16話 素直な気持ち
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さっきまで僅かながらに残っていた夕日も、今はすっかり沈んでしまい、仄暗い夕闇がやってきた。
周りの景色も暗く、周囲に何があるのかは、よく目を凝らさなければ分からない。
時折冷たいような、生暖かいような風が吹いては草を揺らし、葉のざわめく不気味な音が辺りに響いた。
紗夜の胸はその音を聞く度に跳ね上がり、怯え、恐怖を覚える。
殺生丸と出会う前なら…殺生丸と出会って間もない頃なら、むしろ不気味で暗いものは心地が良かった。
そういう場所やものにだけ、自分の存在を許される気がした。
でも、今は違う。
たまらなく恐ろしい。
不気味なものも、暗いものも、紗夜から全てを奪っていきそうで、恐い。
殺生丸と生きることは出来ないのだ、そう言われているようで、恐い。
「…―殺生丸様………」
やっぱり、私はあなたと一緒には…生きていけないかもしれない…―
紗夜は泣きそうになるのを堪えながら、目を閉じた。
―………
『…見つけたんです、紗夜様が……―死ぬ方法…』
『…………え…?』
要の言葉に、紗夜は目を丸くして彼を見つめた。
すぐには意味が理解出来ず、ただ要を見つめ、その先の言葉を促すばかりである。
要は紗夜の視線を受けて、目を伏せると、ぽつぽつと語り始めた。
『実は……戦で各地を転々としているうちに、聞いたんです。紗夜様が死ぬ方法も……どうして、紗夜様の御体が普通とは違うのかも…―』
『!!』
『……誰にそれを聞いたのか…。紗夜様自身の秘密も…私と共に来てくだされば、全てお話しします』
紗夜は要の唇が動くのを見つめながら、ぼんやりと彼の言う事を頭の中で受け止める。
もう、何を言っているのか分からなかった。
ただ一つ…確かな事が、一つ。
たった今決めたばかりの道は、簡単に行けそうもないという事…―
―…殺生丸様と共に…行けないかもしれない…―
これだけは、明朗に働かない頭でもはっきりと分かって、紗夜は静かに俯いた。
そして、ぽつりぽつりと要に言う。
『……明日の、朝……どうするか決めるから……。それまで、待ってて………』
そのときの要の表情は俯いていたので分からないが、要は少しした後、悲しそうな声で言った。
『……分かりました…。私は、どれほど待っても構いませんから……』
要の言葉を聞いて、紗夜はこくんと頷きを一つ落とす。
要の言葉はありがたかったが、紗夜の胸は苦しくなった。
殺生丸は明日には発ってしまう。
結局のところ、今晩にどうするかを決めなければいけないのだ。
『……じゃあ…私、もう行かなきゃ…』
『…はい、お気をつけて』
要の言葉を背に聞いて、紗夜はのろのろと歩き出した。
殺生丸のいる所に向けて…―
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