君想うが故 前編
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ある日の昼下がり――…
屋敷中の掃除を一通り終えた音羽は、縁側でのんびりお茶を飲みながらほっと一息ついていた。
――もう少ししたら、夕方までに買い物に行かなくちゃ…。でも今日は自分の分だけ作れればいいし、有り合わせで何か作っちゃおうかなあ…。
音羽はぼうっと空を見上げながら、そんな事を考える。
このあいだイタリアから戻って来たと思ったら、雲雀は再び出掛けてしまった。
今度は日本国内での用事だそうで、明日になれば戻って来るらしいが、音羽はまた置いてけぼりだ。
音羽が留守番させられるという事は、やはり何か重大かつ危険な仕事内容に違いない。
今回は離れている期間が三日程度に収まっているものの、やはり心配な気持ちは変わらない。
「はぁ……」
音羽は溜息を付いて、湯呑の中で揺れるお茶を眺めた。
こんな生活が続いて、もうすぐ一年が経とうとしているが、全然慣れない。
雲雀と離れている間は心配で不安だし、自分も彼に着いて行きたいと思う毎日である。
――雲雀に守られているばかりではなく、彼を側で守ることの出来る、強い人間になりたい。
音羽のそんな想いは、雲雀と離れて過ごすうち、日に日に増し続けていた。
ぼんやりしながら、音羽がそんな事を考えていたとき。
側に置いていた携帯が鳴った。電話の呼び出し音だ。
まさか雲雀だろうかと思って、慌てて携帯を取り、ディスプレイを見る。
「……沢田君だ…」
ディスプレイに出たのは、ツナの名前。
彼から電話が掛かって来る時は、大抵何かの集まりに来ないか、というものか、もしくは――。
ボンゴレの一員である音羽に、仕事の依頼がある時だ。
「…もしもし、片桐です」
音羽が電話に出ると、少し慌てた様子のツナの声が聞こえて来る。
『あ、片桐久しぶり。今大丈夫かな?』
「沢田君、久しぶり!大丈夫だよ、何かあったの?」
『うん、実はちょっと色々あって今日本に戻って来てるんだけど…。今からリボーンと一緒に、そっちに行ってもいいかな?』
問われて音羽は少し躊躇ったが、直ぐに了承の返事をした。
「あ…うん、大丈夫!」
『助かるよ、ありがとう。それじゃあ、あと三十分くらいしたら着くと思うから』
「はい、それじゃあまた後で」
音羽は電話を切ると、早々に立ち上がり、準備を始めた。
――ツナと会うのは、丁度一か月ぶりくらいだろうか。
あれだけマフィアにはならないと言っていたツナだったが、今はボンゴレ十代目として、イタリアと日本を行き来するのみならず、世界中あちこちを飛び回ってる。
彼も多忙な身なので、学生の時程頻繁ではないが、こうして依頼などを持ってきてくれることもあり、割と定期的に会っていた。
殆どの時間をこの並盛で過ごしている雲雀と音羽に、何か用件がある時、ツナはこの雲雀の私邸にやって来る。
現在ボンゴレとして日本で活動できる拠点がないので、何か用事がある際は、各個人を訪ねることになっているのだ。
ツナは今後、日本にも活動拠点を作るようで、現在並盛の地下にボンゴレのアジトを建設する計画を立てている。
だが、まだ施工も始まっていないので、アジトの完成は当面先だろう。
アジトが出来れば色々便利だろうし、今回のように雲雀が留守の時に気を遣うようなこともなくなるので、出来てくれればありがたい。
――…雲雀がいないときにツナを屋敷に入れてしまうのは、彼に怒られるかもしれないが…。
相手はツナであるし、リボーンもいると言っていた。それに、何か慌てた様子だったので、この場合は仕方ないだろう。
先程部屋の片づけは終わっていたので、音羽は簡単に身支度を整えて、コーヒーを淹れる準備だけをしておくと、ツナ達が来るのを待つのだった。
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