cioccolato
【名前変換】
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
2月13日夜―――……
家族の寝静まったキッチンで、音羽は黙々と作業を続けていた。
夜の八時から作り始めているのだが一度失敗してしまい、作り直している最中だ。
失敗した、といっても、少し焦げてしまった位で、自分で食べる分には問題ない程度だったのだが……――
あげる相手が彼ともなると、ちゃんと上手く出来た美味しいものを食べてもらいたい。
その一心で、音羽は文字通り寝る間も惜しんで、チョコづくりに勤しんでいる。
その時、チン、とオーブンが鳴って、焼終わりを教えてくれた。
さっそくミトンの鍋掴みを手に嵌めて、恐る恐るオーブンを開けると―――…
「!やった!出来たっ!」
そこには、自分が思い描いていた通りのものがあって、音羽は喜びと達成感に目を輝かせる。
あとは綺麗にラッピングして、明日彼に渡せばいいだけだ。
「喜んでくれるかなあ…雲雀さん」
雲雀の姿を思い浮かべて、自然と音羽の顔が綻ぶ。
雲雀に…というか、好きな人にバレンタインのチョコを渡すのは生まれて初めてだ。女の子の友達同士でチョコを渡したあった事はあっても、好きな異性に自分からチョコを贈った事なんてない。
雲雀はバレンタインなんて興味なさそうだが、音羽が贈りたいのだ。
彼に、もっと自分の気持ちを伝えたい、とそう思うから。
初めての事に、楽しみと恥ずかしさが織り交ざって、胸がドキドキしてしまう。
雲雀はどんな顔をするだろう。
喜んでくれるといいな。
音羽は絶えず雲雀の事を考えて頬を緩ませながら、今度は出来上がったチョコを丁寧にラッピングし始めたのだった。
その様子を、外から見ている人物がいるとも知らずに……―――
『そのチョコは、必ず――――』
穏やかで甘いバレンタインを、音羽はこの時まだ、疑っていなかった―――…
・