優しい人
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犬夜叉一行は旅の途中、とある村に立ち寄っていた。
「…大きな目玉の妖怪…ですか…」
弥勒は口元に手を当てて、考え込むような顔をする。
「ええ……一週間で村人が何人襲われた事か……大きな目玉に大きな口を持った妖怪が、この辺に突然現れて、村人を次々と襲っておるのです…」
「それはさぞお困りでしょう」
「法師さま、どうかこの村をお救い下さい…」
話をしてくれた村の老人は、縋るように頭を下げた。
「けっ、四魂のかけらの気配はないんだろう?だったらとっとと行こうぜ」
「もう犬夜叉ったら…みんな困ってるのよ。助けてあげましょうよ。ね、紫野ちゃん」
隣にいたかごめに同意を求められて、紫野は大きく頷きを返す。
「うん、きっと村の人はみんな不安だよね…。助けてあげたいな……お願い、犬夜叉…」
紫野は懇願の瞳を犬夜叉に向けると、犬夜叉は眉根を寄せて、ふいっと横を向いた。
「ったく、しょうがねえな…。ちゃっちゃと片付けるぞ」
「ありがとう犬夜叉!」
「ありがとう!!」
かごめと紫野はにっこりと微笑み合う。結局二人のお願いを聞いてくれた犬夜叉に、七宝がにっと笑いながら言った。
「犬夜叉は紫野に頼まれると断れんからの!」
「なっ、そんなわけねーだろ!偶々だよ偶々!」
「そうかなあ?犬夜叉って紫野の言う事は素直に聞いてる気がするけど」
珊瑚の鋭い指摘に、犬夜叉は口籠りながらも更なる否定の言葉を繰り出すのだった。
そんな仲間たちの賑やかな様子に笑いながら、紫野は皆を見回す。
平成――と呼ばれる“現代”から、何故かごく普通の中学生、紫野が戦国時代にタイムスリップしてきて、早数か月。
幸いにも同じ現代人で同い年のかごめに出会う事が出来て、そのまま流れで犬夜叉達一行の旅に着いて行く事になった。
犬夜叉もかごめも弥勒も珊瑚も七宝も雲母も、皆優しくて信頼できる、自慢の仲間だ。突然タイムスリップしてきた紫野に、皆は本当に親切にしてくれた。
彼等のお陰で、今こうして笑っていられるのだと、心底思う。
――でも…私が戦国時代に来た意味って、何なんだろう…?
紫野はもう何度目になるか、心の中でそう思った。
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