時はいつだか、実りをつける秋の頃か。
東にある花街にふらりと寄っていた。
至るところから女たちの男たちの姦しい声。
一見万華鏡のようにきらきらと店が並んでいるがふと感じるどす黒い雰囲気。なんとも言えない混沌ぶりが私は好きだったりする。
(まあこういうところは実際売上もいいし、大好きな賭博もできるからなあ)
「なあお嬢ちゃん今夜どうだい？楽しいことでもしようや」
「いらっしゃい、いい男いるよ」
「女同士で遊んでみない？」
“宿屋”から引く手あまた。
相変わらずね。
(今夜の仕事はないかな…まああっても嬉しくないんだがね)
なんて思いながらふらりと月明かりがきれいな裏路地まで歩いてきた。
そうすると向こうからふらふらした人影がやってきた。
「あの…鬼灯さんですか？」
さあ今夜の仕事だ。