20話 未来への約束
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紗夜が全てを語ってから、三日が過ぎた。
殺生丸一行は、要の残した言葉通り、紗夜の生まれ育った村を訪れることにした。
今まで歩いてきた道をもう一度辿りながら、一行は少しずつ村へと近づいていく。
けれどその道は決して短くなくて、紗夜は改めて自分がどれほどの距離を殺生丸たちと歩んできたのか、再確認した。
「邪見さまー」
「なんじゃ」
「んー、呼んでみただけっ!」
「なっ…わしで遊ぶでないわっ!」
「あははははっ!」
隣で楽しそうにしているりんと邪見を微笑みながら見て、紗夜はすうっと空を見上げる。
風が紗夜の長い髪を攫って、ふわりと宙に舞い上げた。
―――要の言っていたこと…。
『村へ…村へ行ってください…!そして、貴女のご両親の事をッ…―――』
紗夜は要の言葉を思い出して、少しだけ眉を寄せる。
―――どうして、両親なんだろう…?
紗夜の身体の事と、紗夜の両親……。
一体どんな関係があるのか、紗夜には見当もつかない。
そしてそれは、殺生丸もきっと同じだった。
紗夜は、前方を迷うことなく歩いて行く殺生丸を見つめる。
今まで一緒に居て思ったが、殺生丸はとても鋭い。
勘というものもあるのだろうが、きっと頭の回転も速いのだろうと紗夜は思う。
だから、紗夜の過去を踏まえて、もし気づいた事があるのならきっと教えてくれるはずだ。
しかし、紗夜は殺生丸から、特に何も聞かされていない。
という事は、彼も何も思い当たらない、ということなのだろう。
紗夜がそんなことを考えていると、森を抜けた辺りで、殺生丸が唐突に立ち止まった。
「ここで休むぞ」
殺生丸はそう言うと、さっさと近くの木陰に歩いて行って、いつものように木の根元に腰を下ろす。
紗夜はそれを見てから、辺りをきょろきょろと見回した。
すぐ向こうに綺麗な小川が流れていて、ここにいても水の心地よいせせらぎが聞こえてくる。
青々とした草の中には、黄色や白の可愛らしい花が咲いていて、紗夜は思わず花冠を作りたくなった。
広々とした視界に、紗夜は心が晴れやかになるのを感じる。
紗夜が少しだけ笑みを浮かべていると、隣に居たりんが嬉しそうな声を上げた。
「わーい、休憩だね!ねえねえ、何して遊ぼうか?」
「お前、殺生丸さまのお言葉を聞いておったのか?殺生丸さまは、休むとおっしゃたのじゃぞ?」
呆れたようにそう言う邪見を放っておいて、りんは少し考えるような素振りをする。
「うーん……じゃあ、鬼ごっこね!最初は邪見さまが鬼だよっ!紗夜ちゃん、逃げようっ」
「あ…うん!」
紗夜はりんに手を引かれて目を丸くしたが、すぐに大きく頷いて、りんと一緒に野原に駆け出した。
「邪見さまは足が短いから、疲れたら言ってね!りんが鬼、変わってあげるから!」
「くそぉ、りんのやつ!!わしは短足ではない!!待っておれ、すぐに捕まえてやるわーーっ!」
後ろから邪見の不機嫌な声が聞こえて、りんと紗夜は走りながら笑う。
久しぶりに駆け回る感覚も、声を上げて笑うのも、どれも紗夜の心を軽くしてくれる。
紗夜は大空の下を駆けながら、柔らかく微笑んだ。
―――ありがとう、りんちゃん、邪見さま
二人のおかげで、私、すごく楽しい
紗夜の心の中は、この晴天のように明るく、温かかった。
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