雨音
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――深夜………――
しとしとと雨の降る夜だった。
真っ暗な部屋の中で布団を被りながら、音羽はもう何度目かの寝返りを打つ。
――眠れない……。
暗闇の中起きているせいで、もうすっかり闇に目が慣れてしまい、天井の模様まではっきり見えた。
静かな室内にいて聞こえてくるのは、雨の音だけ。
並盛町にある雲雀のこの屋敷で、音羽はただ一人、夜を過ごしていた。
もう一度寝返りを打って、音羽は隣にぽっかりと空いてしまったスペースを見る。
普段はそこに眠っている雲雀が、今はいない。
音羽はぎゅっと布団を握りしめた。
雲雀が屋敷を――…日本を出たのは、五日前。
風紀財団の仕事であちこち出掛ける事も多い雲雀だが、今回はボンゴレからの依頼でイタリアに行っている。
帰って来るのは、あと三日後の予定だ。
危険な任務や仕事でなければ、雲雀は音羽を一緒に連れて行ってくれる。
けれどそうでないときは、彼は必ず音羽を屋敷に残して行った。
雲雀が音羽の事を心配してくれているのは、よく分かっているつもりだ。
でも、それでも……こうして一人ぼっちで過ごしていると、寂しいと思ってしまう。
自分の戦闘力が低い事は分かっているが、音羽も一応ボンゴレの守護者の一人だ。
雲雀の側にいて、少しでも彼を支えられたら……と、それは昔からずっと思っている。
音羽の戦闘力と力の性質上、危険な任務はそう回ってこないが、雲雀は違う。
彼はボンゴレ十代目の七人の守護者の中でも、最強の守護者と言われる人間なのだ。
音羽と違って、危険な依頼がたくさんくる。
だからこそ、側にいて無事な姿を確かめたいのに……――
そう思って、雲雀には何度も一緒に連れて行ってくれ、と頼んできたが、雲雀は頑としてそれを聞き入れてはくれなかった。
「君を危ない目に遭わせたくない」の一点張りだ。
自分が絶対に足手纏いにならないか、と言われると言い切れる自信もないので、最近ではあまり訴えられていない。
音羽は溜息を付きたくなるのを我慢して、また寝返りを打った。
置いてある時計に目をやれば、針は夜中の一時を指している。
イタリアは今頃夕方だろう。
時差のせいで、雲雀と頻繁に連絡を取る事は出来ない。
今日は怪我をしなかったかな、明日は大丈夫かな、と雲雀に置いて行かれた時は、いつも心配になる。
例え雲雀が強いと分かっていても、その気持ちだけは、離れている限りどうすることも出来ない。
毎朝携帯を見て、彼からメールが届いている事に、ほっとする。
音羽は寂しさと切なさで、じわ…と涙が滲むのを感じ、布団の中に潜りこんだ。
――……会いたい……恭弥さん…。
彼の温もりが恋しい。
声が聴きたい、触れていたい。
想いは止めどなく溢れて来て、それは涙になって頬を濡らした。
布団の中に入ると、寂しい雨音も聞こえ辛くなって、音羽はいつの間にか眠りに落ちていた。
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