21話 道の先へ
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雲の多い月夜。
光はほとんど隠されてしまって、辺りはぼんやりとしか見ることが出来ない。
風が強い。
時折強く過ぎては、黒い木々を騒がせる。
そんな闇の中、不意に温かな灯りが現れた。
提灯の橙は闇夜にふわりと浮いて、持ち手の姿を明かす。
ゆったりとした調子で、線の細い男は歩いていた。
やがて川に近づいて、水の流れる音が聞こえ、丹塗りの太鼓橋に差し掛かる。
そのときまた、強い風が吹いた。
提灯の火が消えて、男は憂いを帯びた、色の薄い瞳を上げる。
その拍子に、桑染色の髪が揺れた。
重かった雲が流れて、その隙間から満ちた月が垣間見える。
月の青白い光は、闇夜のもう一つの影を明らかにした。
男は、立ち止まり、静かに目を見開いた。
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