そうなら行きなさい。」
あっさりと旅を許してくれた。
月の丸い夜、町を抜け出した。