5話 新しき陽光はここに
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「逃げるんだ、紗夜!!」
ゴォゴォと燃え盛る炎が、暗い夜を照らしていた。
背後には猛烈な勢いで炭と灰に化してゆく、自分の楽園。家族と、兄と、みんなが幸せだった家が、今は形を残していなかった。
目の前には大きな大きな鬼と、自分を庇うようにその前に立ちはだかった、小さな小さな兄の背がある。
温厚な兄の、初めて聞くような大声に驚いた。呆然としている自分に、兄は何度も叫び続ける。
「何してるんだ紗夜、早く逃げろ!」
逃げ惑う村人の悲鳴、村を襲う妖怪たちの咆哮、紅蓮の炎が上がる音で、普通なら聞き取れないであろう兄の声が、はっきりと聞き取れた。
次の瞬間、母の気が狂わんばかりの悲鳴と、鬼の瞳がギラリと光るのを、同時に見聞きした。
「蓮、早く逃げてえぇぇっ!!!」
兄を庇うために走る母の影が、黒く、目に焼き付いた。
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