林檎の愛を
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眩しい日が燦々と照り付け、今日は幾分か暑い日だった。
周囲の温度も高まっていて、少し体が汗ばむ。
紫野は手をぱたぱたと動かし(そう大して変わらないが)、風が来るように扇いだ。
しかし、全くと言っていいほど涼しくならない。
むしろ、手を動かした分だけ余計に熱くなった気がする。
「う…熱い…」
思わずそんな泣き言を言えば、隣をちょこちょこと歩いていたりんが紫野を見上げた。
「紫野ちゃん、大丈夫?少し休む?」
「大丈夫だよ、ありがとう」
紫野は心配してくれるりんに微笑みを返す。そして、間髪入れずに邪見がぼそりと呟いた。
「はあ…これじゃから人間は…暑いだの寒いだの、面倒臭い」
呆れたようなその言葉を聞いたが、紫野は特に気にしなかった。
邪見があんなことを言うのはいつもの調子だし、慣れてしまったというのもある。
でもあまりいい気はもちろんしないので、紫野は暑さをぐっと堪えることにした。
それから少し歩いた頃…一行は大きな川の流れる川原までやってきた。
対岸はそう遠くはないが、川の中ほどは深いのだろう。水の色が深い青色になっている。
「きれい…」
水が日の光を反射してきらきらと輝き、それがあまりにも綺麗だったので、思わず感嘆の声が漏れ出た。
川の輝きに見入っていると、不意に先頭を行っていた殺生丸が立ち止まる。
「今日はここで休む」
とだけ呟くと、近くにあった大きな石の上にさっさと座ってしまった。
「紫野ちゃん、今日はもうお休みだって!よかったね!」
「うん!」
りんの笑顔に釣られて、紫野も満面の笑みを浮かべる。そこでふと考えた。
…殺生丸様、私に気を遣ってくれたのかな…?
自惚れかもしれないがそう思った。優しい彼ならあり得ないことではない。
じん…と胸が熱くなるのを感じながら、紫野はりんと共にその場に座り込み、休息を取った。
二人のその様子を見ながら、邪見は溜息をつく。
呑気に笑っている紫野を見ると、殺生丸の思いやりが分かっているのか、心配になる。
殺生丸が紫野を気遣ったのは言うまでもない。
そして、邪見は彼がそうする理由も十分すぎるほどよく知っていた。
二人は所謂、恋仲というものなのである。
「もう…殺生丸さま、紫野には甘いんだから」
涙目の邪見の不満を聞いたのは、彼の目の前にちょこんと咲いた小さな花だけだった。
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