愛の表し方
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ある晴れた日の事…―――
旅の途中、休憩のために寄った森の中で、紫野とりんはこそこそと小さな声で話し合っていた。
「まず、……して、それから…」
「ええっ、私が!?む、ムリムリ!!」
「もうっ!ダメだよ、紫野ちゃんが行動しないと、永遠にこのままかもしれないよっ!」
「うっ…それは…」
「ほら、頑張って!りんが練習相手になるから!」
「りんちゃん…ありがとう。よしっ、頑張る!」
そう言うと、紫野は一呼吸してりんに何かを言い始めた。
「…殺生丸さま、あやつら、何かを企んでいるようですが…」
紫野とりんの一連の様子を見ながら、訝しげに邪見が言う。
「………………」
しかし殺生丸は、木に背を凭せ掛けたきりで、いつもの如く邪見を無視した。
主人の変わらぬ様子に、邪見ははあっと小さく溜息をつく。
―――殺生丸さまは気にならんのか?
あやつに何かあれば、珍しく顔色を変えてしまわれるほど、あやつを……――
紫野を、心底想っていらっしゃるというのに……。
邪見は顔を上げて、ちらりと殺生丸の想い人を見てみる。
――半年ほど前、突然“現代”というところからやってきた紫野。
彼女は、始めから殺生丸と共に行動してきたわけではない。紫野は始め、殺生丸の異母兄弟である、犬夜叉一行と共に旅をしていたのだ。
そしてその途中、犬夜叉一行と殺生丸一行が偶然出くわしたことで、紫野の道行は変わった。
なんと、それまで犬夜叉たちと共にいた紫野が、殺生丸一行に加わりたいと言い出したのだ。
邪見は、犬夜叉なぞの所にいた女を連れて行くなんて、と反対した。殺生丸も、当然同意見だと思っていた。
しかし、邪見の予想に反して殺生丸は、「好きにしろ」の一言で、紫野の同行をあっさりと許してしまったのだ。
仕方がないので邪見も渋々それに従い、紫野を含めた四人旅となった。
それから半年…――
今では、紫野と殺生丸は、俗にいう恋仲というものになってしまったのだ。
と言っても、二人の恋仲らしい様子を、邪見は今まで見たことがない。
単にその場に邪見がいないだけなのか、殺生丸があまり“恋仲らしいこと”をしないのかは知らないが、彼なら後者の可能性も高いと、邪見は思った。
邪見がそんなことを考えながらぼんやりしていると、りんが紫野の傍を離れてこちらに駆けてくる。
「邪見さま、ちょっと遊びに行こうよ!どっちがいっぱい木の実をとれるか競争ね!」
りんは満面の笑みでそう言うと、邪見の着物を鷲掴んで強引に引っ張っていく。
「おいっ!待たんか、りんっ!わしはそんな遊びは――」
「じゃあ紫野ちゃん、殺生丸さま、行ってきまーす!」
「話を聞かんかーーーっ!!」
そうして邪見は、強制的に森の奥へと引きずられて行った。
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